プロセスマネジメントという言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
聞いたことはあっても詳細まで把握しきれてないリーダー職の方もいるかもしれません。
プロセスマネジメントは業務を効率化し生産性を上げるマネジメント手法で、正しく理解し導入することで、企業の成長や事業拡大につながるとされています。
本記事では、プロセスマネジメントの概要やメリット、デメリットを解説します。
プロセスマネジメントを理解でき、必要なマネジメント手順についてもすぐに実践できるよう解説しているため、ぜひご覧ください。
目次
プロセスマネジメントとは
プロセスマネジメントとは、業務のプロセス(工程)を管理・分析し、効率化するマネジメント手法です。
全体の業務プロセスを把握し、管理・分析することで業務効率を上げ、企業の生産性を向上できます。
プロセスマネジメントを取り入れるためには、業務プロセスを細分化し、担当者レベルで抱えている課題や改善点を明確にするのが重要です。
また、ある程度作業手順が定まっている業務はプロセスマネジメントを行ないやすいため、導入の切り口としては、定型業務から始めることをおすすめします。
プロセスマネジメントの必要性
プロセスマネジメントは、業務プロセスを細分化し、業務内容をメンバーと共有するため、個々のスキルに依存せず、組織的な生産性の向上が期待できるのが特徴です。
一方、プロセスマネジメントが進んでいない企業では、個々のスキルによって業務の進捗や生産性に差が生じます。
「人材を取り換えればいい」と考えるだけでは、根本的な原因解決には至りません。
重要なのは、個々のスキルに依存しない業務の効率化です。
たとえば、人の手で行なっていた作業をAIに任せたり、書類を紙媒体ではなく電子で管理したりするなどが挙げられます。
また、業務の改善・効率化に対して着目するため、今まで隠れていた無駄な業務や課題を発見でき、早期改善も期待できます。
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プロセスマネジメントのメリット
プロセスマネジメントでは、主に以下3つのメリットが得られます。
- 業務の進捗を把握できる
- 業務の属人化を防げる
- 業務プロセスを可視化できる
業務の進捗を把握できる
プロセスマネジメントは、業務プロセスを細分化し分類した上で管理・分析します。
業務の進捗や状況が把握しやすくなるため、メンバーのフォローや的確なアドバイスが可能です。
また、個々の業務が管理できるようになれば、進捗状況に合わせたチーム全体の売上目標や計画も容易に組み立てられます。
業務の属人化を防げる
業務の属人化とは、業務を担当している人しか仕事内容を把握していない状態のことです。
業務が属人化すると、担当者が病気や怪我などで不在の際、代理を用意できず業務が停滞するほか、一人の担当者に仕事が集中し長時間労働が発生する恐れもあります。
プロセスマネジメントは業務内容を工程ごとに管理し、メンバー間で共有するため透明性が増し、業務の属人化を防げます。
その際、業務の手順書やフローチャートを作成すると、よりスムーズに業務内容を共有できるでしょう。
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業務プロセスを可視化できる
業務プロセスが可視化されると「顧客」「優先度」「担当者」「プロセス」といった、業務に必要な内容がメンバー間で明確になります。
工程ごとにメンバーの役割を把握できるため、協力意識が生まれるほか、業務に対する責任感も持てるようになります。
結果、個々のモチベーションや業務成績向上が期待できるのもメリットの一つです。
プロセスマネジメントのデメリット
プロセスマネジメントには、いくつかデメリットがあり、正しく理解していなければマネジメント導入時に最大の効果が得られません。
プロセスマネジメントのデメリットは主に以下の2つです。
- 継続的な改善の必要がある
- 実行するまでに時間がかかる
継続的な改善の必要がある
プロセスマネジメントは、一度実施して終わりではありません。
最大限の効果を得るためには、プロセスマネジメントが正しく実施されているか継続的に確認する必要があります。
改善を行なう際には、フローチャートや業務手順書を作成しておくのが重要です。
なお、フローチャートや業務手順書を作成すると、業務内容が可視化されてプロセスが把握しやすくなります。
「現在の内容で支障はないか」「スムーズに業務は進められるか」など認識を共有することが可能です。
実行するまでに時間がかかる
プロセスマネジメントを実施するには、実際に業務を行なうプロセス設計と、誰でも把握できるための標準的なモデル化が必要です。
業務の目的や成果を明確にしたうえで行わなければならないため、すぐにプロセスマネジメントを実施できるわけではありません。
まずは全体の業務を見直し「時間や労力がかかっている作業はなにか」「この業務は本当に必要か」などを確認すると、業務の効率化につなげられます。
