近年、SNSで話題になるようなユニークな採用活動が数多く登場するようになりました。
一見すると遊んでいるだけのように思えますが、実はかなり効果的な採用方法でもあるのです。
本記事では、ユニークな採用活動を実施している事例を紹介していきます。
エントリー数が少ないことに課題を感じる人事担当者の方におすすめの記事です。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
ユニークな採用活動の事例10選
ここでは、10つのユニークな採用活動の事例を紹介していきます。
- いちゲー採用
- エゴサーチ採用
- 顔採用
- 麻雀採用
- 人狼採用
- オフィス冒険選考
- パズル面接
- Github Challenge
- 絵ごころ採用
それぞれ解説していきます。
関連記事:採用のやり方14選|ユニークな採用方法を実施している企業も紹介
株式会社カヤック:いちゲー採用
ユニークな採用活動といえば、まず思いつくのが株式会社カヤックです。
カヤックは多様な採用活動を実施してきており、その中で最も入社実績が高いのがいちゲー採用です。
いちゲー採用とは、ゲームの上手さで内定を決める採用方式です。
カヤックによれば、ゲームのプレイを通じて「突破口を見つける発想力」や「困難を乗り越える問題解決能力」など、ビジネスに必要な能力が自然と磨かれるそうです。
実際に、カヤックはいちゲー採用で計9名の人材を獲得しています。
カヤックは話題性のあるゲーム開発にも取り組んでいるため、いちゲー採用でゲームに強い人材を獲得することの意義が非常に大きいと言えます。
また、話題性も抜群で、WBS、ファミ通などの有名メディアで取材が実施されたようです。
株式会社カヤック:エゴサーチ採用
いちゲー採用に続いて、カヤックが継続的に実施している採用方式がエゴサーチ採用です。
エゴサーチ採用は、履歴書の代わりに検索結果を利用します。
誰でも日常的に情報発信が可能となった現代社会において、エゴサーチで表示される検索結果は、その人のことがよくわかる情報になり得ます。
たしかに、Web上で活躍している方であれば、検索結果で表示されるブログ・作品などが強みになるでしょう。
また、検索結果を提出するだけでいいので、簡単にエントリーできるのがメリットです。
実際にカヤックは、エゴサーチ採用で820名以上のエントリーを獲得し、その中から7名の人材を獲得したそうです。
株式会社伊勢半:顔採用
化粧品販売を手掛ける伊勢半は、顔採用を実施しています。
もちろん、ルックスだけで判断しているわけではありません。
簡素で画一的な就活メイクではなく、自分の好きなメイクで自分自身をどう表現しているのかを基準に採用を判断しているようです。
また、服装も自由なので、装いでいかに自分を表現するかが問われている採用方式だと言えます。
化粧品を販売するだけでなく、お客様をどのように演出するかが求められる、伊勢半ならではの採用方式です。
大谷地病院:筋肉採用
札幌市の精神科医療専門病院である大谷地病院では、筋肉採用を実施しています。
現在、地方に点在する中小病院では、人材不足が深刻な問題となっているようです。
だからといって、実力のない医者を高給で雇っても経営難が続くだけ。
そこで、ニッチな層に突き刺さる採用方式として、筋肉採用を実施することにしたそうです。
実際、大谷地病院ではトレーニーのための設備・福利厚生を充実させています。
- 24時間無料で利用できるジム・体育館
- プロテイン手当
- 会員制ジム手当
- 体脂肪率手当
近年では「筋肉量の多い人は精神が安定している」というデータを示す研究結果が増えてきており、まさに「筋肉=優秀」の図式が成り立ちつつあります。
精神科病院に限った話ではなく、民間企業でも筋肉採用は一定の効果を示すかもしれません。
スターティアホールディングス株式会社:麻雀採用
ITサービス導入を手掛けるスターティアホールディングスは、麻雀採用を実施しています。
「麻雀に必要な力はビジネスセンスと通じるものがあるのでは?」との考えから行われているようで、実際に、2017年からの通算で計35名の人材を麻雀採用で獲得しています。
もちろん麻雀だけで判断するのではなく、あくまでも、上位入賞者に面接フリーパスを用意したり、1位の方に「いきない最終面接」を提示したりするとのことです。
また、この麻雀採用では、プロ雀士と麻雀を打つことができます。
勝負師としてのセンスを持つ人材を囲い込めるのが、麻雀採用の魅力です。
トラストリング株式会社:人狼採用
ITサービスを手掛けるトラストリングは、人狼採用を実施しています。
人狼採用の流れは以下の通りです。
- 人狼採用で募集
