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女性起業家の現状とは?女性起業家の事例や日本のダイバーシティについて解説

女性起業家の現状とは?女性起業家の事例や日本のダイバーシティについて解説

近年、政府は「多様で柔軟な働き方」「ダイバーシティ」といった新しい価値観と働き方を推奨しています。
なかでもダイバーシティ経営は、
「女性をはじめとする多様な人材の活躍が、少子高齢化の中で人材を確保し、多様化する市場ニーズやリスクへの対応力を高め、日本経済の持続的成長に不可欠[1]」
と位置づけ、特に力を入れています。

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日本の女性起業家の現状

では、ダイバーシティマネジメントが浸透している諸外国と比べて、日本の起業者数はどうでしょう。
図1は、起業活動に関する国際的な調査である
「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター」
による、男女別の総合起業活動指数の国際比較です。


図1:日本政策金融公庫/論文(女性起業家の実像と意義p29)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1405_02.pdf

とくに「女性」に着目してみると、ブラジル(14.7%)や中国(11.0%)に比べて、日本(2.1%)の女性起業者は非常に少ない状態です。
また、男女比で見ても、諸外国より女性の割合の低さが目立ちます。
裏を返せば、女性の起業を促すことが社会のイノベーションの力になり得ると言えそうです。

次に、起業の背景の一つである勤務キャリアについて図2をご覧ください。
男女ともに勤務経験についての差はありませんが、斯業経験(現在の事業に関連する仕事をした経験)の有無について12.8%の差があります。
筆者は新聞社勤務から社労士として独立しましたが、女性は必ずしも「過去のキャリアを生かした起業」にこだわらない傾向にあることが、数字から読み取ることができます。


図2:日本政策金融公庫/論文(女性起業家の実像と意義p32)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1405_02.pdf

次に、開業時の年齢について男女別で調査したグラフが図3です。
女性起業家の平均値が43.7歳と、男性起業家の41.6歳よりも高い結果となっています。
図2の「キャリアの中断を経ての起業」の多さからも、多くの女性起業家は、子育てがひと段落してからの起業である可能性が濃厚です。


図3:日本政策金融公庫/論文(女性起業家の実像と意義p29)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1405_02.pdf

最後に、開業の動機についてです(図4)。
男性の回答で
「自由に仕事がしたかった(54.5%)」
「収入を増やしたかった(50.0%)」
「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった(48.5%)」
に集中しているのに比べ、女性は
「自分の技術やアイデアを事業化したかった(31.4%)」
「年齢や性別に関係なく仕事がしたかった(30.1%)」
などが上位です。

また、男女で差のある回答となったのが、
女性の「趣味や特技を生かしたかった(12.4%)」と、男性の「事業経営という仕事に興味があった(37.5%)」でした。


図4:日本政策金融公庫/論文(女性起業家の実像と意義p32)
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/ronbun1405_02.pdf

これらの結果から、女性と男性では「起業」に対する価値観やモチベーションに、少なからず差があることが分かります。
女性経営者と一緒に仕事をする男性経営者は、この価値観の違いを理解しておくことで、スムーズなリレーションシップ構築につながるかもしれません。

働くこと、健康でいること、幸せであること~心身一如の考え~

では、女性の起業の実際とはどのようなものなのでしょうか。
筆者の知人である女性起業家の事例で見てみます。

Uさんは栄養士の資格を生かし、洋菓子メーカーで8年勤務した後、出産のため退職。
三男が幼稚園へ通い始めたタイミングで、保育所で栄養士のパート社員として社会復帰します。
しかし、家事も育児も仕事もこなす毎日に、心身は悲鳴をあげていました。

そんなとき、「漢方」という治療方法に出会い、人生が一変します。

「漢方は、カラダとココロ全体のバランスをトータルで見直すもの。子育てをしていると、親子で影響し合うこともある。そんなとき、自分自身の声に耳をかたむけ、まっすぐ向き合う大切さを、漢方を通じて知った」

栄養士の資格を持つUさんは、すぐさま独学で「漢方養生指導士」の資格をとり、漢方についての学びを深めます。
そして「この経験を、同じ境遇のママたちに伝えたい」という想いで独立開業し、コミュニティを立ち上げました。

そんなある日、一人のママから「ハンドメイドの作品を売ってみたい」という意見が出ます。
そこで、地域のカフェなどを借りて、ママたちが持ち寄ったバッグやアクセサリー、お菓子を販売することにしました。
当初は「ビジネス」というより「特技を生かしてお小遣い稼ぎ」というくらいの、気楽な感覚でのスタートでした。

