OJT教育において重要なことは、しっかりとした計画を立てることです。
無計画にOJT教育を行うと、育成効果が損なわれてしまったり、教育対象者のモチベーションが低下したりする可能性があります。
しかし、OJT教育の計画の立て方について、どのように策定すればいいのかわからないといった悩みを抱える企業も少なくありません。
そこで本記事ではOJT教育について、
- 計画を立てる目的・必要性
- 計画の立て方
- 計画を立てる際のポイント
を解説していきます。
目次
OJT教育の計画を立てる目的・必要性とは
一般的に新入社員の育成を目的として行われるOJT教育ですが、なぜ計画を立てる必要があるのでしょうか。
その最も大きな理由は、効率的に人材育成を進めるためです。
もし、計画を立てずにOJT教育を進めると、「何を教える必要があって、何を教えなくていいのか」「どのような順序で教えると習得しやすいか」などが曖昧になり、非効率的な育成になってしまいます。
さらに、育成対象者にとっても知識やスキルの習得が困難になり、モチベーションが下がってしまうでしょう。
これらのことから、スムーズな人材育成を可能にするために、OJT教育の実施前に計画を立てることは必須なのです。
関連記事:OJTとは?OJTによる研修の目的と必要性、メリット・デメリット、正しい導入の流れをわかりやすく解説!
OJT教育の計画の立て方とは
ここからは、OJT教育における計画の立て方をみていきましょう。
計画の立て方①.目標を明確にする
まず、計画策定においてもっとも重要なことは、目標の明確化です。
例えば、OJT計画の目標が「新入社員を一人前にする」という場合、曖昧なため目標として適切ではありません。
したがって、下記のように考えてみるのがよいでしょう。
- 自社における「一人前」の定義とは?
- 定義した「一人前」になるには、どのようなプロセスが必要か?
- そのプロセスはどのようなステップに細分化できるか?
- 目標達成に求められるスキル・知識は?
- スキル・知識を習得する際に超えなければならないハードルは?
- 意欲が下がる可能性のある要因や背景として挙げられるものは?
上記の項目は、OJT教育においてトレーナーがなんとなくイメージしていることですが、計画を立てる際には言葉にして明確化することが重要です。
関連記事:人材育成計画の作成方法とは?理想の人材が育つ計画の立て方やポイントを解説
計画の立て方②.計画に落とし込む
目標を明確にしたら、それぞれのプロセスやステップを下記のフェーズごとにわけて、細分化した目標やスケジュール、教育手法を計画に落とし込んでいきましょう。
フェーズ①.入社前
新入社員が入社する際にどのような心構えや知識を持っておけば、入社後のOJTを円滑に進められるのか、という観点で検討しましょう。
フェーズ②.入社3ヶ月~6ヶ月
新入社員は学生から社会人になったばかりで多くの不安を抱いているため、丁寧に研修を進めることが求められますが、企業側が割けるリソースには限界があります。
したがって、「どのような体験をしてもらえば目標に近づけるか」という観点で検討することで、効率的に育成を進めましょう。
フェーズ③.現場配属後
業務に必要な知識やスキルを一通り身に着けて業務遂行のイメージをつかめたら、いよいよ現場配属です。
しかし、実際の業務は研修とは異なるケースも多いため、現場配属後のフォローアップが重要になります。
一般的に、現場配属後の悩みとして多く挙げられるのは人間関係の悩みであるため、新入社員の人間関係に注目して育成を行っていきましょう。
計画の立て方③.細かい教育課程の作成
フェーズごとの大まかな教育計画がみえてきたら、続いては計画の細部を作成していきます。
細かい教育課程を作成する際は、下記のポイントを意識すると良いでしょう。
Off-JTと使い分ける
Off-JTとは、職場や業務から離れて行われる教育手法であり、一般的には集合研修や座学などの形式で、必要な知識を体系的に学びます。
OJTでは現場で実務を通して実践的な能力を身につけることができますが、体系的に学ぶことはできないので、汎用性に欠けるケースがあります。
このデメリットをカバーするためにOff-JTを活用することで、必要な知識を整理して基礎を構築することが可能です。
関連記事:OFF-JTとは?OJTとの違いやメリット・デメリット、失敗の原因、成功のポイントを解説
アウトプットをさせる
Off-JTなどでインプットをさせた後は、アウトプットをさせることも重要です。
例えば、レポートやテスト、実践、課題の提出など、さまざまな形式のアウトプットがあります。
新入社員を育成する際は、知識や技術を詰め込むだけではなく、それらを必要な形でアウトプットできるようにしなければなりません。
「OJTのトレーナーを新人自身にやってもらう」という活動を取り入れている企業もあり、このようにしてアウトプットをさせることで、インプットの質の向上も期待できるでしょう。
まとめ
OJT教育の計画を立てる際は手順を正しく踏み、実施する必要があります。
定義の認識を揃える必要があるため、各部署ごとに認識のずれが生じない程度にまで、情報の粒度を小さくすることが大切です。