ゲーム業界を代表する成功例として、ポケモンSVから組織活性化に関する学びを期待している経営者の方もいるのではないでしょうか。
ポケモンSVは、発売から半年以上経過した今もなお、定期的なアップデートによって多くのユーザーを魅了しています。
本記事では、ポケモンSVが展開するマーケティング戦略について解説します。
企業の成熟や事業拡大で重要になる組織文化の創り方が学べるため、これから自社をより強い企業にしようと考えている方には特におすすめです。ぜひ最後までご覧ください。
目次
ポケモンSVとは
ポケモンSVは2022年11月に発売されたポケットモンスタースカーレット・バイオレットの略称です。
シリーズ9世代目となる本作は、従来の世界観を引き継ぎつつ、さらにリアルな表現によってファンを魅了しています。
ゲームのベースは同様ながら、スカーレットとバイオレットで登場するポケモンやキャラクター、服装などに違いを持たせており、どちらも楽しめるような仕掛けは1996年の初代から変わらない強みであり最大の特徴といえるでしょう。
ポケモンの進化と組織の変革
ポケモンはレベルアップのたびに姿を変えながら進化し、新しい能力を獲得します。
組織においても社員のレベルを上げることで企業としての競争力を強化し、競合他社との差別化が可能になります。
特に変化のスピードが早い市場では、組織自体が柔軟に市場の変化に適応できるかどうかが重要です。
具体的なアクションとして挙げられるのは、組織変革に対する積極的な姿勢と柔軟性を持ち、新たなビジネスモデルやプロセスの導入などを積極的に取り組むリーダーシップです。
組織の現状維持は衰退と同じ意味を持ちます。
情報化社会の現代において、常に商品のアップデートを図るポケモンの戦略・戦術は学びを得られる教科書といえるでしょう。
ポケモンSVから学ぶマーケティング戦略
ポケモンSVは、25年以上の歴史で培われてきたマーケティング戦略によって成功をおさめています。
数あるマーケティング戦略の中から、以下の5つを解説します。
- 過去のファンを取り込むウィンバック戦略
- 発売前から興味を惹くプロダクトローンチ
- 多様なチャンネルを巻き込んだメディアミックス戦略
- ゲームシステムとリンクさせた収益構造
- 登場キャラクターのブランド化
関連記事:【顧客を離さない】「ファンベースマーケティング」とは?「パレートの法則」との関係も徹底解説!
過去のファンを取り込むウィンバック戦略
初期のポケモンが最新作のSVでも登場するため、懐かしさと綺麗なグラフィックによる新鮮さの両立によって、もう一度ポケモンの世界に触れてもらう狙いが垣間見えます。
子どもと一緒にプレーする要素も含まれており、コミュニケーションツールとしても位置付けられるような設計がなされています。
具体的には、過去にファンだった親世代に子どもを通じてもう一度戻ってきてもらうための戦略として、三世代に愛されるコンテンツ作りが特徴です。
ターゲットを広く設定することで、単なる子ども向けのゲームから脱却するリブランディングに成功しています。
発売前から興味を惹くプロダクトローンチ
ポケモンSVは発売前から、情報を少しずつ小出しにして興味を惹くプロダクトローンチを行ないました。
具体的には、新登場のポケモンや新しいシステムについて、公式サイトやオンラインショップの役割をもつ「ニンテンドーダイレクト」などで、プレイ画面を見せてファンの期待を高めることに成功しています。
さらに予約特典として、ポケモンを代表するピカチュウの限定版を発表したり、ポケモンカードのプロモカードを用意したりと、ポケモンSVに興味を持っていない親世代にも響くような情報もスポットで展開していました。
あらゆる伏線を貼りながら展開するプロダクトローンチは、マーケティングがうまいポケモンならではの戦術といえます。
多様なチャンネルを巻き込んだメディアミックス戦略
ポケモンはテレビや新聞、雑誌、ラジオ、インターネットなど、異なる複数のメディアを組み合わせてプロモーションを展開しています。
メディアミックス戦略といわれており、同時に大勢の人に知ってもらえるとともに、消費者一人ひとりに複数のメディアを通したアプローチが可能です。
また、ゲームだけではなく、アニメや映画、カードゲームなども展開しており、多くのチャンネルを持っている強みを前面に押し出したマーケティングを行なっています。
