働き方改革や、それに伴う職場環境の変化で、リーダーの役割やリーダーシップのあり方がますます問われています。組織を率いる統率力や指導力がリーダーシップであると言われていますが、メンバーを動かすには、明確なビジョンを持つことやビジョンの共有などが必要とされています。いくつかの定義を確認し、リーダーシップによって得られる効果を具体例とともに紹介します。
目次
リーダーシップの概要とその効果
リーダーシップとは、「人間の集団的努力を喚起し、集団の目的を効果的に達成していくためにリーダーが集団成員に対して行使する対人的な影響力のこと」と経営学辞典に記されています。
具体的な例でみてみましょう。1999年、経営危機に陥っていた日産自動車の最高執行責任者に就任したカルロス・ゴーン氏は、その後の経営建て直しを行い、日本中にゴーンブームを巻き起こしたことは、ビジネスパーソンでなくても多くの人が知るところでしょう。
この建て直しはリーダーの手腕であると広く思われていますが、日産に来てすぐゴーン氏は、「あなた方こそが、再生を導くのであって、自分はサポートするだけ」と言ったそうです。リーダーシップには影響力が欠かせず、リーダーの行動が周囲の共感を呼ぶことが大切であるともと述べています。
リーダーの影響力といえば、持って生まれた才能(カリスマ性)が必要と考える人がいるかもしれません。しかし、ゴーン氏は周囲に影響力を与え、周囲の共感を呼ぶためには、周囲の人と心を通わす努力が必要であると言います。
リーダーの影響力をカリスマ性と呼ぶとすれば、それは決して先天的なものではなく、努力の結果であると言えそうです。
リーダーシップを定義づける2つの理論
さまざまなリーダーシップに関する理論があるなかで、「変革的リーダーシップ理論」および「サーバントリーダーシップ理論」からゴーン氏が述べるリーダーシップを定義づけることができそうです。
● 変革的リーダーシップ理論
1980年代以降に大きく広がってきたリーダーシップ理論の潮流の1つです。不確実で激しく変化する企業組織の経営環境に対して、組織を成功へと導くためのリーダー行動に焦点が当てられ、組織にビジョンを提示しながら他者を導き、動機づけ、組織変革を達成することがリーダーシップの中核的な行動であるとしています。
● サーバントリーダーシップ理論
AT&Tの経営調査担当役員であった、ロバート・グリーンリーフが提唱したリーダーシップの概念です。メンバー誰もが自らのやるべきことを理解し、ほかから指示されなくても必要な行動を自発的かつ正しく行っているとき、組織の生産性が最も高くなるという前提をおきます。その中で、まずは、相手をサポートし、それを通じて、周囲から信頼を獲得し、主体的に協力してもらえるような状況を作り出すものです。
成果は周りが出すもので、自分はサポートするだけ。そのために、何をするべきなのか優先順位をつけ、将来に向けたビジョンを提示し、方向性を決めます。それによって成果が生まれ、自信を回復させることができます。
リーダーシップについて再確認を
リーダーシップの本質を見極め、さまざまな経営者のやり方を倣うのは、リーダーとして取るべき方法の基本とされています。
リーダーとして常に周囲に影響力を与え、周囲を動かし続けるためには、自分自身が継続的に現実や真実を直視し続けることも大切と言えるのではないでしょうか。
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