近年、人手不足問題が深刻化していますが、解決方法に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
人手不足はむやみに採用して解決するものではなく、企業にとって利益をもたらしてくれる人材を見つけることが重要です。
本記事では、人手不足問題の原因や解決方法、未然に防止できる対策法について解説します。
具体的な事例も紹介するため、自社の人手不足問題の改善に役立ててください。
関連記事:人手不足の解決策とは|具体的な方法と解決事例を詳しく解説
目次
企業が人手不足に陥る4つの原因
人手不足を解消するために、まず「なぜ人手不足になってしまうのか」原因を探りましょう。
原因を把握できれば、今後どのような解決方法を取り入れるべきかが判断できるようになります。
企業が人手不足に陥る主な原因には、以下の4つが挙げられます
- 少子高齢化の進行
- 働くことに対する意識の変化
- 企業と求職者間のミスマッチ
- 社会情勢の変化
少子高齢化の進行
財務省の調べによると、20〜64歳までの生産年齢人口の割合が年々減少しており、2020年の54%から2060年には48%になると見込まれています。
さらに、65歳以上の人口が増加することから、少子高齢化はしばらく続くことがわかります。
少子高齢化によって新卒の若者が少なく、転職するにも年齢制限で転職できない人が増加し、人手不足の状況は大きく変わりません。
そのため、人手不足に対する少子高齢化の影響は、さらに大きくなるといえるでしょう。
働くことに対する意識の変化
現在の日本では、少子高齢化や働き方の多様化などを考慮し、働き方改革が促進されています。
たとえば「時間外労働の上限制限」や「正社員と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の禁止」など、働き手の生活に配慮した働き方が広がりつつあるのが現状です。
そのため、シビアな視点で企業を判断する求職者が多くなっており、企業側としては人材を集めにくくなっています。
企業と求職者間のミスマッチ
求職者側が企業の求めるスキルに達していなかったり、企業側が求める業務内容に求職者が納得できなかったりするとミスマッチが起きます。
それが、求人に応募が集まらない、早期離職などの問題につながるのです。
たとえば、企業側が求めるスキルに対して「給料が見合っていない」と求職者が感じれば、応募自体を断念することもあります。
待遇面をはじめ、抜本的に条件を見直さない限り改善は難しいでしょう。
関連記事:採用ミスマッチの対策方法5選【従業員を定着させる方法も紹介!】
社会情勢の変化
社会情勢は日々変化するものですが、特に近年ではコロナウイルスが大きく影響しました。
具体的には、コロナ禍を契機にリモートワークを取り入れる企業が増えましたが、企業によってはリモートワークが原因で利益が上がらなくなり、いわゆる「コロナリストラ」に遭った方もいます。
コロナウイルスが落ち着いてきている現在では、コロナリストラで失った従業員を補うだけのリソースが足りておらず、人手不足に悩んでいる企業もあります。
深刻化する人手不足の現状
中小企業庁が発表する統計資料「中小企業白書」では、2009年以降からどの企業でも人手不足になっていることが分かります。
人手不足を解消するため、賃金の見直しや副業の許可といったさまざまな対策を実施した結果、2015年前後から雇用者数の改善が見られるようになりました。
しかし、中小企業では依然として雇用者数は減少を続けており、現在でも人手不足問題が解決できているとはいえません。
また、2008年にリーマンショックが起きたことにより、働く側の意識が変わったことも人手不足問題の原因といえます。
深刻化する人手不足問題の解決には、社会情勢の変化を待つのではなく、企業側の対策と対処法が重要です。
人手不足問題の3つの解決法
人手不足に陥っている原因を特定できたら、次は人手不足問題の解決法を実行しましょう。
解決法として、主に以下の3つが挙げられます。
いずれか一つではなく、それぞれ実行することがおすすめです。
その際、企業の状況に応じて解決法の取り入れ方を変化させるのが重要と言えます。
- 職場環境を見直す
- 求人条件を改善する
- ITを活用して業務を効率化する
職場環境を見直す
職場環境を見直すことで、新たな人材の確保と離職の防止効果があります。
具体的には「どうしたら働きたいと思ってくれるのか」「長く働きたい職場とはどんな環境なのか」など、働く側の目線に立って考えてみてください。
求職者は、特に給料や福利厚生を重視する人が多いため、労働に見合った賃金を支給したり完全週休二日制にしたりするなどで離職率は下げられます。
また「意見が言いやすい」といった風通しの良さも重要です。
関連記事:離職率を下げるための施策とは?従業員の定着率を高める10の施策
求人条件を改善する
求人条件の改善方法として、特定のスキルや人材にこだわるのではなく、幅広く人材を採用し、育成を促進するのがポイントです。
