近年、採用活動において「コスト削減」「優秀な人材の効率的な確保」などのメリットを求めて「リファラル採用」を導入する企業が増えています。
しかし、いざリファラル採用を導入しようとしても、具体的な費用感や実施方法がわからず、悩んでいる採用担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、リファラル採用の目的と重要なポイントを、費用や実施方法とあわせて解説します。
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目次
リファラル採用の目的とは?
リファラル採用とは、自社の従業員に友人や知人を紹介・推薦してもらう採用方法です。
欧米諸国で広く導入されている採用方法で、最近ではさまざまなメリットが享受できることから、日本企業でも導入されています。
リファラル採用の主な目的は「コスト削減」「優秀な人材の確保」の2つです。
従来の採用方法と比べ、求人掲載費や採用手数料がかからないため、コストの大幅な削減につながります。
また、求人媒体での採用活動は、スキルのばらつきがある不特定多数の人へのアプローチしかできませんが、リファラル採用は優秀な人材に絞った上でのアプローチが可能です。
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リファラル採用が導入されている背景
リファラル採用が日本でも導入されている背景には、以下の3点が挙げられます。
- 労働人口の減少
- 早期離職率の増加
- 社会の働き方の多様化
労働人口が減少していることで、求人広告の出稿や会社説明会の開催というアクションで応募を待っているだけでは、自社が求めている優秀な人材を確保できません。
また、従業員を採用しても早期離脱してしまうことが多くなっているため、通年で採用活動を行なわなければならず、採用コストが増加します。
さらに、社会の働き方が多様化していることにより、キャリアアップのために転職する人が増加しているというのも注目すべき事項です。
以上3点の社会的背景により企業間での採用競争が激化しているため、優秀な人材を取り合っていかなければなりません。
上記の課題を解決するために、企業自らが採用候補者を能動的に探したり、既存社員のエンゲージメントを高めたりするなどの意識改革が急務です。
これらの一環として、リファラル採用への注目が集まっています。
リファラル採用の重要な3つのポイント
以下の3つが、リファラル採用を成功させるために重要なポイントです。
一つずつ順を追って制度を整え、全社に浸透させていきましょう。
- リファラル採用の仕組みづくり
- インセンティブ制度の確立
- 社員の認知度を高める
リファラル採用の仕組みづくり
リファラル採用を成功させるためには、従業員が知人・友人を紹介しやすい仕組みづくりから始めます。
リファラル採用は従来の採用活動とは違い、求人サイトやハローワークのような求職者からの応募を待つ姿勢ではありません。
まずは、人事担当者をはじめとする社員の意識改革を行いましょう。
次に、リファラル採用の目的や選考フローを明確にしておく必要があります。
採用試験や面接のやり方や、選考スケジュールなどをあらかじめ決めておきましょう。
どのような過程で選考が進むのかが明確になっていれば、従業員が候補者に説明しやすくなります。
ほかにも、候補者を探す際のマニュアルやトークスクリプトを作っておくことで、従業員が戸惑ったり負担を感じたりせず、スムーズに採用活動を進められるでしょう。
インセンティブ制度の確立
リファラル採用では、候補者を紹介してくれた従業員にインセンティブを支払うのが一般的です。
たとえば「1人採用ごとに1万円」「3人紹介したら昼食代金の割引」といった特典を設けましょう。
リファラル採用は、従業員のプライベートの時間を奪ったり、転職によって候補者の人生を変えてしまったりするなど、少なからず双方に負担がかかります。
場合によっては人間関係の悪化を招くリスクもあるのです。
採用活動によるメリットを伝えることで、積極的な行動を促せるでしょう。
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社員の認知度を高める
従業員に協力してもらうためには、まず制度の認知度を高めなければなりません。
せっかくリファラル採用の仕組みを構築しても、周知を怠れば制度の存在を知ってもらえず、採用につながらない可能性があります。
従業員向けの研修や説明会を開き、リファラル採用の制度や趣旨、目標などを理解してもらい、社内全体に浸透させましょう。
また、全員に周知しても「誰かがやってくれる」と当事者意識が薄くなり、なかなか行動してもらえない場合もあります。
最初は、エンゲージメントの高い従業員に個別で依頼するのもおすすめです。
リファラル採用でかかる費用
リファラル採用では、主に以下の費用がかかります。
- 必要経費
- インセンティブ
- リファラル採用ツールの運用コスト
必要経費
従業員が採用候補者と打ち合わせする際に、カフェ代やランチ代などの交際費、会議室の利用料などの経費がかかる場合があります。
必要経費を従業員に負担させると積極的に採用活動をしてくれる人が減ってしまうので、会社からの経費の支給は必要不可欠です。
注意すべき点は、経費の申請方法です。
会食だけが目的になったり、回数が多過ぎたりするなど、余計な経費を増やさないために、会話内容のメモの提出や回数制限を設けましょう。
インセンティブ
知人・友人を紹介してくれた従業員に支払うインセンティブは、会社にとってコストとなります。
インセンティブを高く設定すると積極的に行動してくれる従業員は増えますが、コストも高くなってしまうので注意が必要です。
リファラル採用で使用できる予算をあらかじめ確保しておき、その範囲でインセンティブを設定しましょう。
また、インセンティブの獲得だけを目的とする人が現れないように「採用されたら支払う」「紹介は月3人まで」などのルールを定めておくことも必要です。
リファラル採用ツールの運用コスト
専用ツールを導入して、リファラル採用を行なう方法があります。
その場合は、専用ツールの初期費用と月々の運用コストがかかります。
導入するツールの種類や企業規模によって料金プランは変動するので、導入する前に見積もりを出してもらいましょう。
リファラル採用の実施方法
ここでは、リファラル採用の実施方法を3つのステップでご紹介します。
- リファラル採用制度の策定
- 自社の課題に合わせた目標設定
- 社員への呼びかけ
リファラル採用制度の策定
リファラル採用の導入を決めたら、社内の有志を集めてプロジェクトを発足させるのがおすすめです。
全従業員に周知する前に、自社にリファラル採用が合っているか見極める必要があります。
方法としては、まずは試用期間として、社長や経営幹部、会社への貢献度が高い社員でリファラル採用を試し、採用実績が残せたタイミングで次の段階へ進みましょう。
自社の課題に合わせた目標設定
リファラル採用で重要なのは「課題解決につながる優秀な人材」を確保することです。
リファラル採用を導入しても、求めていない人材ばかり紹介されてしまうと、コストと時間が無駄になってしまいます。
それでは紹介・推薦方式の意味がありません。
まずは、自社の課題を洗い出してリファラル採用の活用方法を明確にすることが重要です。
どのような人材がどれだけの人数必要なのかを把握し、採用活動における目標を設定しましょう。
従業員への呼びかけ
リファラル採用制度の策定と目標設定が完了すれば、全従業員に向けた説明会を開きましょう。
試用期間で実績を残せていれば、リファラル採用の目的を理解してもらえる可能性が高いです。
インセンティブ制度も伝えることで、自分自身へのメリットも感じてもらえます。
まとめ
リファラル採用は、世の中の労働環境や労働者の意識が変化したことがきっかけで、導入する企業が増えています。
採用コストを削減できたり、優秀な人材を効率的に確保できたりするため、採用活動で課題を抱えている会社におすすめの採用手法です。
リファラル採用を導入する際は、実施方法や必要なコストなどをあらかじめ明確にしておくことで成功につながります。
この記事を参考にして、リファラル採用の導入を検討してみてください。