識学の『無料セミナ―情報』はこちらから

社長は現場に降りてはいけない エンパワーメントを意識し健全な企業の成長を目指そう

社長は現場に降りてはいけない エンパワーメントを意識し健全な企業の成長を目指そう

昨今、コロナを含むさまざまな環境の変化が、企業や労働者に影響を与えつつあります。
なかでも、人口減少による仕事の担い手不足は、近い将来、回避が難しい深刻な問題となるでしょう。

日本は少子高齢社会を迎えました。
そして「少子化」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、1990年代にさかのぼります。
少子社会の現状や課題について、「1992年度の国民生活白書」で触れられたことがきっかけとなり、社会問題として関心を集めるようになりました[1]。

人口減少に伴う労働環境の変化を踏まえ、働き方改革やDXの実現など、政府主導でさまざまな取り組みが行われています。
しかし、企業の積極的な努力なくしては、これらの課題は乗り越えられません。

<<あわせて読みたい>>

DXとは?デジタルトランスフォーメーションをわかりやすく解説【なぜDXと略すのか】

ビジネス書としては異例の30万部突破!
書籍『リーダーの仮面』の図説資料
をプレゼント!
リーダーの仮面図解

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍「リーダーの仮面」は、結果の出せるリーダーになるために必要なテクニックをまとめたリーダーシップ本の決定版!

優れたマネージャーに、才能・人間力・経歴は一切必要ありません!

誰でも実践できるマネジメントの原理原則PDF17ページにググっと凝縮!

ぜひ、DL頂き、皆さまの日々のマネジメントに生かしてください!

エンパワーメントを意識し健全な企業の成長を目指そう

今後の企業にとって、「付加価値の創出」は重要なキーワードとなります。
図1は、企業規模別の労働分配率の推移です。
労働分配率は、企業が生み出した付加価値額のうち、どれだけ労働者に分配されているかを表す指標す。
大企業に比べて、中・小規模企業の比率が、長年にわたり高止まりしています。


図1:中小企業庁2020年版「中小企業白書」新たな価値を生み出す中小企業p3
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf

しかし、企業の成長や事業拡大を図るには、収益の確保が必要です。
図2は、企業規模別の付加価値額に占める営業純益の割合の推移です。
労働分配率が高い中・小規模企業は、生み出した付加価値額のうち、営業純益として残る割合が、大企業と比べて相対的に低いことが分かります。

つまり、労働分配率の上昇が、収益の増大、延いては企業の成長を抑制してしまう可能性を示唆しています。


図2:中小企業庁2020年版「中小企業白書」新たな価値を生み出す中小企業p4
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf

最低賃金の継続的な上昇を含め、労働者への分配に対する意識が高まるなか、
「収益の拡大から賃金引上げへの好循環」
を作ることが、企業の成長につながります。

そのためにも、企業が生み出す「付加価値の増大」は、今後必要な課題といえます[2]。

付加価値を含む「新たな価値」の創出に向けて、企業は、既存事業の差別化、事業領域の見直し、新規事業分野への進出など、さまざまな戦略課題があります。
そして、今後の事業戦略の方向性は、労働者を含む「組織のあり方」によって左右されるといっても過言ではありません。

そこで、ピンチが発端で組織構築に大きな変化をもたらした事例を元に、今後の組織のあり方について検討してみましょう。

<<あわせて読みたい>>

KPIとKGIの違いとは?目標達成に重要な指標を徹底解説!

牙城崩壊から始まった新たな組織の姿

ある日、介護事業所を運営する顧問先から電話がありました。
「先生、社長が倒れました」

架電は管理者からでした。
出社直後に社長は倒れ、病院へ搬送されたとのことでした。

面倒見の良い社長は、毎日現場に顔を出し、事業所内の業務を一人で管理していました。
起業から10年。その間、デイサービスを3カ所、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所を運営するまでに、事業を拡大しました。
社長自らも介護の資格を取得し、365日現場で活躍し続ける日々でした。

これまで、この顧問先は、「社長」という一人の人間を頂点に成立していました。

社長の口ぐせは、
「私が一元的に管理することで、スタッフが迷わずついてこられるんです」
でした。

たしかに、スタッフからも慕われ、利用者やその家族からも信頼されており、この会社はこれが正解なのだろうと思っていました。

そんな、順風満帆と思われていたある日、突如、牙城が崩れたのです。

しばらくすると、病床の社長から着信がありました。
「私、頑張りすぎたみたいです。検査の結果、過労だと言われました」
か細い声でそう告げた社長は、電話の向こうで泣いていました。