- 会社説明飲み会&人狼ゲーム(スーツ禁止)
- 最終面接(人狼採用に参加した方全員が参加可能)
- 1日体験入社
- 結果発表
つまり人狼採用では、面接を1度しか実施しないのです。
また、トラストリングは人狼採用に限らず、「1度切りの面接 + 1日体験入社」だけで採用を決定します。
まさに、規模が小さくスピーディーなベンチャー企業だからこそできる採用方式です。
この人狼採用であれば、応募者の人間性をスピーディーに判断することができるでしょう。
株式会社VOYAGE GROUP:オフィス冒険選考
インターネット領域に特化した株式会社VOYAGE GROUP(2022年1月、株式会社CARTA HOLDINGSと合併)が実施したのは、オフィス冒険選考です。
「オフィスに隠された宝箱を見つける」という選考内容で、4、5人で1つのグループを作り、それぞれの人が協力しながら、隠された宝箱を探していきます。
VOYAGE GROUPは、このオフィス冒険選考を通じて、応募者の協調性や問題解決能力を探っていたようです。
現在は多くの企業でグループディスカッションが実施されていますが、オフィス冒険選考のように、応募者の問題解決能力を実務的に判断する採用方式を実施してみるのもいいかもしれません。
マイクロソフト:パズル面接
世界で最も大きいコンピュータ会社の1つであるマイクロソフトは、現代の不確実性の高い社会でも最前線に立てる、非常に優れた問題解決能力を持つ人材を求めています。
そこで実施されているのが、パズル面接です。
具体的には、面接中に以下のような問題が提示されます。
- マンホールの蓋がなぜ丸いのか?
- 富士山を動かすのにどれだけの時間がかかるのか?
- 世界中にピアノの調律師は何人いるのか?
- 南へ1km、東へ1km、北へ1km進むと出発点に戻るような地点は地球上に何ヶ所あるか?
これらのパズルを解くには、平均以上の知能指数と高い問題解決能力が必要なのは言うまでもありません。
このようなパズル面接を実施することで、マイクロソフトは大量の応募者をふるいにかけ、優秀な人材の獲得を可能としているようです。
株式会社サイバーエージェント:Github採用
ABEMAやMリーグなどを手掛ける株式会社サイバーエージェントは、エンジニア職の採用の際、エントリーシートの代わりにGithubで選考するGithub採用を実施しています。
Githubとは、世界最大のソフトウェア開発のプラットフォームで、クリエイティブなエンジニアであれば誰もが利用しているサービスです。
Githubは、エンジニアのポートフォリオを構築することが可能なので、エンジニア採用において十分に実力を測定できます。
サイバーエージェントによると、このGithub採用を導入することで、面接回数を短縮できる効果があると言います。
たしかにGithubのアカウントを確認すれば、どれだけ実務的かつクリエイティブなコードを書けるかが一目瞭然です。
シリコンバレーなどではGithubとLinkedinだけでエンジニアを採用する企業が存在するほど。
優秀なエンジニアを採用したいのであれば、Githubを活用するのもいいでしょう。
株式会社サーチフィールド:絵ごころ採用
クリエイターのマッチング事業を手掛ける株式会社サーチフィールドは、絵ごころ採用を実施しています。
絵ごころ採用は、文章作成能力が求められるエントリーシートを省略し、イラストだけで書類選考を実施する採用方式です。
サーチフィールドは現在、イラスト制作事業・GIKUTASのグラフィッカー職を募集しています。
そのために、実際に必要なイラスト制作のスキルに重きを置いた採用方式をとっているようです。
また、絵ごころ採用によって面接回数が2回に短縮されており、よりスピーディーな選考が可能となっています。
ユニークな採用活動を実施するメリット3選
ユニークな採用活動を実施するメリットは以下の3つです。
- 応募者の増加が期待できる
- ユニークな人材を獲得できる
- 選考プロセスを省略できる
それぞれ解説していきます。
応募者の増加が期待できる
ユニークな採用活動を実施するメリットとして、応募者の増加が期待できる点が挙げられます。
例えば、ボウリングのスコアで判断する「ボウリング採用」を実施すれば、全国のボウリング好きが「とりあえず」の気持ちで応募してくる可能性があるはずです。
実際に内定を与えるかどうかは一旦置いておき、応募者が増えれば、自社をアピールできるチャンスが少なからず増えます。
エントリー数が少なく、それでいてこう着状態が続いているのであれば、ユニークな採用活動を実施してみてもいいかもしれません。
関連記事:採用戦略の成功事例を徹底解剖!成功の秘訣と注意点とは?
