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新型コロナウイルスの影響 企業経営者の考えるべきこととは

新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい、毎日様々な情報が流れ、混乱したり不安に感じたりする人も少なくありません。
トイレットペーパーをはじめとする紙類の買い占めは、その不安が臨界点を超えた現象とも言えるでしょう。
今回のこの騒動は、企業経営を巡る考え方としても、いくつかの教訓が見えてきました。

 

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トイレットペーパーを巡る様々な心理

 

まず最初に筆者は、買い占めてしまう心理を全否定するわけではなく、しかし倫理的に考えるべき部分もある、とする立場から本稿を書いていることをお断りしておきます。

さて、トイレットペーパーについては、一つのデマがきっかけで、たった1日でほとんどの小売店から姿を消しました。1日もかからなかったでしょう。
前日まで普通に店頭にあったものが、わずか半日ほどで在庫も尽き、入荷の見通しも立たなくなってしまったのです。

そのデマとは、「トイレットペーパーは中国産が多く、手に入らなくなる」といったものです。

ほとんどの場所で買い占めが起き、その後も朝からトイレットペーパーを確保するために小売店には長蛇の列ができるようになりました。影響はいまだに続いていて、東京郊外の筆者の自宅付近ではまだ入荷は不安定な状態です(20年3月9日)。

デマがきっかけとはいえ、実際に店頭から紙類が消えたという意味では「デマが現実になった」とも言えるでしょう。それが食品にまで飛び火し、米の買い占めが起きるまでに騒動は発展しました。

ただこれは、一種の防衛本能として致し方ない部分もあり、一人一人の行動を一概に責めることはできないのが本当のところではないかと感じます。近年でも大規模災害が相次ぎ、「なくなりそうなんだったら買わなければ」という心理が働くのはある種当然でもあります。

そして、中国産だというのがデマだとわかった後、ネット上には様々な意見が飛び交うようになりました。デマの発信者は責められて当然ですが、買い占めに走った人を非難する、高額で転売する人を非難する、あるいは、「ないという話だけを発信するから悪いんだ」とマスコミを責める。
「お一人様1点まで」なんていうから不安心を煽るんだ、と小売店を責める意見もありました。

ただ、これらに共通しているのは、一種の「正常性バイアス」もありそうだという点です。

他者を「責める」ことで、「自分はそんなことに踊らされるバカな人間ではない」と言い聞かせて安心しようという部分も少なからずあると考えられます。そして、「後付けの非難」である様子も散見されます。

ここまでは、ある程度本能的な部分として、筆者としては全面否定はできません。
筆者が驚いたのはむしろ、トイレットペーパーやティッシュペーパーは売り切れているのに紙おむつは何故か売り場にあること、消毒液は売り切れているのに固体石鹸は残っていること、といった現象です。
「紙類がなぜ必要なのか」を見失っているのです。トイレットペーパーが中国産だとして、他はどうか?と疑わず、消毒スプレーやハンドソープのことは知っていても、石鹸で手を洗えることに思いが至っていないのです。本質を忘れていると言っても良いでしょう。

ここまでは生活者個人の話ですが、これを企業活動に当てはめた時は違ってきます。「なくなりそうなものをいかに確保するか」を考えるのも大切なのですが、一つ考えたいのはこの騒動は「思考停止」が招いているということです。
本来、企業であればなおさら、初動段階で確保と同時に「代替品はないか」「協力できる会社はないか」と考えなければならないのです。

さらには、この先に何が不足するのかという読みも必要です。このトイレットペーパー騒動の場合、正解は「流通体制」ということになります。そして、その先にも様々なものが想定されるでしょう。これが少し遅れるだけで、影響を引きずる期間は長くなります。

さて、その後、イオン東雲店が山積みのトイレットペーパー売り場を作り、「お一人さま10点まで」というポップを出して賞賛を浴びました。「10点まで」という言葉のシニカルさも、また人を落ち着けたのでしょう。胸のすく思いをした人は多いことでしょう。

「空っぽの棚を見せるんじゃなくて、ビジュアルで見せることが大事」
「10点まで、なんて言われたら流石に買う気がなくなるよね」
「さすが大企業」
といった具合です。

