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経営理念とは?企業のビジョンを伝える活用方法と組織に浸透させるテクニック

経営理念とは

経営理念は、企業の舵取りとなる重要な指針です。

そのため、決定には慎重である必要があるとともに、企業運営において効果的なものであることが大切です。

今回は経営理念の定義や作成方法、そして組織内部に経営理念を浸透させるコツを詳しく解説します。

実際の企業事例もご紹介しますので、ぜひ自社で経営理念を作るときの参考にしてください。

【この記事の要約】

・経営理念は、企業の基本的な信条や目指すべき方向性を示す指針

・経営理念を作るときは、核となる価値観をビジョンを特定し、インパクトある表現を使うのがポイント

・経営理念を組織に浸透させるには、会議や研修で繰り返し伝達するほか、社内報やSNSを活用した日常的な共有が効果的

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経営理念(Corporate Philosophy)とは?

経営理念は、企業の基本的な信条や目指すべき方向性を示す指針です。

企業理念を自社組織内に浸透させることができれば、すべての従業員がひとつの方向性に向かって進めるようになるでしょう。

また、対外的に経営理念を広めることで、ステークホルダーから信頼を得られ、ブランディング向上にもつながります。

経営理念とは?企業の価値観や方向性を示す指針のこと

経営理念をわかりやすく定義すると「企業の価値観や方向性を示す指針」となります。

経営理念は短文のメッセージで伝えることが多く、次のような3つの要素を組織内外に伝えます。

【経営理念に含まれる重要な要素】

  • 価値観……企業が大切にする倫理観や社会的責任
  • 目指す方向性……企業が長期的に達成したい目標やビジョン
  • 行動指針……従業員の日々の業務や意思決定に影響を与える基準

従業員やステークホルダーが経営理念を見るだけで「企業がどのような方向性で事業を営んでいるのか?」「将来的なビジョンは何なのか?」がわかるでしょう。

確固とした経営理念は、企業の成長を導きます。

一方で、経営理念がはっきりしない企業では従業員の目標も曖昧になり、結果として組織の衰退を招くことがあります。

経営理念と企業理念との違い

経営理念と企業理念は、しばしば混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。

経営理念とは、企業がどのような経営を目指すのかを示した指針です。

一方、企業理念は、企業の社会的責任や、倫理観を反映したメッセージのことを指します。

トヨタにおける経営理念や企業理念の違いを見ると、わかりやすいかもしれません。

【代表的な経営理念、企業理念の例※トヨタの例】

経営理念(基本理念) 企業理念
トヨタ
  1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
  1. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
  1. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
  1. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
  1. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
  1. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
  1. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
人・社会・地球環境との調和を図り、モノづくりを通して持続可能な社会の実現を目指します

トヨタの例を見るとわかるように、経営理念は「社内向けに書かれたメッセージ」、企業理念は「社会全体に向けられたメッセージ」と理解できます。

経営理念を掲げるべき3つの理由

企業が経営理念を掲げるべき理由としては、次の3つがあります。

  1. 経営者と従業員が共通の目標に向かって歩むため
  2. モチベーションやエンゲージメント向上のため
  3. ブランディング力向上のため

経営者と従業員が共通の目標に向かって歩むため

経営理念があれば、経営者と従業員が共通の目標に向かって歩むことができます。

経営理念が組織に浸透すれば、次のような効果も得られるでしょう。

  • 一体感の醸成……組織全体が同じ方向を目指せ、一体感が得られる
  • 共通のビジョンによる意思疎通……全員が経営理念を基準にした意思疎通が図れるため、社内コミュニケーションにおいてストレスが少ない
  • 目標達成……共通の理念に基づき、モチベーションを維持しながら全員が高い目標にチャレンジできる

