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やる気やモチベーションを引き出す心理学的方法とは

やる気やモチベーションを引き出す心理学的方法とは

従業員のモチベーション管理というと、多くの経営者にとっては頭を抱える問題です。報酬を上げているのに社員のモチベーションが上がらない。。。なんてお悩みも。

逆に従業員からしても同様です。やる気が出なくて仕事に集中できないという方は多いですよね。

ところが、何によってやる気になるのかは人によって異なり、一律にコントロールするというのは難しいものです。

モチベーションというと、やる気そのものを指すものだというイメージをお持ちの方や、給料のアップでコントロールできるとお考えの方も多いのではないでしょうか。

モチベーションについて正しく理解し、従業員のやる気を引き出すための方法についてご紹介します。

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やる気って?その本来の意味とは

「モチベーションを高める」という言葉もあるように、モチベーションというと「やる気」そのものを指すかのようなイメージがあります。

確かに、それでも間違いではありませんが、その解釈では大事な要素が抜け落ちてしまいます。

やる気は何もしなくても勝手に出てくるというものではなく、必ず何らかのきっかけが必要です。

心理学的には、モチベーションとは「行動を起こさせ、目標に向かって維持する心理的機能のこと」とされています。[1]

つまり、心理学的に見た場合、まず行動を起こさせる要因があること、さらにその行動を持続させることができるものであることの二つが重要であることが分かります。

モチベーションはやる気であるという捉え方をしていると、動機づけとしての側面を見落としてしまいます。

とりわけ経営者として知っておきたい動機づけ理論としては、ハーズバーグの理論があります。

ハーズバーグは、仕事において満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は異なるということを明らかにし、満足をもたらす要因を動機づけ要因と呼び、不満をもたらす要因を衛生要因と呼びました。[2]

動機づけ要因には、仕事の達成感、能力向上や自己成長、挑戦的な仕事などがあり、この動機づけ要因が満たされると、満足度が高まり、モチベーションも高まるとされています。

また、衛生要因には、管理方法、労働環境、作業条件などがあり、こちらの要因が整えられれば不満は解消されるものの、モチベーションの向上には寄与しないとされています。

やる気を出すというのは、あくまで本人のやることであって、外部から他者がコントロールするものではありません。

外部から直接コントロールが可能なのは、動機づけとなる要因であって、やる気そのものではないのです。

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やる気を高めるには?動機づけは人それぞれ!

動機づけといっても、何によって動機づけられるのかは、人によって異なります。

同じように動機づけたとしても、強く反応する人もいれば、ほとんど反応しないような人も出てきます。

この違いを生み出しているものは何でしょうか?

それを明らかにするために、人はなぜ歯を磨くのかを例に解説します。

まず、虫歯になりたくないという人は、虫歯になるという問題を回避することが動機になっており、このようなタイプの人を問題回避型と呼びます。

問題回避型の人は、解決するべき問題や回避するべきことがあると、やる気が高まるとされています。[3]

一方、歯をきれいに美しく見せたいという人は、美しくありたいというのが動機になっており、このようなタイプの人を目的志向型と呼びます。

目的志向型の人は、所有したり、取得したり、達成したり、到達することでやる気が高まるとされています。[3]

このように、行動は同じであったとしても、何によって動機づけされるのかは、人によって異なります。

そして、それぞれの人に応じた動機づけのやり方が必要になってきます。

よって、従業員のやる気を個別に引き出すという場合には、相手が何によって動機づけられるのかを把握したうえで、相手のタイプに応じた方法によって動機づける必要があります。

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モチベーションという言葉には、「動機」という日本語訳があるように、行動を起こす要因を意味します。

先ほども述べたように、動機には、何か問題を回避したいというネガティブなものや、何かを得たいというポジティブなものがあります。

さらにそれ以外にも、動機づけの要因がどこにあるのかによって、外発的動機づけと内発的動機づけに分けられます。[4]