実は、イオンのこの対応が可能になったのは、大量のトラックをイオンが手配し製紙会社の元に取りに行ったという裏側があります。ボトルネックを見抜き、まさに「流通体制」に目をつけた形です。
この機転もさることながら、今度は
「品薄のところにトラックを止めて臨時販売所を作ればいいのに」
「仕事の減っている観光バスで運べばいいのに」
というアイデアがネット上で飛び出しています。
実現可能性はともかく、こちらに頭が向くかどうかは明暗を分けるところでしょう。

「意外な方法で成功した」という企業は、こういった発想から生まれているように思います。

ただ同時に、東京都内のこの店舗では大量に並んでいるけれど、自分の近所で実際に買えているかどうかも確認する必要があるでしょう。過度の安心で足元をすくわれることもありす。世の中の心理や周囲はそうであっても自分がどうなのか、という認識を忘れてはなりません。

これはひとえに「日常的に適度な緊張感を持って過ごせているか」に尽きるでしょう。日常の安定に気を抜きすぎるが故に、有事にこうしたパニックが起きるのです。

 

突きつけられた現代の「トロッコ問題」

 

このウイルスが日本でも流行の兆しを見せ、有効な対策が未だ見えていない印象は拭えません。
しかし考えておきたいのは、今回、目に見えない未知の感染症が現代の「トロッコ問題」を突きつけたということです。

トロッコ問題、とは、昔からある思考実験です。
自分がトロッコに乗っていて、止めることができない。途中に分岐点があり、まっすぐ行った先には人間が5人横たわっている。もう片方には1人が横たわっている。自分がレバーを引くか引かないかで、どちらに進むかだけが制御できる状態でどうするか、というものです。

レバーを引かなければ5人が死んでしまいます。レバーを引けば1人が犠牲になります。ただ、ここで問われているのは、レバーを引いた場合「自分の意識で」1人を犠牲にするということです。

実はこれには、思考実験として問われる時よりも、ビジネスとして問われた時の方が判断を下しやすい性質があります。ダイレクトに人命を奪うかというと、そうではないことがほとんどだからです。
しかし、今回はまさに人の健康や命が関わってきています。多くのジレンマがあります。

・感染防止のために経済活動を止めてしまうのか、感染リスクの高い満員電車を動かして経済活動を維持するのか?

・症状のない感染者まで全てを病院で受け入れ医療体制をパンクさせてしまうのか?死に近い重症患者となって初めて搬送される状況を続けるのか?

・ウイルスにより不幸にして命を落とす方と、不況により職を失い、結果として命を落としてしまう方との両方が出るかもしれません。この場合、どちらを「仕方ない」と考えるのか?

もちろん、絶対的な正解はありません。それゆえ「ジレンマ」と呼ばれるのですが、現実問題として頭の隅に置かなければならなくなってきています。

 

「妥協点」の目安を

 

日頃、企業は、「どうやって売り上げを伸ばすか、成長するか」ということを考えて活動しています。上を上を向いています。

しかし同時に「トロッコ問題」に似た状況を抱える今、考えておきたいことがあります。

それは、「落ち目の時にどこまでなら妥協できるか」ということです。
今立っている地面が抜け落ちた時に、何を切り捨て、リソースをどう分配するのか。
どこまで踏ん張るのか、どの段階で誰に救いを求めるのか。リストラなのか賃下げなのか事業売却なのか。

もちろん不謹慎なことは考えたくありませんが、危機が目の前にある今だからこそ意識したいところです。

なお、ドラッカーの名言に、

「砂漠では、教養など何の役にも立たない。生きる技術を持っているかどうかが生き残れるかどうかを分ける。厳しいビジネスの世界も同じである」

というのがあります。

これを「極論」だとは言えない時代になってきたようです。

何を残し、何を捨て、あるいは何をどれで代替するのか。

危機にあたっての初動の遅れがトロッコ問題をどんどん複雑化するという事実は、今の社会を見れば明らかではないでしょうか。
「最悪の事態」を想定するのは、悪いことではありません。

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