退院後、社長と筆者は、今後の事業展開について、また、組織のあり方について何度も話し合いました。
そして、いくつかの方向性を導き出しました。

・社長は現場へ行かず、管理者へ業務の権限を委ねる
・管理者との定例ミーティンで、KPIの共有を図る
・スタッフおよび管理者の「報告のしかた」を徹底する

これら「エンパワーメント」の実施に際し、不安に駆られた社長は、
「せめて週に1度は、現場を見回りたい」
などと弱気な発言もみられましたが、そこは厳しく拒絶し、組織構築に全力を注ぐよう促しました。

数日後、これまで社長の指示のみで動いていた管理者やスタッフたちが、自ら計画を立て、目標達成に向けて行動を開始しました。
管理者を中心に結成されたチームで、メンバー同士が自発的に意見交換をすることで、事業所は自然と活気づいていきました。

現場で意思決定をするということは、会社が掲げるKPIを把握する必要があります。
そこで、目下のKPIを書き出し、スタッフ内で共有することで、具体的な指標を可視化させました。

同時に、問題が起きた際の「状況を的確に吸い上げる機能」を徹底しました。
現場主導で進めるにあたり、情報の共有は必須です。
スタッフから管理者へ、また管理者から社長へ、必要事項を的確に報告するスキルを磨くことで、いざという時の迅速な経営判断が可能となりました。

こうして、トップダウン一辺倒の「ワンマン経営」だった顧問先が、大きく変わり始めました。

これらは、社長が現場から離れたことで、自然と生まれた「好循環」ですが、これぞ正に「組織の成功循環モデル」と言えるでしょう。

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、このような循環が組織を成功に導く、と唱えています。

1 関係の質・・・コミュニケーション
2 思考の質・・・アイデア、企画
3 行動の質・・・新たな挑戦
4 結果の質・・・成果が出る
5→1 関係の質・・・信頼感が高まる

1から4の順で進み、5=1へと繰り返すことで、組織内の関係性が良くなり、成功への好循環が生まれるというものです。

企業たるもの、結果を優先しがちです。
しかし、このモデルでは「関係の質」を高めることで、組織の「思考の質」を高め、質の高い思考が「行動の質」へとつながり、最終的に「結果の質」へ向かうと説いています。
つまり、組織の持続的な成長のためには、「関係の質」を向上させることが重要だと考えられます。

この顧問先は、エンパワーメントを実施したことで、組織が変わっただけでなく、社長自身に時間的な余裕が生まれました。
そのため、営業戦略に十分な時間を充てられるようになり、社長自らのトップセールスが奏功した結果、新たな介護事業所のオープンへとこぎつけました。

<<あわせて読みたい>>

ブロックチェーンとは?技術の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

『GAFA』とは?注目の理由や規制強化の背景などを解説

好循環が企業と組織の質を高める

人間と同じように、企業にも「ライフサイクル」があり、次の4つのフェーズに分類されます。

・幼年期
・成長期
・成熟期
・衰退期

とくに、「成長期」における組織構築は重要です。
幼年期は、いかに早く、企業を成長期へ押し上げられるかがポイントとなるため、トップダウンによるスピーディーな指揮命令が欠かせません。
それが成長期に入り、収益が安定してくると、次は、人材確保や育成のフェーズに入ります。

実際に、組織の人数が増加する「成長期」に求められるのが、エンパワーメントの必要性です。
従業員へ業務の権限を委譲することで、仕事に対する自発的な成長が期待できます。
その結果、企業の成長をも促します。

しかし、全てを丸投げすることがエンパワーメントではありません。
仮に、上司への報告・相談ができる環境が整っていない場合、ミスコミュニケーションにつながる恐れがあります。
また、目指すべき方向性や、目標達成のための具体的な指標を示さなければ、従業員の自主性は育ちません。

組織の好循環は、企業の成長を促します。
いま、自社がどこのフェーズにいるのか、そして、それに沿った組織のあり方を再確認することで、さらなる企業の成長へとつなげていきましょう。

<<あわせて読みたい>>

半導体不足はなぜ起きた?いつまで続く?半導体不足の影響や原因、解消の見込みについて

参照

[1]参考:内閣府/少子社会の到来とその影響(少子社会の定義)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2004/html_h/html/g1110010.html
[2]参考:中小企業庁2020年版「中小企業白書」新たな価値を生み出す中小企業p4
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf

書籍『数値化の鬼』の要約解説図をプレゼント!
書籍『数値化の鬼』図解要約資料

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍『数値化の鬼』が、なんと発売後 約1か月で12万部を突破しました!

この感謝を皆様にも還元すべく、株式会社識学では、『数値化の鬼』の図解解説資料を作成いたしました!

一度書籍をお読みになった方も、まだお手元にない方もどなたでも満足いただける完成度となっています!

眺めるもヨシ、印刷して目の付くところに飾るもヨシ、使い方は自由自在!

是非、こちらからDLしてくださいね!

関連コラム