ユニークな人材を獲得できる
ユニークな採用活動を実施することで、非常に個性の強いユニークな人材を獲得できるチャンスが増えます。
強烈な個性を有している人材は、一般的な採用プロセスを踏まずに、独自のルートで就職活動を進める傾向があります。
このような人材を獲得するためには、お堅い採用活動だけではなく、クリエイティブな採用活動を実施する必要が出てくるでしょう。
現代は、言われたことをやれる人材よりも、新たな問題を発見できるクリエイティブな人材が求められている時代です。
クリエイティブ人材をいち早く確保するためにも、採用活動をユニークなものにするのがいいでしょう。
話題性が生まれる
ユニークな採用活動を実施することで、強烈な話題性が生まれます。
例えばTwitterで「ゲームの腕前だけで選考する」というツイートをすれば、大きな話題となる可能性があるでしょう。
一般的な採用方式を就職サイトに掲載するのではなく、ユニークな採用方式をSNSでアップした方が、低コストでありながら、話題性も大きいです。
特に、まだ企業名が有名でないベンチャー企業やスタートアップ企業は、プロモーション代わりに、ユニークな採用活動を掲載するのがいいかもしれません。
ユニークな採用活動を実施するデメリット3選
ユニークな採用活動を実施するデメリットは以下の3つです。
- 判断基準が難しい
- 優秀な人材を獲得できるとは限らない
- 人材とのミスマッチの可能性がある
それぞれ解説していきます。
判断基準が難しい
ユニークな採用活動は、判断基準の設定が難しいと言えます。
おそらく、他の企業が取り入れていない採用活動になるはずなので、模範的な答えや基準というものがありません。
自社が欲する人材を明確にする必要があるでしょう。
また、ユニークな採用活動は普遍的なものでないため、採用関連の業務が属人化してしまうケースも考えられます。
ユニークな採用活動を実施する際は、カヤックの「いちゲー採用」のように、報酬に相当するものを事前に明確にするのがいいでしょう。
関連記事:採用基準の決め方で大切な6つのポイント|事例とともに解説
優秀な人材を獲得できるとは限らない
ユニークな人材を獲得できても、その人材が優秀かどうかはわかりません。
もし優秀な人材を確実に獲得したいのであれば、実績やポートフォリオを重視した採用方式を用いるのがいいでしょう。
ユニークな採用活動で獲得できる人材は「優秀かどうかはわからないけど、強烈なポテンシャルのある人材」だと考えられます。
ユニークな採用活動を実施するのは、社内で強烈な変化を生み出したいとき、と考えましょう。
人材とのミスマッチの可能性がある
ユニークな採用活動では、人材とのミスマッチの可能性があります。
実際にカヤックが実施した「変人採用」という採用方式では、「変人」の定義があまりにも曖昧だったために、応募者とのミスマッチが生じ、結果的に打ち切りとなったようです。
ただし、これはまだ良い方。既に採用してしまった後にミスマッチが生じてしまうと、大きな機会損失になります。
自社が求める人物像を明確にした上で、採用活動を実施するのがいいでしょう。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- ユニークな採用活動を実施している企業は数多く存在する
- ユニークな採用活動を実施することで、エントリー数が増える
- ユニークな採用活動を実施する際は、求める人物像をあらかじめ明確にしておくのがいい
もし採用活動がこう着状態にあるのであれば、いっそのことユニークな採用活動を実施するのもいいでしょう。
この場合、無理に内定を出す必要はなく、最悪の場合、内定者をゼロにしても問題ありません。
失敗を覚悟でクリエイティブな採用活動を実施することで、新たな課題が見つかる可能性があります。
「Just Do It」の精神で、とにかく始めてみることで、結果的にユニークな人材獲得に繋がるかもしれません。