生産年齢人口の減少などにより、今後はこれまで以上に採用が難しくなることが予想されています。
そのような状況のなかで、会社の成長のために必要となる優秀な人材をどのように確保すればよいのでしょうか。転職者に選ばれる企業になるにはどうしたらよいでしょうか。
目次
「能力が高い人を採用すれば会社が成長する」という誤解
本題に入る前に、質問です。
あなたは、「能力が高い人を採用すれば会社が成長する」と思っていませんか。もしそうなら、その考えは改めた方がよいでしょう。
「今いる社員より優秀な人を採用して会社を成長させよう」という考えは間違っています。
社会的に有益な事業をしている会社であればあるほど優秀な人材を確保できる確率が高まるはずです。同業他社と比較した売り上げや利益、市場への占有率が高い企業などがそれに該当します。
売り上げや利益を伸ばすことができるからこそ、福利厚生や給与面を他社と比べて差別化できるのです。
優秀な人材を確保したいのであれば、今の社員を成長させる環境をつくりマネジメントを改善する、そうすれば会社の有益性が高まるにつれ優秀な社員を採用することができるようになってきます。
人材不足が深刻化しているのですから、今と同レベルか、今の社員よりも低いレベルの人でも採用をして、社員の成長とともに会社の有益性を伸ばしていくことこそが、遠回りに見えて人材を確保する解決策になります。
運よく今の社員より優秀な人材を確保できたとしても、会社のレベルが低いと優秀な人材は結局力を発揮できないか他へ転職することになるでしょう。そうすると高い採用コストが無駄になってしまいます。
ルールを明確にする
転職者に選ばれる会社になるためには会社のルールを明確にしましょう。
優秀な人材を確保したいと思い、募集欄に「自由な社風です」「アットホームな社風です」「明るく楽しい職場です」と記載してはいませんか。そのような募集をした会社の社員から、下記のような話を聞いたことがあります。
「自由な社風だというから自由に振る舞っていたら、後から上司に注意された」
「何かするたびに上司に感覚的な判断をされてしまう」
「自由といっても結局ルールを上司が決めるのだから、はじめに言っておいてほしい」
いわゆる「自由な会社」では、ルールが示されていなくても、実は「暗黙のルール」が存在しています。もしくは会社や上司の感覚に委ねられているのです。
「自由にしていいよ」と言われていても、後から「あれはだめ」「もっとちゃんとして」などと言われるとしたらどうなるか。
それが社員にとっては見えない地雷の埋まっている戦場に近い感覚となります。そういう場所では、社員は自由に振る舞うどころか、地雷を踏んでしまわないように、逆に動かなくなっていきます。
ルールがない、もしくはルールが曖昧な状態で注意される、時には感情的に怒られることは社員にとってストレスなのです。
もちろん、必要のないルールや形骸化しているルールは改善しなければいけませんが、会社がこれから成長していくために必要なルールは明確にしましょう。
このストレスが嫌で辞めていく社員の噂は、現代ではあっという間に広まります。それにより、転職者からは敬遠される会社になってしまうかもしれません。
役割と評価制度を明確にする
優秀な人材だからどんな役割にするか、どんな結果を求めるかが曖昧な状態で採用することもやめるべきです。
会社にとって必要な役割とは何か、どの期限までにどのような結果が必要なのかを明確にしてから募集をするようにしましょう。「適材適所」ではなく「適所適材」という考え方が必要です。
そして、重要なのが評価制度を明確にすることです。
働いている社員が求められる役割をきちんと果たしたならば、それに対する評価と給与はどうなるのかが曖昧な状態であれば、転職者からも選ばれません。結果を残し続けることで、1年後、3年後、5年後、10年後どのような給与になっていくのか。転職者の未来の人生のイメージが描けるようにしなければいけません。
「頑張れば給与があがるから、君なら上を目指せるよ、やりがいがあるよ」
このよう曖昧な言葉で転職者を確保しようとすると、後で弊害が起こります。
「この会社は頑張っても給与が上がらない、上司の評価が曖昧でどうしたらいいかわからない」
こんな状態では、転職者に選ばれる会社になりません。
会社の現在の有益性と未来の有益性
人と人は有益性でつながっています。有益性のバランスが崩れるとつながりがなくなります。
学生時代はよく遊んでいた友人と疎遠になったということは、お互いの求める有益性のバランスが取れなくなったからです。
会社と人も有益性でつながっています。有益性が高い会社だからこそ有益な人材が集まってきます。
転職者に選ばれる会社になるためには、自社が社会にとってどのような有益性を発揮しているかを言語化していきましょう。
そして現時点では競合他社と比べて有益性が劣っているとしても、3年後、5年後の会社の有益性がどうなっているかを明確にして、結果的に転職者や今いる社員がどのような有益性を得られる状態になるのかをイメージできる状態にするのです。
私が識学に入社したときは、従業員30名ほどの会社でしたが、ルールも評価制度も明確でした。
そして「識学を広めることで人々の持つ可能性を最大化する」という理念を実現させるために、まずは株式上場を目指していると聞いて入社をしました。
会社の現在と未来の有益性が何なのか、自分が会社のなかで有益な存在になるためにはどうすればよいのか、会社が目標を達したときに自らにどんな有益性が得られるのかをイメージできたのです。