外発的動機づけとは、「報酬を得るためや罰を避けるため、義務を果たすためなど、外部から与えられる強制力による動機づけのこと」です。

外発的動機づけでは、やる気の源は自分の外部にあるため、絶えず誰かにやる気を引き出してもらわないと動けません。

また、報酬を得ることや罰を避けることが目的になってしまい、やる気も長続きしません。

一方の内発的動機づけとは、「興味や好奇心、関心からもたらされる動機づけのこと」をいいます。

内発的動機づけでは、やる気の源は自分の内側にあるため、誰かにやる気を引き出してもらう必要がありません。

外発的動機づけと内発的動機づけを比較した場合、内発的動機づけの方が強いといわれています。

外発的動機づけでは、報酬をもらう、罰を回避するという目的が達成されてしまえば、その時点でやる気は失われてしまいます。

しかし、内発的動機づけでは、もっとよくしたいという気持ちによってやる気が引き出されるので、やる気が長期間にわたって持続します。

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お金で「やる気」は引き出せるのか!?

従業員のやる気を引き出すということを考えた時に、多くの経営者が思いつくのが、給料を上げるということです。

人は、よりよく生きるためにお金を必要とし、お金を得るために働くのだという考えに基づくのであれば、妥当な判断といえるでしょう。

しかし、最近の経済学の研究では、給料のアップがそのままモチベーションの向上につながるわけではないということが明らかになりました。

行動経済学者であるダン・アリエリー氏とジョージ・ローウェンスタイン氏は、インドの田舎町において、課題の出来具合に応じて報酬を与えるという実験を行いました。[5]

グループを三つに分け、それぞれ報酬の金額を異なるようにし、一番報酬が高いグループには、1カ月分の生計費に相当する金額を設定しました。

従来の考え方では、報酬が一番高いグループの成績が一番いいだろうと予測されますが、得られた結果は、最も高い報酬が得られるグループの成績が顕著に悪かったというものです。

この結果から分かることは、金銭的なインセンティブはいつでも効果的というわけではなく、高額報酬の重圧によって、かえってパフォーマンスが低下することもあるということです。

モチベーションは、給料をアップさせると、それに比例して増えていくという単純なものではないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

従業員のモチベーションを上げるうえで重要な要素とは

それでは、お金に頼らずにモチベーションを上げる方法はないのでしょうか?

お金以外の要素について検証するために、スペインと米国の研究チームは、次のような実験を行いました。[5]

5人一組のグループを作り、そのうち一人を経営者役にし、仮想的に会社の再建ゲームを行います。

再建策として経営者に与えられた選択肢は、「ボーナスを増額すること」と「従業員との間のコミュニケーションを活性化すること」の二つです。

このゲームにおいても、従来の考えではボーナスを増額したほうがいい結果が出ると予想されますが、実際には、コミュニケーションを活性化したほうが効果があるという結果が出ました。

従業員を元気づけるメッセージを送った場合、最も怠惰な従業員の働きぶりは、コミュニケーションが無い場合に比べると約3倍となり、さらにメッセージに対して返信できるようにすると、働きぶりは5倍に跳ね上がったという結果です。

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【まとめ】やる気のアップには、コミュニケーションが大切

いかに職場のコミュニケーションが、モチベーションをアップさせる上で重要であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

結論として、従業員のモチベーションをアップさせるために、経営者は間違った努力をしている可能性があるということです。
いくら給料を上げたとしても、そこにコミュニケーションがなければ、モチベーションのアップにはつながりません。

給料を上げているのに、思ったほど業績が伸びていないという場合、一度社内のコミュニケーションについて見直されてみてはいかがでしょうか。

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[1]出所「教養のトリセツ 心理学」横田正夫監修 日本文芸社 P188
[2]出所「教養のトリセツ 心理学」横田正夫監修 日本文芸社 P190
[3]出所「「影響言語」で人を動かす」シェリー・ローズ・シャーベイ著 実務教育出版 P80~81
[4]出所「教養のトリセツ 心理学」横田正夫監修 日本文芸社 P186~187
[5]出所「週刊東洋経済 第6572号」東洋経済新報社 P78~79

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