Evernoteは2008年にリリースされて以降、世界中の企業で活用されています。しかし、2023年6月末にEvernoteのCEOは、突然既存の全従業員の解雇を発表。Eve
rnoteに関するニュースを見て、何か学べることがあるのではないかと調べている経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Evernoteのニュースから学ぶリスクマネジメントについて解説します。Evernoteの特徴や今後の動向についても紹介するので、参考にしてみてください。
目次
Evernoteとは
Evernoteは、オンライン上で情報を記録できるノートアプリです。Evernoteには、テキストだけでなく画像・音声・PDFなど、あらゆるデータを保存できるほか、ノートにはスケジュールやタスクも追加することができます。
プロジェクトの管理やToDoリストの作成もできるので、さまざまな業種において利用されている、非常に便利なツールです。Evernoteの主な機能は、下記の通りです。
機能 | 詳細 |
ノートテイキング | テキストデータの記録 |
データ保存 | 画像・音声・動画・PDF・ドキュメントファイルなど |
タスク管理 | 個々のノートにToDoを記録可能 |
スケジュール管理 | ワンクリックで予定の詳細を記録したノートを作成可能(Googleカレンダー連携可) |
WEBクリッパー | WEBコンテンツを保存可能 |
ワークチャット | 電話番号・Gmail・Outlookなど連絡先を連携すれば、チームメンバーとのチャットが可能 |
外部連携機能 | Slack・Googleドライブなどとの連携可能 |
Evernoteには4つの料金プランがあり、有料プランでは14日間の無料体験ができます。
料金プラン名 | 価格 | プラン内容 |
Evernote FREE | 無料 | デバイス2台まで同期可能月間アップロード上限60MBノート上限25MB |
Evernote PERSONAL | 1,100円/月 | 同期可能台数制限なし月間アップロード上限10GBノート上限200MB |
Evernote PROFESSIONAL | 1,550円/月 | 同期可能台数制限なし月間アップロード上限20GB |
Evernote TEAMS | 1,100円/月/ユーザー | デバイス2台まで同期可能月間アップロード上限12GB/ユーザー25ユーザー以上の契約で、サポート付き |
参照:Evernote
Evernoteはマルチデバイス対応で、インターネット環境があればパソコン・スマートフォン・タブレットで利用可能です。いつでもどこでも情報の記録・参照ができるため、これまで多くのビジネスマンに活用されてきました。業務の効率化や生産性の向上につながる機能が多く、ビジネスで使えるノートアプリを探している方におすすめのツールです。
Evernoteをビジネスで使う際のメリットとデメリット
ここでは、Evernoteをビジネスで使う際のメリット・デメリットを解説します。これからノートアプリを活用したいと考えている方は、比較検討の材料としてぜひ参考にしてみてください。
- 得られるメリット
- 気をつけたいデメリット
得られるメリット
Evernoteには、主に3つのメリットがあります。
- あらゆる情報を時間、場所を問わずに記録・アクセス可能
- 検索機能が充実
- タスク・カレンダーをチームメンバーと共有可能
Evernoteは、文字情報だけでなく、画像・動画・音声・PDFなど、あらゆる情報をいつでもどこでも記録できます。メモアプリやWordなどのドキュメントツールは、テキスト以外のデータ管理が得意ではなく、容量も限られておりドキュメント以外を保存するのに向いていません。しかし、Evernoteを活用すれば、デバイスの容量を気にせずクラウド上にデータ保管できます。
また、パソコンやHDにデータ・ファイル保存しておくと、後から参照したい時に探す手間がかかりますが、Evernoteは検索機能で簡単に探せます。Evernoteで保存している情報は、チームメンバー間ですぐに共有できるのもメリットです。