普段の業務では「なにが正しいのか?」迷うことも多いでしょう。

そういったときに確固とした経営理念があれば、いつでもあるべき姿に戻れるため、迷うこともなくなります。

モチベーションやエンゲージメント向上のため

経営理念は、従業員のモチベーションやエンゲージメント向上にも役立ちます。

共通した経営理念があると、自分の仕事がどのように経営理念に貢献できているのか、個人的な達成感も味わえます。

また、経営理念に基づき「会社に貢献したい」と思うようになれば、自然と自己成長に向けて努力できるでしょう。

経営理念は、従業員の内面的な動機付けを促す原動力ともいえます。

ブランディング力向上のため

経営理念には、企業のブランドメッセージが含まれることも多いため、ブランディング力向上の面でも大きなメリットがあります。

競合他社とは違った独自性を経営理念に取り入れることで、他社との差別化をアピールできます。

また、SDGSなどの社会的責任を果たすメッセージがあれば、消費者はブランドに対して強い好意を持ち、自社製品のファンも増えるでしょう。

効果的な経営理念の作り方

経営理念を作るときは、次のようなステップを踏むのがおすすめです。

  1. 企業の核となる価値観やビジョンを特定する
  2. 明確かつインパクトのある表現を選ぶ
  3. 社内外への共有やプロモーションを強化する

企業の核となる価値観やビジョンを特定する

効果的な経営理念を作成するには、まず企業の核となる価値観やビジョンを明確にする必要があります。

具体的には、組織内の強みや弱みを分析し、全従業員が共有すべき価値観とはなにか、見極めるようにしましょう。

そのうえで、市場の動向や競合他社の戦略をリサーチし、どのように独自性を出すかを考えます。

最終的には、企業が将来達成したい具体的な目標やビジョンを明確にしていくと、経営理念に盛り込むべきメッセージが見えてきます。

明確かつインパクトのある表現を選ぶ

経営理念を作るときは、「明確」かつ「インパクトある表現」を使うようにしましょう。

経営理念は、公式Webサイトや社内外の文書に記載することも多いため、複雑な言葉よりもシンプルで理解しやすい言葉が好まれます。

また、抽象的な表現を避け、具体的なビジョンや目標を数値化したメッセージがいいでしょう。

組織内で浸透させたいなら、聞く人の心に響くように、感情を言葉に託すことも必要になってきます。

言葉一つひとつに重みを持たせ、社内はもちろん、社外のステークホルダーに語りかけるようなメッセージが理想です。

社内外への共有やプロモーションを強化する

具体的な経営理念が決まったら、社内外への共有とプロモーションを強化していきましょう。

具体的には、次のような施策が有効です。

  • 社内コミュニケーション……定期的な会議や研修、社内報を通じて経営理念を従業員に浸透させる
  • SNSの活用……WebサイトやSNSを活用し経営理念を広く伝える
  • 外部イベントへの参加……展示会や業界イベントなどで経営理念をアピールする

社内メールや掲示物など、あらゆる場所に経営理念を掲げる方法は、組織内に浸透させるうえで重要な取り組みといえます。

良い経営理念とダメな経営理念の特徴

「良い経営理念」と「ダメな経営理念」の特徴も見ていきましょう。

新しく経営理念を策定する場合は、はじめから一つの案に絞るのではなく、いくつか候補を作っておき、下記の「良い例」「悪い例」にあてはめて精査・ブラッシュアップしていくといいかもしれません。

良い例1:「明確で具体性のあるメッセージ」

良い経営理念の代表例は、「明確で具体性のあるメッセージ」です。

企業が目指す目標や、ビジョンが数値化されているとわかりやすいでしょう。

例えば、下記のような経営理念がおすすめです。

  • 2030年までに再生可能エネルギーの使用を100%にし、地球環境保護に貢献する!
  • 毎年10%の売上成長を目指し、2030年には市場シェア倍増を目指す!

良い例2:「社内外から共感を得られる」

共感を呼ぶ経営理念は、社内外の関係者に広く受け入れられます。

例えば、次のような経営理念ならステークホルダーからも好感を得られ、自社のブランディング向上につながるかもしれません。

  • 最高の品質と顧客満足を追求し、信頼されるブランドを築きます
  • 安全を最優先し、環境保護に積極的に取り組みます

社内外から共感を得られる経営理念は、企業の社会責任と顧客へのコミットメント重視の精神を明確に伝える役割を果たします。

悪い例1:「曖昧で非現実的なメッセージ」

一方で、経営理念が曖昧で非現実的なものだと、対外的なブランディング低下につながることがあります。

例えば、次のような経営理念は何を根拠としているのかわからず、目指している方向性も曖昧です。

  • 我々は常に完璧なサービスを提供します(完璧とは何か、どのように達成するかが不明確)
  • すべての顧客を100%満足させます(全ての顧客を満足させることは現実的に困難)
  • 私たちは世界を変えることを目指します(具体的な方法や方針が不明確)