プロセスマネジメント実施の4ステップ
プロセスマネジメントを実施し、スムーズに進めるためには、以下の4つのステップを理解しておく必要があります。
一つずつ解説していきましょう。
- 業務プロセスを明確にする
- プロセスごとの目標を設定する
- プロセスマネジメントを実行する
- プロセスを分析し改善する
1.業務プロセスを明確にする
実際に現場やメンバーの声を聞き取り、現在の業務プロセスを明確にします。
重要なのは「業務内容」「担当者」「業務に要する時間」「使用ツール」「業務プロセスの問題点」の明確化です。
特に業務プロセスの問題点については、問題点だけに注目するのではなく「なぜ問題が発生したのか」「再発を防ぐために必要なことはなにか」「誰が改善を行なっていくか」など、原因や解決方法、解決するための手順を考えるようにしましょう。
業務プロセスが明確になった後は、フローチャートや業務手順書を作成し、業務プロセスを共有・可視化させます。
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2.プロセスごとの目標を設定する
目標を設定すると目標達成に必要な行動や計画が明確になり、メンバーのモチベーションを向上させることができます。
目標を設定する際は、第1目標・第2目標と段階ごとに分けるようにしましょう。
目標を段階ごとに分けると、メンバーの進捗状況や業務への姿勢がより正確に把握できるほか、適正な評価も行えます。
なお、無理難題な目標にするのではなく、メンバーに負担がかかりすぎない現実的な目標を設定するのがポイントです。
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3.プロセスマネジメントを実行する
プロセスマネジメントを実行するにあたって大事にすべき基準は、業務初心者でも問題なく対応できるかどうかです。
フローチャートや業務手順書を用意しても、実務で使えなければ意味がありません。
作成したフローチャートや業務手順書に説明の抜けがないか、わかりにくいところはないか、確認しながらプロセスマネジメントを進めましょう。
4.プロセスを分析し改善する
プロセスマネジメントは、実施と改善を繰り返すのが重要です。
一度の実施だけでは、抜けていたり、気づいていなかったりする場合もあります。
「目標達成率は何パーセントなのか」「この作業は本当に必要なのか」など、業務プロセスを見直し、改善できる箇所はないか分析しましょう。
その際、メンバーに業務の感想や改善して欲しい部分を聞き取るのが重要です。
プロセスマネジメント導入時に気をつけたい3つのポイント
プロセスマネジメントを実施する際は、以下の3つに注意が必要です。
- 現場の状況を把握する
- コミュニケーションを積極的にとる
- 目的を明確にする
現場の状況を把握する
プロセスマネジメントでは、業務を効率化するために従来のやり方を変えたり、標準化したりしなければなりません。
メンバーによっては、かえって作業に負担がかかってしまい、業務に対する意欲が下がってしまう場合もあります。
そのため、現場一人ひとりの声を聞き、状況を考慮しながら導入方法を考えるのが重要です。
たとえば、業務のすき間で1対1の話し合いを設けたり、昼食に誘ったりして話を聞くなどが挙げられます。
その際、メンバーに対して導入の必要性を説き、理解を得るようにしましょう。
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コミュニケーションを積極的にとる
プロセスマネジメントを実施していくうえで、メンバーのモチベーションを保つ、引き上げることは必要不可欠です。
積極的にコミュニケーションを取ることで、業務に対するモチベーションや悩み事、アドバイスなどのサポートができます。
まずは、挨拶や飲み物の差し入れといった軽いコミュニケーションから始めるのがおすすめです。
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目的を明確にする
プロセスマネジメントは、業務を効率化し、生産性を向上させるために実施します。
ただし、目的が不明瞭なままプロセスマネジメントを実施しても意味を成しません。
「導入後にどのくらい生産性を上げるのか」「改善したい業務の到達点はどこなのか」など、事前に目的を明確にしておくのが重要です。
目的を明確にすることで、プロセスマネジメントの指針が固まり、実施後の改善や効果が具体的に図れるようになります。
まとめ
プロセスマネジメントは、企業を成長させるために必要なマネジメント手法で、業務プロセスを細分化し、管理・分析することで、業務を把握できます。
その際「なぜマネジメントが必要なのか」「どのくらい業務改善すべきか」など目的を明確にするのが重要です。
この記事を参考に、まずはメンバーの声を聞き、現在の業務プロセスに改善すべき部分がないのか、把握から始めてみてはいかがでしょうか。