OBOG訪問とは、就職活動を行う学生が、企業などで実際に仕事をしている従業員とコミュニケーションをとることを通して、情報を集める活動です。
企業側はOBOG訪問の対応を各従業員に一任してしまうと、企業としての採用方針と齟齬が生じたり、誤ったメッセージを伝えたりしてしまう可能性があります。
したがってOBOG訪問を受ける際は、企業側は適切な対応を心がけなければなりません。
そこで本記事ではOBOG訪問について、
- 概要や意義、目的
- 企業側の対応
- 企業側が意識するべきポイントや心構え
- 企業側の注意点
などを解説していきます。
目次
OBOG訪問とは
OBOG訪問とは、興味がある企業や業界で実際に働いている先輩のもとを訪ねて、どのような業務を行っているのかや、企業風土などを調べて、業界・企業研究に役立てる活動のことです。
企業や業界についてはインターネットでも調べることは可能ですが、表にはでてこない現実に即した生の情報を収集することは、OBOG訪問だからこそ可能と言えるでしょう。
関連記事:新卒採用とは?中途採用との違いやメリット・デメリットを解説
OBOG訪問の意義や目的とは
学生にとって貴重な情報を得られるOBOG訪問ですが、企業側にとっても下記のようなメリットや意義があります。
自社に対する理解を深める
自社の公式サイトや企業説明会など、大勢を相手にした情報発信では、自社の実際の雰囲気や企業風土、空気感を伝えることは困難です。
しかし、実際に働いている社員とコミュニケーションをとることで、学生は自社に対して深く理解できるでしょう。
入社後のミスマッチを減らす
インターネットや企業説明会だけで入社を決めた場合、「思っていたのと違った」「自由な雰囲気だと思ってたのにそうではなかった」など、入社後のミスマッチにつながる可能性があります。
そこで、OBOG訪問によって、実際の企業の雰囲気や、どのような社員が働いているのかを、学生に実際に感じてもらうことで、ミスマッチを防ぐことができます。
関連記事:新入社員のモチベーション低下の理由!8割を襲う「リアリティ・ショック」とその対処方法
お互いに本音でコミュニケーションをとる
学生は気になる企業について多くの疑問を感じていますが、「人が多くて遠慮してしまう」「こんな質問をしていいのだろうか」など、質問をしにくいと感じるケースもあります。
しかし、入社後のミスマッチを減らすためにも、お互いに本音でコミュニケーションを取ることは重要です。
OBOG訪問によって、企業についてよりリアルな情報交換ができれば、学生の疑問も解消しやすくなるでしょう。
OBOG訪問を引き受けた際の企業側の対応とは
それでは、OBOG訪問の依頼を受けた際の企業側がとるべき対応をみていきましょう。
まずは人事部に伝える
OBOG訪問の依頼は、母校の就職課の名簿やSNS、ゼミや部活の後輩の紹介などから来ることが一般的です。
ただ、どのようなルートから依頼が来ても、まずは人事部に伝えましょう。
企業によっては人事規定が定められているケースもあり、業務として面談時の食事代などの経費精算を認めている企業も存在します。
さらに、訪問依頼を受けたことが当該従業員の人事査定で評価されるケースもあります。
OBOG訪問によってリクルーターとして企業に貢献し、自身のキャリアアップにつなげられる可能性があるのです。
引き受けるかを検討する
OBOG訪問の依頼が来た場合、必ずしも受けなければならないというわけではありません。
一般的に業務の範囲外となるため、自身の業務に支障がないことが前提となります。
日程や誰が行うのかを検討する
OBOG訪問の依頼を受ける場合、まずは日時を調整します。
また、誰がOBOG訪問を受けるのか併せて検討しましょう。
OBOG訪問を引き受けた後の企業側の対応とは
OBOG訪問を行った後の対応は各企業で異なります。
ここでは、OBOG訪問後の一般的な対応をみていきましょう。
人事部に内容を伝える
まずは会った学生がどのような人物だったか、また、実際に話してみた感想を人事部に伝えます。
報告に関しては規定が定められていたり、マニュアルが用意されていたりする場合もあります。
OBOG訪問は企業にとっても優れた人材の獲得につながるので、報告内容によっては当該従業員の評価につながる可能性もあるでしょう。
他の従業員を紹介するケースも
OBOG訪問後、採用担当者から他の従業員を紹介するように指示があるケースもあります。
また、別の部署の従業員や関連業種の友人と話をしてもらいたいと感じた場合は、そのことを学生に伝えてから紹介するのも良いでしょう。
まとめ:OBOG訪問において企業側が注意するべきこと
OBOG訪問において企業側は発言や行動に気をつけなければなりません。
例えば、下記のような言動は絶対にNGです。
- SNSのアカウントを聞き出そうとする
- 2人きりでカラオケなどの密室に誘い出す
- 合格や不合格について言及する
- 他社への就職活動をやめるように言う
- 交際を迫る
OBOG訪問においてこのようなセクハラ・パワハラが生じると、企業の信用を著しく毀損するため、絶対にあってはなりません。
このような言動を避けるためにも、
- 従業員の立場が上であると勘違いしないこと
- 学生の立場は弱く、従業員からの要求を拒否しにくいこと
- 相手が嫌がればセクハラ・パワハラとなること
を企業として意識するとともに、実際に対応する従業員にも強く意識させる必要があります。