褒めて伸ばすという人材育成法は、ビジネスシーンでも浸透しています。しかし何も考えずに褒めるだけでは、「部下がモチベーションを上げて成長し続ける」という長期的なビジョンに対するアクションとしては不十分です。
部下のやる気を引き出し、長い目で部下の成長を促すためには、褒め方のポイントを知っておく必要があります。本記事では、リーダーシップのある5つの褒め方について紹介しますので、部下を育成する立場の方やチームのリーダーの方はぜひ参考にしてください。
目次
「褒める」と「甘やかす」の違い
「褒める」と「甘やかす」は似ているようですが、全く異なるものです。
褒めるとは、相手の成長を期待し、過程や成果をしっかりと判断した上で長所を伝えて伸ばすことを意味します。一方の甘やかすは、相手の成長を考えずに、見境なくおだてたり許容したりすることです。
間違った褒め方をすると甘やかすに転じてしまい、部下のモチベーションを下げたり、成長を妨げたりする原因になるため注意しましょう。さらにリーダーとして軽んじられ、組織の士気や作業効率を低下させてしまう可能性もあります。
褒めることは、リーダーに求められる重要なスキルの一つです。適切な褒め方を身につけ、チームメンバーの成長をサポートしていきましょう。
リーダーシップのある5つの褒め方
チームで仕事をするには、リーダーシップのある褒め方をすることが重要です。
経営学者で有名なピーター・ドラッカーは「リーダーシップは地位や特権ではなく、責任であり信頼である」としています。
リーダーとして部下のモチベーションを上げる褒め方をするには、責任を持って部下との信頼関係を築くことが大切です。
部下をしっかり見ているということが伝われば、部下のモチベーションは上がり、自然とリーダーと一緒にビジョンを達成したいと思われ信頼されるでしょう。
ここからはリーダーシップのある褒め方について5つのポイントに絞って紹介していきます。
1. タイミングを見極める
褒めるときにとても重要なのは、タイミングです。モチベーションを上げるために効果的なタイミングは3つあります。
1. その場で、すぐ褒める
どんなアクションや成果が賞賛の対象になったのか分かりやすいように、すぐに褒めましょう。脳は同時に起こったことを結びつける性質があるので、本人が達成感を感じているときに褒めると、達成感と喜びの相乗効果でモチベーションも上がりやすいです。
2. 大勢の人がいるとき
多くの人がいる前で褒められると、誰でもうれしいものです。大勢の人に認められたいという欲求がある人も多いため、人前で褒めるとより効果的でしょう。表彰するなどの施策も効果的です。
3. 本人がいないとき
第三者から間接的に伝え聞くと、より信頼性を得やすいという「ウィンザー効果」というものがあります。
本人がいないときに褒めて間接的に伝えるようにするのも、褒め方の方法の一つです。直接的に褒められてもお世辞だと思ってしまうような部下にも効果があるでしょう。
2. 具体的な行動やプロセスを褒める
成果や結果だけではなく、具体的な行動やプロセスを褒めましょう。努力の過程を認めることで、成果そのものだけではなく本人の強みを認め、期待していることが伝わります。
たとえば、「君のお客様対応対応が誠実で真摯だった」「作成してもらった資料のこういうところが分かりやすくて助かっている」などといったイメージです。
評価だけではなく、具体的な行動やプロセスを承認することを続けていくと、部下の強みを伸ばしていけます。
3. 簡潔に褒める
褒めるときは、シンプルに伝えましょう。短い褒め言葉の方が相手の印象に残りやすいからです。
ただし簡潔さが有効なのは、本人に直接伝える場合に限ります。第三者に間接的に伝えるときには、本人のよいところをたくさん褒めましょう。本人には簡潔に、本人がいないところでは長く伝えるのがコツです。
4. 相手のモチベーションが上がる内容で褒める
簡単なことをむやみに褒めると過小評価していると捉えられたり、皮肉に聞こえたりするため、褒める内容を見極めることも重要です。
相手が成果と過程どちらを大切にするのか、得意不得意は何かなど、日頃の会話や行動から見つけ、モチベーションが上がるポイントを的確に褒めると、部下のやる気を高められるでしょう
5. 成果が出ていなくてもありがとうを伝える
仕事はうまく進むときばかりではありません。成果が出ないときに使える言葉が「ありがとう」です。感謝の言葉は、人のモチベーションを上げる重要な言葉です。
成果が出ていなかったとしても、過程の努力を褒められるとうれしいものですが、さらにうれしいのは感謝されることでしょう。小さなことでも日頃からしっかりと感謝の言葉を伝えるように意識してみてください。
褒め方を学ぶためにリーダーが日頃から心掛ける ポイント
リーダーシップを発揮するには、メンバーとの信頼関係が必要ですが、そのためには日頃からの部下とのコミュニケーションが欠かせません。ここからは、メンバーを適切に褒めるためにもリーダーが日頃から心掛けるポイントについて解説していきます。
メンバーのことを知ろうとする
褒める前に、まずはメンバーに興味をもってよいところを探すつもりで観察しましょう。そして、部下の良かった行動や成果の実績、長所、何に対してモチベーションが上がるのかなどを、メモに書き留めていくのがおすすめです。
必要なときにすぐに褒め言葉が出るようになれば褒める回数も増えるので、部下のモチベーションが上がりやすくなりよいループが生まれます。仕事だけではなく、雑談の機会も増やしながら積極的にコミュニケーションを取りましょう。
練習する
褒める習慣に慣れておらず、褒めることが苦手な方もいらっしゃるのではないでしょうか。褒めることが苦手な方は、まず褒め上手な人の真似をする練習から始めてみましょう。何を言葉で褒めるだけでなく、褒める際の表情や仕草も意識するのがおすすめです。
リーダーシップのある褒め方で部下を育てよう!
リーダーが褒めることを部下やチームの成長のための手段としてうまく活用できるようになれば、部下のモチベーションや能力を上げるだけではなく互いに褒め合う文化が醸成され、高めあうチームを作り上げることが可能です。
本記事で紹介したポイントを押さえれば効果的な褒め方ができるようになり、人材育成に関する悩みを解決することにもつながるでしょう。
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