経営理念を作る際は、大きな目標や理想を掲げつつも、具体的で実現可能な指針を取り入れるようにしましょう。

悪い例2:「内向きの視点で特定のグループのみを対象にした理念」

内向きの視点や、特定のグループに限定された経営理念は、悪い経営理念の例です。

特定のグループに焦点をあててしまい、ほかの関係者を疎外するような理念は反感を買うことがあります。

柔軟性に欠けるメッセージや、イノベーションを疎外するような言葉も、できるだけ避けましょう。

経営理念を企業戦略に活用した企業事例

ここからは、実際に経営理念を企業戦略に活用した企業の事例をいくつか見ていきましょう。

経営理念を社員と一緒に考え顧客のロイヤリティ向上を実現「株式会社大川印刷」

ひとつ目の事例は、神奈川県にある株式会社大川印刷の事例です。

2005年に6代目社長として就任した大川哲郎氏は、従来から形骸化していた経営理念を考え直すことに着手。

あらためて経営理念の意味を問い直し、社員との対話を通じて理念の浸透を図りました。

従業員に「喜びを分かち合う対象は誰か」という問いを投げかけたところ、社員の答えは従来の「職場仲間」から、「顧客」や「地域社会」へと変化していることがわかりました。

その後、経営理念を考え直し、社内に浸透させる活動を続けた結果、経営理念を理解し、理念に基づいて行動する社員が増え、大型案件の受注にもつながっています。

この事例を見ると、経営理念を策定する際は、組織内での経営理念の浸透が、いかに重要かがわかります。

参考:中小機構運営サイト「J-Net21」「株式会社大川印刷」横浜の老舗印刷企業・後継者の挑戦

社会的責任を前面に出した経営理念で製品改善を実現「株式会社共立理化学研究所」

次は、中小企業庁の公式サイトに紹介されている株式会社共立理化学研究所の事例です。

同社の岡内俊太郎社長は、事業承継を機に企業理念を再構築し、自社の使命と目指すべき方向性を明確化。

岡内社長のリーダーシップのもと、新たに「誰でもどこでもできる水質の簡易分析技術の開発と提供」という理念を掲げ、理念の浸透を図りました。

この理念をもとに、主力製品の生産性向上や海外市場への販路拡大、そして革新的な「スマートパックテスト」の開発に成功。

結果、エンドユーザーと直接つながれるようになり、顧客ニーズの把握や製品の改善につなげています。

企業理念の再構築と浸透は、組織の自律性を高め、市場変化に柔軟に対応できる企業体質を作るのに重要な取り組みであるといえます。

参考:中小企業庁公式サイト「中小企業における経営理念・ビジョンの浸透」

経営理念を従業員やステークホルダーに浸透させる具体的な方法

立派な経営理念ができたとしても、組織内で浸透しないようでは意味がありません。

最後に、経営理念を従業員やステークホルダーに対し、理念を深く根付かせるための具体的な方法をご紹介します。

ただし、下記の方法はあくまでも一般論です。組織に所属する従業員すべてに経営理念を根付かせるのは実際には難しいでしょう。

組織の管理者は、経営理念は伝えつつ、理念に基づき設定した「目標」を明確に落とし込むマネジメント手法がおすすめです。

関連記事:識学公式サイト「全ての部下に経営理念の理解は不可能」

会議や研修で繰り返し伝える

経営理念を従業員に浸透させる最も基本的な方法は、定期的な会議や研修を通じて繰り返し伝えることです。

例えば、月次の全社会議で理念に基づいた行動の重要性を強調したり、理念を浸透させるための研修プログラムを作ったりする取り組みは効果的です。

さまざまな場面で経営理念のメッセージを目にしたり、具体的な行動を考えさせたりする取り組みがあると、次第に組織内に理念が浸透していきます。

公式サイトやイベント活動などを通じてステークホルダーに伝える

経営理念は、企業の公式サイトやイベント活動などを通じて積極的に発信しましょう。

顧客や投資家、地域社会などの外部ステークホルダーに対して、企業の目標や価値観を共有するのはとても重要な取り組みといえます。

社内報やSNSを活用して経営理念を日常的に共有する

社内報や社内SNS、メールニュースレターなどを通じて、経営理念に関連する話題や成功事例を定期的に共有するのも良い取り組みです。

日々、自社の経営理念を念頭に行動することにより、すべての従業員がひとつの目標に向かって邁進できます。

成功事例などはよりそれらを具体的にイメージできるでしょう。

確固とした理念があれば、仕事の方向性や顧客対応などで迷うこともありません。

まとめ

経営理念は、企業の価値観と方向性を示す重要な指針です。

組織の一体感を強める経営理念を作りたいなら、経営層だけではなく全従業員の意見を集約する方法がおすすめです。

明確で共感を得られる経営理念ができたら、Webサイトはもちろんあらゆる場所で露出し、理念に基づくあるべき行動基準についても研修を重ねるようにしましょう。

立派な経営理念と組織への浸透があれば、従業員のモチベーションも上がり、企業の成長につながります。

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