具体的な活用例として、Evernote上で会議の議事録を残し、リアルタイムで不参加のチームメンバーにもタイムリーに共有します。リアルタイムな情報共有ができるため、業務効率化・生産性向上にもつながるでしょう。
気をつけたいデメリット
Evernoteは、初心者にとって最初は使いづらく、使いこなすまでに時間がかかるといわれています。というのも、機能が充実しすぎているため、操作性が複雑になっており直感的に扱いにくいのです。また、無料プランの利用可能な端末台数が2台までと限られているため、一つのアカウントをメンバー間で共有するには、有料プランにアップグレードする必要があります。
Evernoteのユーザー離れが叫ばれる理由
Evernoteは、これまで多くのユーザーに利用されていた一方で、近年はユーザー離れが叫ばれています。ここでは、Evernoteからユーザーが離れている3つの理由を紹介します。
- 利用機能の縮小
- 競合他社の成長
- 全従業員解雇を伴う経営不振
利用機能の縮小
2020年以降に毎年実施されているアップデートでは、徐々に利用機能が縮小されています。たとえば、利用可能な端末台数制限の減少やWebブラウザ版でのマルチタップ機能の制限などです。
また、動作が重くなりバグも多発するといった現象も報告されています。さらに、プランの価格が毎年値上がりしており、顧客満足度の低下につながっているといえるでしょう。
競合他社の成長
Evernoteがうまくユーザー体験を向上させられていないなかで、競合他社がリリースしているノートアプリが急成長を遂げています。
具体的には、「notion」「trello」「obisidian」などです。MicrosoftのOneNoteやGoogle Keepなど、従来のツールに移行するユーザーも増えており、Evernoteでなければできないことがなくなりつつある今、ユーザーが戻ってくるのか、今後の見通しは不透明です。
全従業員解雇を伴う経営不振
Evernoteは2023年5月に、経営不振から大幅な値上げに踏み切りました。しかし、経営改善効果はなく、ユーザーから不満の声が増える結果となっています。
また、6月末には拠点としている米国およびチリの全従業員を解雇し、ヨーロッパへの移設を発表しています。CEOのルカ・フェラーリ氏は、業務効率化を図るためだと述べていますが、深刻な経営状態による移転だと考えられており、業績回復の雲行きは怪しい状態が続いています。
参考:メモアプリ「Evernote」、北南米の従業員をほぼ全員解雇。欧州移転で再興目指す
ユーザーニーズと乖離したサービスの提供
Evernoteはリリース当初、順調にシェアを拡大し成長していました。しかし「Evernote Foods」「Evernote Hello」など、徐々にユーザーのニーズから外れたサービスを開発し始め、リリースから数年で軒並みサービスが終了しています。
一方で、肝心のEvernote本体は動作不良・バグの改善がされず、サポート体制も脆弱だったため、顧客満足度が低下しユーザー離れにつながっています。
Evernoteを使い続ける注意点
Evernoteは、ビジネスで使える機能が豊富にあり、業務効率化・生産性向上などの目的で現在でも多くの人に利用されてきました。
しかし、毎年実施される値上げや不具合の未改善、全従業員の解雇などのユーザーからの不信感が増していくニュースが多く、経営不振から今後サービスが終了してしまう恐れがあり、動向には注意が必要です。
すでにEvernoteを利用している方や導入を考えている方は、別のノートアプリへの移行も検討が必要かもしれません。
※当記事では断定はしておりません。詳細は参考記事をご覧ください。
参考:メモアプリ「Evernote」、北南米の従業員をほぼ全員解雇。欧州移転で再興目指す
関連記事:レイオフ(一時解雇)とは?日本の現状やリストラとの違いを解説!
関連記事:リスクマネジメントとは?企業に求められる有効な対策を解説
まとめ
Evernoteの失敗から学べるのは、「ユーザーのニーズを満たすサービスを提供する」「常にリスクに対処できる体制を整える」ことの重要性です。
業績が傾いたり売上が落ちたりし始めてから対処しても、対応が遅れてしまい、改善すべきポイントを見誤ってしまうでしょう。ぜひこの記事を参考にして、経営方針やリスクマネジメントを見直してみてください。