「OJTの導入を検討しているけど、導入する方法や手順、注意点がわからない…」
と悩む企業は少なくありません。
厚生労働省の「令和2年度 能力開発基本調査」によると、OJTを行ったと回答した事業者は59.8%だったことがわかっています。
このように、半数以上の事業者がOJTを取り入れているのです。
しかし、導入したことがない企業にとっては、活用方法や導入時の課題などのイメージがつかみにくいかと思います。
そこで本記事ではOJTについて
- 導入の目的
- 導入の利点・問題点
- 導入の工程
を解説していきます。
(参考:令和2年度「能力開発基本調査」の結果を公表します丨厚生労働省)
目次
OJTを導入する目的や利点・問題点とは
ここで簡単に導入する目的や利点・問題点をみていきましょう。
OJTの導入目的
導入する主な目的は、新入社員や未経験者の早期戦力化にあります。
OJTでは基本的に上司と部下の一対一で実務を通して指導するため、一人ひとりに最適な方針やスピードで育成することが可能です。
これにより、新入社員や未経験者でも必要な知識やスキルを効率的に習得することができます。
事前に作成した計画に沿って、通常業務と並行して行うことが一般的です。
関連記事:OJTとは?OJTによる研修の目的と必要性、メリット・デメリット、正しい導入の流れをわかりやすく解説!
利点
導入する利点には下記のようなものが挙げられます。
- 育成対象者の性格や資質に応じた内容、スピードで育成できる
- 指導者側の成長にもつながる
- 外部の講師や研修を外注しないため、コスト削減につながる
このように、コストを抑えつつ効率的な育成が可能な点が利点です。
問題点
一方で、導入によって下記のような問題が生じる可能性があります。
- 指導者によって育成効果に差が出る
- 基礎となる知識を体系的に学ぶことができない
- 指導者の負担が増えて教育対象者が放置される
上司や先輩社員が指導者となるため、スキルによっては教育の質が左右することや、指導者の負担が増えてしまい、丁寧に教えられないケースがある点が課題といえます。
関連記事:新人社員の育成方法とは?近年の傾向やポイントを解説!
OJTを導入する際の流れとは
ここからは、OJTを導入する際の手順や流れをみていきましょう。
OJTの基本的な流れ
OJTを適切に実施するには、下記のような実施前後の活動も大切です。
時期 | 活動 |
実施前 |
|
実施後 |
|
また、OJTの最中に指導者と教育対象者で面談を行うことや、必要に応じて計画の調整を行うことも求められます。
OJTの基本的な指導法とは
OJTは、4段階職業指導法というフレームワークに沿って指導を行っていきます。
このフレームワークでは、下記の4段階を経て人材育成を行う手法です。
Show
(やってみせる) |
|
Tell
(説明する) |
|
Do
(やらせてみる) |
|
Check
(評価・追加指導) |
|
OJTに適した業務・適さない業務とは
OJTは優れた教育手法ですが、全ての業務においてOJTが最適な教育手法というわけではありません。
したがって、OJTを導入する際は、事前に自社の業務がOJTに適しているかどうかを見極めることが重要です。
そこで、ここではOJTに適した業務と適さない業務をみていきましょう。
OJTに適した業務
すでに基準や原則が定まっており、予想外の出来事や変則的な状況になりにくい業務は、指導者による育成効果のバラツキが出にくく、OJTに適しているといえます。
また、業務対象者なら誰でも指導できるようにマニュアルを完備しておくことで、準備にかかるコストや指導者の負担も軽減できるため、安定的なOJTを行えるでしょう。
OJTに適さない業務
一方で業務の進め方が変則的で内容が変わりやすく、予想外の出来事が起こりやすい業務はOJTには適さないといえます。
なぜなら、指導者側にとっても教育対象者にとっても負担が大きく、OJTだけでは業務遂行に求められる知識を習得させることが難しいためです。
したがって、状況に応じた適切な対応が求められる業務についてはOff-JTによって体系的に習得してもらうなど、OJTとOff-JTをうまく連携させることで効果的な人材育成ができます。
関連記事:OFF-JTとは?OJTとの違いやメリット・デメリット、失敗の原因、成功のポイントを解説
まとめ
OJTは万能ではありません。
教えるのに向いている業務とそうでない業務があるため、OJTの目的を明確にしたうえで業務に臨む必要があります。
利点や問題点に留意したうえで、導入を検討するようにしましょう。