これまでターゲットとしていなかった層を含めて柔軟に人材を確保できれば、人手不足が解決します。
同時に人材教育を行なうことによって、企業の利益促進のための体制を整えられるため、状況に応じた臨機応変な対応ができるようになります。
ITを活用して業務を効率化する
人手不足で業務を上手く回せないのであれば、ITを活用した業務の効率化もおすすめです。
データ管理や事務作業など、効率化できるところにITを取り入れることで、限られた人員で対処できるようになります。
人が行なう作業が減れば、業務のパフォーマンス向上につながるのもメリットです。
また、業務が減って余裕が生まれることにより、従業員の仕事に対する前向きな気持ちを引き出しやすくなります。
関連記事:タスク管理ツールの導入時に大切な9つのポイント | 無料で試せるタスク管理ツールも紹介
企業ができる人手不足問題の未然防止対策
人手不足問題に対して、事前にできる防止対策は主に3つです。
積極的に導入すれば、人手不足問題だけでなく、今働いているスタッフのやる気や能力を引き出すきっかけにもなります。
- 労働者が働きやすい環境を整える
- 労働者の育成に力を入れる
- 無駄な業務を減らす
労働者が働きやすい環境を整える
正社員や非正規労働者どちらにも当てはまりますが、企業が設定している時間帯で働けない人も少なくありません。
また「積極的に活躍できないと感じている女性」や「年齢制限があって働けないシニア層」など、さまざまな層へアプローチすることで、人手を確保しやすくなります。
たとえば、フレックスタイム制を導入して業務時間をある程度調整できるようにしたり、女性社員への評価見直しを行なったりすると、労働者の仕事に対する意識が向上するでしょう。
労働者の育成に力を入れる
労働者に対して企業が育成へ手をかけていることが伝われば、「ここで働きたい」という気持ちを引き出し、人による能力値の差を減らせます。
また、労働者の育成に力を入れれば、すでにいる人材の離職を防ぐこともできるでしょう。
たとえば、資格や新しい知識取得のための研修を実施したり、参考書の購入費を企業が負担したりすれば、労働者も積極的にスキルアップに励むはずです。
ほかにも「経営者としての視点」を学んでもらうために副業を許可している企業もあります。
企業や経営者は、労働者に対してどれだけ投資できるかによって、労働者の成長が決まるというプロセスを理解しておきましょう。
無駄な業務を減らす
日本企業に多く見られる例ですが、必要以上に手間をかけすぎてしまい、効率が悪くなるケースがあります。
「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、非効率な業務を改善できれば、業務時間の効率化もできます。
時間が効率化できるようになれば、新たな業務を取り入れて、成果を拡大できるでしょう。
人手不足問題を解決した企業の事例
人手不足問題を解決するためには、これまでに成功した企業の事例を知っておくとノウハウを取り入れやすくなるでしょう。
ここでは、人手不足問題を解決した企業の事例を2つ取り上げています。
- 株式会社エンファクトリー
- 東洋システム開発株式会社
株式会社エンファクトリー
企業名 | 株式会社エンファクトリー |
取り入れたこと |
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結果 |
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株式会社エンファクトリーでは、「専業禁止」と称した副業推奨を取り入れました。
経営者意識を持たせることで、どのように企業が成長するか、事業を拡大するにはどうしたらいいのかなど、個人が積極的に「働きたい」「効率化させたい」といった意識が向上したのです。
結果、副業を掛け持ちしたい人や自身を成長させたい人の応募が増加し、人手不足に対する解決策にもなっています。
東洋システム開発株式会社
企業名 | 東洋システム開発株式会社 |
取り入れたこと |
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結果 |
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日本人の採用を積極的に行なう企業が多い中、東洋システム開発株式会社では、外国人雇用を積極的におこないました。
採用した中国人が優秀な人材だったこともあり、海外の取引先からの信用も獲得しています。
企業文化の見直しにより、人手不足と事業拡大を成功させた事例といえるでしょう。
まとめ
人手不足が慢性化してしまうと、企業全体に影響を及ぼしてしまいます。
そのため、速やかに人手不足問題を解消する対策立案が必要です。
本記事で解説した解決法を取り入れ、新しい人材確保への施策を打ち出しましょう。
同様に、すでにいる人材の保持も重要なため、育成環境や待遇面に関しても一度見直すことをおすすめします。