継続的に販売を続けるうちに、「売り方の上手な人」と「そうでない人」とで差があることに気付きます。
観察してみると、売り方が上手な人は
「商品のコピーライティングが魅力的」
「ラッピングや展示方法がひと味違う」
などの特徴があります。

8人兄弟の次女であるUさんは“究極のおせっかい”と前置きしたうえで、
「品物はいいのにうまく売れない人を、なんとかしてあげたい!」
と一念発起。
商品が売れないママたちをサポートし、起業に漕ぎつけるお手伝いをするための「女性起業塾」を立ち上げてしまいました。
そしてこれは、Uさんにとって「2つ目の起業」となりました。

Uさんの考えを図式化した図5をご覧ください。
「潜在的起業希望者(起業を将来の選択肢として認識しつつ現時点では準備していない者)」
は約42.9万人存在する[2]と推計され、起業家数拡大のためには、各フェーズでの課題分析と支援が必要と考えられます。


図5:内閣府男女共同参画局/女性起業家を取り巻く現状についてP10
http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/kigyo/pdf/h28_0121_kigyo01_ss2.pdf

さらに、「具体的な起業の準備に踏み切ったきっかけ」について、女性は
「周囲の人の勧め・誘い」
「一緒に起業する仲間の存在」
と回答する割合が高く、これらをサポートする体制が整うことで、より多くの女性が起業に踏み切れる可能性があります(図6)。


図6:内閣府男女共同参画局/女性起業家を取り巻く現状についてP15
http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/kigyo/pdf/h28_0121_kigyo01_ss2.pdf

Uさんに、「起業を目指す女性が起業に踏み切れない原因」を尋ねたところ、

「一番はお金の問題。あとは精神的な部分や子育てなど。意外と多いのは、“どうやって起業に結び付けたらいいのか分からない”という悩みで、この解決方法は私の得意分野。5年間、基盤づくりに孤軍奮闘した経験から、必要な人や情報をマッチングさせるお手伝いができる」
と、頼もしい答えが返ってきました。

前出の調査結果で、起業の理由として
「自分の技術やアイデアを事業化したかった」
「趣味や特技を生かしたかった」
という女性が多かったように、趣味や特技をストレートに起業へ繋げられる人もいます。
しかし、起業願望はあっても、
「なにをどうやって起業すればいいのか分からない」
という女性も一定数存在します。
そんな女性をサポートし、起業までの道のりを一緒に歩むことがUさんの目指すところだそうです。

ダイバーシティの先にある日本の未来

女性の起業についてさまざまな角度から見てきましたが、多様化する市場ニーズやリスクへの対応力を高めるためには、「ダイバーシティ経営」の推進が必須です。これは、日本経済の持続的成長にとって不可欠な取り組みでもあります。

しかしながら、世界における日本の「ジェンダー・ギャップ(男女の違いにより生じる格差)」はどうなのでしょう。図7は2019年のジェンダー・ギャップ指数の順位です。


図7:経済産業省/ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へp47
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/diversitykyousousenryaku.pdf

「ジェンダー・ギャップ指数」とは、経済、教育、政治、保健の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を意味します。

そして、2019年の日本の順位は、153か国中121位と、G7諸国のなかでも圧倒的な最下位です。とくに、政治参画は144位、経済参画は115位と、社会的リーダーシップが必要とされる分野において、著しく低評価が付けられています[3]。

ダイバーシティ経営の推進に必要なことは何か。
その答えの一つに「男性中心の労働慣行の変革」が挙げられます。
先に触れたジェンダー・ギャップ指数における「政治」「経済」分野での格差解消についても、人材戦略がカギとなります。

企業は経営改革の一環として、これら人材戦略を積極的に進めることで、市場環境の変化に迅速に対応でき、さらには企業価値の向上へとつながります。

主婦をしながら、ひょんなことから起業に踏み切る女性もいます。
起業の先で、さらなる起業を決意した女性もいます。
キャリアを中断した女性たちが人材戦略の「精鋭部隊」となる可能性を、見落としてはなりません。

日本社会における女性の活躍について、改めて考える機会となることを願います。

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[1]参考:経済産業省/ダイバーシティ経営の推進
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/index.html
[2]参考:内閣府男女共同参画局/女性起業家を取り巻く現状についてP10
http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/kigyo/pdf/h28_0121_kigyo01_ss2.pdf
[3]参考:経済産業省/ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へp47
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/diversitykyousousenryaku.pdf

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