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ABM施策の効果測定と改善ポイント

ABMは的確なターゲティングと個別最適化された施策が鍵ですが、その成果を正しく評価し、改善しなければ最大のROIは得られません。

本記事では、効果測定の重要性、代表的な指標、データ収集・分析手法、そして成果を高める改善ポイントを解説いたします。データドリブンなABM運用でマーケティング活動を最適化しましょう。

1. ABM施策の効果測定の重要性

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定のターゲット企業に対してパーソナライズされたアプローチを行うB2Bマーケティング戦略です。

従来のリードジェネレーション(Lead Gen)施策が「幅広く見込み顧客を集める」のに対し、ABMは「最も価値の高い企業と深い関係を築く」ことを目的としています。

そのため,

ABMの効果測定では「どれだけ多くのリードを獲得したか」ではなく、「どれだけターゲット企業と良好な関係を築けたか」を測ることが重要になります。

ABMの成功を判断するにはABM特有のKPIを設定し、それに基づいた効果測定を行う必要があります。

(1)ABMの効果測定が難しい理由

ABMの効果測定が難しいとされる理由は、以下の3点にあります。

①ターゲットアカウントごとに購買プロセスが異なる

ABMは特定の企業ごとに戦略を最適化するため、企業ごとに成果が出るタイミングやパターンが異なることが多いです。

例えばA社は数カ月で商談化する一方、B社は1年以上の時間をかけて意思決定を行うこともあります。そのため、単純な短期的な数値だけではABMの成功を判断しにくいのです。

②「接触回数」だけではなく「関与度」を図る必要がある

従来のマーケティングでは、「何人のリードが資料をダウンロードしたか」「何件のお問い合わせがあったか」といった数量的な指標が重視されます。

しかし、ABMでは「ターゲット企業の意思決定者がどれだけ関与しているか」が重要になります。例えば、ターゲット企業の担当者が以下のような行動をとっている場合、それは関心の高まりを示すサインとなります。

・ABM施策で送ったコンテンツを何度も閲覧している

・イベントやウェビナーに複数の部署のメンバーが参加している

・メールの開封、返信率が高まっている

こうした行動を数値化し、企業ごとに適切なスコアリングを行うことが求められます。

③ABMと従来のマーケティング施策のKPIを同列に扱えない

リードジェネレーションの施策では、クリック数・CV数・新規リード数などのKPIが一般的ですが、ABMではそれだけでは不十分です。ABMでは、以下のようなKPIを設定する必要があります。

・ターゲットアカウントごとのエンゲージメントスコア

・企業内の意思決定者との接点の増加数

・商談化率・受注率・契約規模の変化

これらの指標を組み合わせ、短期的な数値ではなく、長期的な関係構築の成果を評価する視点が必要になります。

(2)ABM施策の効果測定を行うメリット

ABMの効果測定を適切に行うことで、以下のメリットを得られます。

①施策のROIを可視化できる

ABMは従来のマーケティングよりも施策ごとのコストが高くなりがちですが、効果測定を適切に行うことで、どの施策が収益に貢献しているかを可視化できます。例えば、以下のようなデータが分かれば、投資対効果(ROI)の改善が可能になります。

・どのコンテンツが最もエンゲージメントを高めているのか

・どのターゲット企業が商談に繋がりやすいのか

・どの営業アプローチが受注率を高めているのか

②ターゲット企業へのアプローチを最適化できる

ABMの効果測定を行うことで、どの企業がどの段階にいるのかを把握し、最適なタイミングで適切なアクションを取ることができます。例えば、以下のようなアプローチが可能になります。

・エンゲージメントの高い企業には、営業から個別フォローを強化する

・まだ関心度の低い企業には、認知を高めるコンテンツを提供する

・意思決定者との接点が少ない企業には、イベント招待を強化する

③ 営業とマーケティングの連携が強化される

ABMでは、マーケティングだけでなく営業チームとの連携が不可欠です。効果測定を通じて、営業とマーケティングが共通のKPIを持つことで、より協力しやすくなります。例えば、

・「この企業はコンテンツを3回閲覧し、意思決定者が資料をダウンロードしているので、営業フォローを強化する」

・「ターゲット企業の1社がイベント参加後に商談化したので、類似企業へのアプローチを強化する」

このように、データを活用した連携が可能になります。

2. ABM施策の改善ポイント

ABM(アカウントベースドマーケティング)の効果を最大化するためには、継続的な改善が不可欠です。効果測定データをもとに、施策の成果を分析し、ターゲット企業ごとに最適なアプローチを見つけることが成功の鍵となります。

