終身雇用制度が崩壊した今、転職を前提にキャリアプランを組む必要があります。
その中で近年、エンプロイアビリティという概念が注目を集めるようになりました。
エンプロイアビリティは、「雇用を得るために必要な能力」を指し、エンプロイアビリティを有しているかどうかが今後のキャリアを大きく左右すると言えます。
本記事では、ビジネスマン向けにエンプロイアビリティについて解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
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目次
今注目されているエンプロイアビリティとは？
エンプロイアビリティ（employability）は、継続雇用を得るために求められる能力のことです。
人材流動性が高いことで知られるアメリカで1980年代に生まれた概念であり、一般的には、エンプロイアビリティが高いと転職や再就職で有利になると言われています。
日本でも近年は「終身雇用神話」が崩壊し、転職が当たり前になったため、エンプロイアビリティが注目されるようになりました。
現在、エンプロイアビリティは全てのビジネスパーソンに求められる能力になっています。
キャリアプランを組む際は、エンプロイアビリティを習得できるように計画を立てる必要があるでしょう。
エンプロイアビリティとエンプロイメンタビリティの違いは？
エンプロイアビリティに似た言葉として、エンプロイメンタビリティ（employmentability）が挙げられます。
エンプロイメンタビリティは、企業の雇用能力のことです。
エンプロイアビリティが雇用『される』ための能力だとしたら、エンプロイメンタビリティは雇用『する』ための能力と言えます。
エンプロイアビリティの高い優秀な人材を獲得するには、企業側にも一定のエンプロイメンタビリティが求められるでしょう。
エンプロイアビリティのメリットとは？
ここではエンプロイアビリティのメリットを、従業員と雇用主のそれぞれの視点から解説していきます。
従業員側のメリット
従業員側のメリットとしては、以下が挙げられます。
- 給与アップに繋がりやすい
- 転職を有利に進めやすい
- 自分の意見が通りやすくなる
エンプロイアビリティが高くなることは、根本的な能力が高くなることを意味します。
そのため、結果として給与アップに繋がりやすくなるのです。
ソフトウェア開発スキルなど、どの企業でも活躍できるエンプロイアビリティを習得しておけば、転職を有利に進められるようになります。
これが結果として強い賃金交渉力に繋がり、給与アップにも繋がるのです。
それと同時に、企業としてもエンプロイアビリティの高い優秀な人材を確保しておきたいため、ある程度の融通が効くようになります。
例えば新入社員の多くは、まだスキルが何もないため、基本的には企業側の意向で部署が決まることがほとんどです。
一方でエンプロイアビリティの高い人材は、スキルや実績があるため、自分の意向で部署配属を決められるようになります。
このように、エンプロイアビリティを高めておくことは、従業員に多くのメリットがあるのです。
雇用主側のメリット
一方で雇用主側のメリットとしては、以下が挙げられます。
- 質の高い従業員を育成できる
- 人件費を削減できる
- 従業員からの支持を集めやすくなる
雇用主側のメリットとして、まず挙げられるのが「質の高い従業員を育成できる」ことです。
エンプロイアビリティの高い人材は優秀なので、安心して仕事を任せられるようになります。
人材育成で発生したコストも、業績向上で十分に回収できるでしょう。
また、エンプロイアビリティの高い人材を育成することで、結果として人件費を削減できるようになる可能性があります。
なぜなら、少人数で業務を十分に回せるようになるからです。
人件費が削減されれば、その分だけ人材育成や環境強化に投資できます。より良質な職場環境を構築できるようになるでしょう。
そして、従業員のエンプロイアビリティを強化することで、従業員の帰属意識が強まる可能性も考えられます。
本来、エンプロイアビリティは転職で活用するための能力ですが、それを企業が率先的に強化しようとすることで、従業員にとって魅力的な企業と評価されるのです。
エンプロイアビリティのデメリット・注意点はある？
エンプロイアビリティのデメリットは、優秀な人材が外部に流出するリスクがあることです。
元々、エンプロイアビリティは転職で活用する能力です。
エンプロイアビリティの高い人材は、自身のステップアップや競合他社からの引き抜きにより、離職してしまう可能性があります。
そのため、企業はエンプロイメンタビリティを強化して、エンプロイアビリティの高い人材を確保できるように準備しておく必要があるのです。
エンプロイアビリティの種類について
エンプロイアビリティの種類としては、以下の4つが挙げられます。
- 相対的エンプロイアビリティ
- 絶対的エンプロイアビリティ
- 外的エンプロイアビリティ
- 内的エンプロイアビリティ
それぞれ詳しく解説していきます。
１：相対的エンプロイアビリティ
相対的エンプロイアビリティは、時代の変化やニーズによって価値が左右されるスキルのことです。
まだタイプライターが普及したばかりの頃は、キーボードを打つことができる秘書が重宝されていました。
しかし今は、キーボードを打てることは当たり前の時代です。
現在であれば、ソフトウェア開発やAI開発ができる人材が重宝されています。
相対的エンプロイアビリティは、良くも悪くも社会動向や技術の進歩によってニーズが急減する可能性があることを覚えておきましょう。
２：絶対的エンプロイアビリティ
一方で絶対的エンプロイアビリティは、時代の流れに左右されないスキルのことです。
例えば、読書で得られた深い教養や、日々の生活によって養われる礼節は、どの時代でも求められる能力です。