ゲームシステムとリンクさせた収益構造
ポケモンはSV以前からユーザー(消費者)の収集欲や育成欲といった購買意欲を刺激する仕組みづくりが巧みです。
ポケモンのゲームシステムは、ファンだけに限らず、小さな子どもや親世代まで、誰でも楽しめるように工夫されています。
中でも、ポケモンを「集めて」「育成」し「交換」や「対戦」まで、普遍的な消費者行動だからこそグローバル市場でも成功をおさめているといえるでしょう。
難しい操作を必要とせず、ユーザーが感情移入しやすい世界観が特徴です。
親しみやすさがあるからこそ、ポケモンの世界にユーザーをうまく取り込み収益化につなげています。
登場キャラクターのブランド化
ピカチュウに代表されるポケモンのイラストは、マクドナルドやタカラトミーなど、実に450社以上の企業とライセンス契約を締結しています。
幅広い業界とつながりを持つことで、ゲームやアニメだけに止まらず、より広範囲に認知させる仕組み化が可能です。
また、800種類を超えるキャラクターは、それぞれにスポットを当てて各媒体で展開されています。
つまり、ファン化も比例して進むため、広告塔としてのブランド力に、より磨きがかけられている点はポケモンならではの強みです。
ポケモンSVから学ぶ組織文化醸成のヒント
組織文化を醸成するにあたって、以下の2つが重要なヒントとして挙げられます。
- リーダーシップによる模範の実践
- 風通しのよいチームの組成
リーダーシップによる模範の実践
ポケモンSVでは、トレーナーがポケモンのリーダーであり、チームの方針を決定します。
ポケモントレーナーは、ポケモンとの絆を大切にし、積極的なコミュニケーションを絶やしません。
組織においても、リーダーシップの行動や発言が周りに与える影響は非常に大きなものになります。
良い組織文化を醸成するには、リーダーシップによる行動や発言、物事に対する考え方を見直すのが重要です。
醸成したい組織文化の模範となる行動や発言を率先して行い、ほかの社員の模範となる姿を見せるようにしましょう。
その際、社員には企業が目指すゴールに必要な行動や組織文化を明確に説明する必要があります。
理由として、リーダーシップとしてあるべき姿やゴールについて理解していなければ、目的がぶれてしまい結果的に組織がまとまらなくなる可能性があるためです。
まずは、リーダー自身が企業にとって理想的な組織文化や模範行動を理解し、実践しましょう。
関連記事:リーダーシップを高めるために重要なアクションプランとは?プランを立てる際に役立つ8つのステップを紹介
風通しのよいチームの組成
ポケモンの世界には、協力、成長、冒険など組織を形成するうえで重要な価値観がいくつか存在します。
トレーナーとポケモンそれぞれの考えを尊重し合い、一つの目標に向かって意見を出し合うこともあります。
風通しのよい組織とは、以下3つのポイントがおさえられている組織を指します。
- 社員のコミュニケーションが取りやすいこと
- 社内の人間関係が良好である
- 社員の意見が活発である
風通しのよい職場であれば、組織内での仲間意識や結束力が強くなるため、社員一人ひとりの仕事に対するモチベーションも向上しやすくなるでしょう。
風通しの良いチームを組成する際は、メンバー間のコミュニケーションを活発にするのが重要です。
リーダーから積極的に挨拶を行なったり定期的に個別面談を実施したりすれば、良好な関係のチーム組成が期待できます。
関連記事:風通しの良い職場とは?メリットやデメリット、効果的な5つの施策を紹介!
ポケモンSVをヒントに組織活性化は可能|まとめ
ポケモンSVは、25年の歴史で培ったマーケティング戦略によって、成功をおさめた好事例です。
ゲームやアニメだけの枠に止まらず、450以上の企業とライセンス契約を締結したり、複数のチャンネルでアプローチをしたりと、今もなお認知の拡大を続けています。
競合他社との差別化を考える上で、同業界のやり方だけでは強みを出すのには限界があります。
ポケモンSVのマーケティング戦略を参考に、まずはリーダーシップが現在の組織体制を見直し、風通しのよいチームができているかどうか確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。