ここでは、ABM施策の改善ポイントを 「ターゲティング」「コンテンツ」「エンゲージメント」「営業連携」「テクノロジー活用」 の5つの視点で解説します。

(1) ターゲティングの精度を向上させる

ABMの成功は、適切なターゲット企業を選定できているかどうかにかかっています。施策を最適化するには、ターゲティングの精度を継続的に見直すことが重要です。

① データに基づくターゲット企業の見直し

・既存のターゲット企業のエンゲージメント率・商談化率・受注率を分析し、成果の高い企業の特徴を特定
・高成果企業と類似の属性を持つ企業をリストアップし、新たなターゲットリストを作成

② ターゲット企業内のキーパーソンを特定・拡張

・意思決定者や影響力のある担当者が誰かを明確にし、アプローチする対象を最適化
・LinkedInやFacebookを活用し、新たなキーパーソンを特定し、リーチを広げる

改善施策の例
・ABMリストの見直し:1年間の施策結果を分析し、商談化率の高い企業の業種・規模・地域を特定します。
・ ターゲット企業内の影響者を増やす:営業と連携し、既存の接点だけでなく、新たなキーパーソンにもアプローチを行います。

(2) コンテンツの最適化

ターゲット企業が求める情報を提供し、興味を引くコンテンツを作成することは、ABM施策の成功に直結します。

① 各ターゲット企業のフェーズに応じたコンテンツ提供

・認知フェーズ(初期接触):業界動向レポート、ブログ記事
・関心フェーズ(リード獲得):ウェビナー、ホワイトペーパー、ケーススタディ
・意思決定フェーズ(商談化):導入事例、無料トライアル

② パーソナライズドコンテンツの活用

・ターゲット企業ごとにカスタマイズした提案書やメールを作成し、関心度を高める
・動的コンテンツ(Webサイト、メール)を活用し、企業ごとに異なるメッセージを表示

改善施策の例
・ ホワイトペーパーのダウンロード後、個別フォローアップメールを自動送信できる設定にします。(コンテンツのリマーケティング)
・ 業界別にカスタマイズした事例集を作成し、ターゲット企業に送付を行います。

(3) エンゲージメントの向上

ターゲット企業との関係構築を強化するために、エンゲージメントを高める施策が重要です。

① マルチチャネルアプローチを強化

・メール、SNS、オンラインイベント、広告、ダイレクトメールなど、複数のチャネルを組み合わせることで、企業の関心を高める

② インタラクティブな施策を取り入れる

・ウェビナーやQ&Aセッションを開催し、ターゲット企業とリアルタイムで交流
・ターゲット企業の課題に基づいた無料診断ツールを提供し、具体的な提案のきっかけを作る

改善施策の例
・Webサイト訪問者に対し、チャットボットを活用したパーソナライズ対応を行います。
・過去にウェビナー参加履歴のある企業に、特別なオファーを送付します。

(4) 営業との連携を強化

ABMは、マーケティングと営業が一体となって取り組むことで効果を発揮します。

① SLA(サービスレベルアグリーメント)の策定

・マーケティングと営業で、リードの定義(MQL、SQL)を統一し、スムーズな引き渡しを実現します。
・ABMリードに対する営業対応のルールを策定(例:3日以内にアプローチする)。

② 営業とのリアルタイムな情報共有

・CRMやSlackを活用し、ターゲット企業の動きをリアルタイムで共有。
・営業が受け取るABMリードの情報を充実させ、スムーズなフォローができる環境を整備。

改善施策の例
・ABMリードの状況を営業と共有し、フォローアップのタイミングを最適化させます。
・営業が直接活用できる「企業ごとの提案テンプレート」を用意します。

(5) テクノロジーを活用し、施策を自動化・高度化

最新のテクノロジーを活用し、ABM施策の精度と効率を向上させることも重要です。

① AI・機械学習を活用したリードスコアリング

・AIを活用し、ターゲット企業の購買意欲をスコアリングすることで、営業が優先すべき企業を明確化。
・過去のデータを基に、ABM施策の成功確率が高い企業を特定。

② ABM専用ツールの活用

・ABMプラットフォームを活用し、ターゲット企業の行動データを分析。
・ダイナミック広告を活用し、ターゲット企業ごとに異なる広告を配信。

改善施策の例
・ AIによる「ホットリード予測」機能を導入し、営業の優先順位を最適化します。
・ターゲット企業ごとに異なるLP(ランディングページ)を表示し、エンゲージメントを向上を図ります。

記事のまとめ

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定のターゲット企業に対してパーソナライズされたマーケティング・営業活動を行うことで、高いROIを実現できる戦略です。しかし、その効果を最大化するためには、継続的な効果測定と施策の改善が不可欠です。

ABMは「一度実践して終わり」ではなく、データを活用しながら改善を繰り返すことが鍵です。

本記事の内容を参考に、自社のABM施策を見直し、より効果的なマーケティング戦略を実施いただけますと幸いです。

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