OJTは新入社員の教育に適した手法ですが、その期間設定で悩む企業は少なくありません。
明確な期間設定をせずにOJTを行うと、OJTトレーナーも教育対象者もモチベーションが低下し、OJTの効果が損なわれてしまう可能性があるため、適切な期間設定が必要です。
そこで本記事ではOJTの期間設定について、
- 一般的な長さ
- 長くするメリット・デメリット
- 短くするメリット・デメリット
- 設定時のポイント
などを解説していきます。
関連記事:OJTとは?OJTによる研修の目的と必要性、メリット・デメリット、正しい導入の流れをわかりやすく解説!
目次
OJTの一般的な期間設定はどのくらい?
日本企業におけるOJTの期間設定に関する明確な根拠やデータはなく、国や行政から適切な期間として定められているものも特にありません。
つまり、各企業が自社に適した期間設定でOJTを行っている、というのが現状です。
例えば、短い企業では「2日から1週間ほど」で終わらせてしまう場合もあり、なかには「そもそも実施していない」という企業も存在します。
その一方で、1年間という長期間にわたりOJTを実施する企業もあり、各企業でバラバラです。
企業規模が大きいほど期間も長くなる傾向があるとされていますが、だからといって「長いほどいい」というわけではありません。
また、一般的には3ヶ月から1年ほどの期間設定が望ましいとされていますが、期間設定の長短によってメリット・デメリットがあるため、それらを把握したうえで、自社に合った期間設定をするべきでしょう。
OJTの期間設定が長いことで期待できるメリットとは
まず、OJTの期間設定を長くすることで期待できるメリットをみていきましょう。
ここでは、3ヶ月以上を「長い」とする前提で解説していきます。
戦略的な人材育成が可能
期間設定を長くすることの最も大きなメリットは、戦略的な人材育成が可能な点です。
自社が求める人材をもとに、将来的に必要なスキルを習得させることができ、理想の人物像に近づけることができます。
例えば、「3ヶ月目まではここまで、6ヶ月目にここまで成長していれば独り立ち」というように、じっくり人材育成することで、OJTトレーナーと育成対象者の負担を軽減することもできるでしょう。
関連記事:人材育成計画の作成方法とは?理想の人材が育つ計画の立て方やポイントを解説
丁寧な指導・育成ができる
期間を長くすることで、一人ひとりに丁寧な指導・育成ができるようになります。
同じ研修を実施しても、育成対象者は一人ひとり得意・不得意が異なるため、習熟度や理解度には、ばらつきが出ます。
余裕を持って育成をすることで、習得が遅れている場合はしっかりサポートし、逆に理解が早い場合は次の段階の指導ができます。
OJTの期間設定が長いことで生じるデメリットとは
一方で、OJTの期間設定が長ければ下記のようなデメリットが生じる可能性があります。
教育対象者の気が緩む
1つ目のデメリットは、OJT期間が長いことで教育対象者の気が緩むことです。
研修が長い場合、入社したはいいものの実際に仕事をしている気がせず、学校感覚で会社に通ってしまう可能性があります。
これにより、教育対象者の気が緩み、モチベーションが下がることが少なくありません。
OJT後の実務の忙しさに慣れず、負担が大きくなる
気が緩んだ状態でOJTが終わると、実際の業務の忙しさや大変さに慣れず、負担が大きくなってしまう可能性があります。
学生から社会人になることでギャップを感じるケースはよくありますが、OJTの期間が長い場合も、同様に入社1年目と2年目のギャップを感じやすくなるというデメリットがあります。
関連記事:新人社員の育成方法とは?近年の傾向やポイントを解説!
OJTの期間設定が短いことで期待できるメリットとは
OJTの期間設定を短くするメリットは、事前に早期即戦力化が目的として明確に掲げられているので、教育対象者が目的意識をもってOJTに取り組み、高い教育効果が期待できることです。
また中小企業の場合は、OJTの期間が短くする、すなわち、新入社員が利益に貢献できるようになるまでの期間を短縮できるということなので、それもメリットとなります。
OJTの期間設定が短いことで生じるデメリットとは
ここからは、OJTの期間設定が短いことで生じるデメリットをみていきましょう。
意欲の低下が起きやすい
1つ目は意欲の低下が起こりやすいことです。
研修期間が短いと、OJTトレーナーも短期間で業務に必要な知識やスキルを教えなければならず、教え方が雑になってしまったり、細かいことが抜け落ちてしまったりすることがあります。
これにより、教育対象者が不満を抱き、意欲の低下につながるケースがあります。
また、短期間で必要なことを習得しなければならないため、負担も増大してしまうでしょう。
実際の業務をうまくこなせない
OJTの期間設定が十分に用意されていない場合、業務遂行の具体的なイメージがつかめないまま実際の業務を行わなければならないことがあります。
これにより、実際の業務を進める際にパフォーマンスを発揮できないという事態になりかねません。
OJTトレーナーの負担が大きくなる
OJTの期間が短ければ、OJTトレーナーもその期間内にすべて教えなければなりません。
これによりOJTトレーナーの負担が大きくなることで、心理的な余裕を失ってしまい、新入社員に威圧的な態度で接してしまうなど、パワハラにつながる可能性があります。
まとめ
OJTの期間設定に正しいものはありません。
大切なのは、社員に必要とされる最低限のスキルを社員に理解してもらうのに、どのくらい機関がかかるのか、という視点です。
もちろんすべてをその場で社員が理解してくれる可能性は低いですが、一通りOJTで内容を理解すると、新入社員の不安も低減するでしょう。
自社にあった期間の設定を見つけ出してください。