ただし、絶対的エンプロイアビリティは相対的エンプロイアビリティに比べて、習得期間が長い傾向にあります。
３：外的エンプロイアビリティ
外的エンプロイアビリティは、現在属している企業のみに関わらず、社外（広く労働市場）においても価値を発揮するスキルのことです。
例えば、高度な営業スキル、マネジメントスキル、プログラミングスキルなどは、どの企業でも求められるスキルです。
外的エンプロイアビリティの高い人材は、どの企業でも能力を発揮できるため、労働市場において価値が高くなります。
転職を前提にキャリアプランを組む場合は、外的エンプロイアビリティをどのように習得するかを考えるといいでしょう。
４：内的エンプロイアビリティ
一方で内的エンプロイアビリティは、社内でのみ価値を発揮するスキルのことです。
自社独自のワークフローやノウハウが、内的エンプロイアビリティとして挙げられます。
内的エンプロイアビリティは、労働市場において価値を発揮しませんが、自社で継続雇用を獲得するためには欠かせないスキルです。
また、終身雇用制度の文化が残っている日本企業は、内的エンプロイアビリティを重視する傾向があります。
エンプロイアビリティの要素について
エンプロイアビリティの要素としては、以下の3つが挙げられます。
- 知識と技能
- 思考特性と行動特性
- パーソナリティ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
１：知識と技能
エンプロイアビリティには、特定のスキルや専門知識が要素として含まれます。
例えば、エンジニアであれば基本的なコンピューター知識やプログラミングスキルが必要不可欠で、労働市場における人材価値を決定づける大きな要因になります。
２：思考特性と行動特性
エンプロイアビリティには、どのように考えて行動するかという思考特性と行動特性も含まれます。
営業職であれば、自分自身のノルマを重視するか、それとも企業全体の業績を重視するかで、行動パターンは大きく変わるはずです。
一般的に、エンプロイアビリティが高い人材は、企業が望む行動を取ることができます。
３：パーソナリティ
個人的な価値観や性格を始めとするパーソナリティも、エンプロイアビリティに含まれます。
例えば、「なぜ働くのか？」という問いに対して、その答えが「賃金」か「やりがい」なのかで、仕事に対するモチベーションは大きく変わります。
ただし、パーソナリティは客観的な判断が難しいため、人事評価では除外されることが多いです。
エンプロイアビリティを高めるためにはどうしたらいい？
では具体的に、エンプロイアビリティを高めるにはどのようにすればいいのでしょうか。
一般的には、以下のステップを踏むことでエンプロイアビリティが高められます。
- キャリアプランを明確にする
- 社会のニーズを確認する
- スキル習得に励む
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ1.キャリアプランを明確にする
まずは自分のキャリアプランを明確にします。最終目標を立て、そこから逆算で考えていくのが「識学式」です。
例えば、「世界のどこででも働けるようにしたい」という最終目標があるとしましょう。
そして、その目標を達成するためにはどのようなスキルが必要なのかを整理します。おそらく、ITスキルと外国語が必要になるはずです。
その後は、ITスキルと外国語をどのように習得するかを明確にしておきます。
このように逆算でキャリアプランを立てていくことで、実現性のある計画を作成できます。
ステップ2.社会のニーズを確認する
大まかなキャリアプランを立てた後は、社会のニーズを確認します。
例えばITスキルであれば、今もっとも価値の高いITスキルと、今後伸びるであろうITスキルを分析します。
外国語であれば、英語、中国語、スペイン語など、自分が習得すべき言語を整理しましょう。
また、自身にとっての習得難易度を理解することも重要です。事実として、文系人材が半導体開発に携わるのは現実的ではありません。
数学が苦手なのであれば、デザイン重視のWebデザイナーという選択肢も挙げられます。
何よりも、目先の生活で食べていくために、ニーズのあるスキルを早急に身につける必要があるでしょう。
ステップ3.スキル習得に励む
実際に自分が習得すべきスキルが定まったら、スキル習得に励みます。
資格取得を目指したり、研修を受けたり、読書を積み重ねたりするなど、一定の時間と労力をかけてスキルを習得します。
コスト面では、企業の補助制度を利用するのが最適です。
もし補助制度がない場合は、自己投資だと割り切って自分でコストを支払うことも、モチベーション向上という点で有効だと考えられます。
また、近年はYouTubeやUdemyなど、独学のための教材が豊富に揃っているため、やる気さえあれば、さまざまなスキルを身につけることも可能でしょう。
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もし、従業員の離職が相次いで、優秀な人材を確保できなくなったら、識学を利用して自社のエンプロイメンタリビリティを改善してみてはいかがでしょうか？
まとめ
本記事ではエンプロイアビリティについて解説してきました。
エンプロイアビリティは雇用を確保するための能力で、優秀な人材は優れたエンプロイアビリティを有しています。
キャリアプランを計画する際は、エンプロイアビリティを念頭に置いて、ロードマップを構築するといいでしょう。
また、企業目線でも、エンプロイアビリティの高い人材を確保するための、エンプロイメンタビリティが求められます。
優秀な人材を獲得するために、自社の魅力を最大化しておくことが大切です。
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