MBO(目標管理制度)を、人事評価の仕組みとして導入している企業は数多く存在します。
しかし、その導入数に対して、適切に運用できている企業はあまり多くはありません。
誤った運用方法のままだと、思わぬトラブルやデメリットが生じる可能性もあるため、適切な運用ポイントを把握しておくべきでしょう。
そこで本記事ではMBOについて、
- 概要
- OKRとの違い
- 普及した背景
- メリット・デメリット
- 実施方法
- 効果的な運用方法
- 注意点
を解説していきます。
目次
MBOとは
MBOとは、「Management By Objectives」の略称であり、日本語では「目標管理制度」「目標による管理」と呼ばれます。
従業員自身が自分の目標を決めることで、従業員の目標達成に対するモチベーションを高めることができ、結果として生産性向上などのメリットが期待できます。
MBOにおいて重要なポイント
MBOにおいて重要なポイントは2つあります。
組織目標とのリンク
1つ目のポイントは、従業員の個人目標が組織目標とリンクしていることです。
MBOでは、従業員に組織の一員であることを改めて感じてもらうこと、個人と組織の成長を同時に実現することが求められます。
したがって、会社が掲げる目標へ貢献していると感じられるような、個人目標を設定することが重要です。
従業員自身が設定すること
2つ目のポイントは、従業員の個人目標は自分自身で設定することです。
MBOにおけるもっとも重要な要素の1つは、「自主性」です。
従業員の自主性を引き出すことができなければ、ただの企業のノルマ管理となり、MBOのメリットは期待できないでしょう。
関連記事:目標設定の重要性やメリットとは?方法や注意点、フレームワークを解説
MBOとOKRの違いとは
MBOと混同されがちな管理手法として「OKR」が挙げられます。
OKRとは「Objectives and Key Results」の略称であり、GoogleやFacebookなどの企業が導入している手法です。
双方の大まかな違いは下記のとおりです。
- MBOの目的は人事評価、OKRの目的は組織目標の達成
- MBOでは上司と部下との間で目標が共有されるが、OKRは全社で共有される
- 期待される目標達成度はMBOが100%、OKRは60~70%
関連記事:OKRとは?Googleやメルカリも採用している目標の設定方法や成功への道筋
MBOが日本に普及した背景とは
MBOが日本に普及し始めたのは1990年代です。
当時、日本ではバブル経済の崩壊によって多くの企業がコスト削減を迫られ、人件費を抑えながら業績を上げる方法を模索していました。
従来の日本企業では年功序列制度が一般的であったため、従業員の働きぶりとは無関係に人件費が増え続けており、その見直しを迫られる状況にあったのです。
そこで、高い成果をあげている従業員に対して成果に見合った報酬を支払う成果主義が注目されるようになり、MBOが普及していきました。
関連記事:日本的雇用慣行とは?特徴やメリット、デメリットを解消する働き方などを解説
MBOのメリットとは
ここでは、MBOのメリットをみていきましょう。
従業員の意欲を引き出せる
MBOでは従業員の内発的動機付けを促進し、意欲を引き出すことができます。
内発的動機付けとは、自分の内側から生じる興味や関心によって動機づけられる状態です。
給与や名誉などの外的な報酬によって動機づけられる「外発的動機づけ」の対義語でもあります。
また、内発的動機付けは労働者のパフォーマンスを高めることに貢献するということが、科学的に明らかになっています。
評価がしやすい
MBOでは達成度合いを明確に計測できる目標を設定するため、評価がしやすい点がメリットです。
評価がどのように行われているか不透明になっていると、従業員が納得できず不満を抱くことがあります。
しかし、MBOによって明確な基準に基づいた評価ができれば、目標達成の意欲を引き出せるでしょう。
関連記事:目標管理と人事評価を連動する方法とは?目的やOKRとの違い、利点・問題点を解説
自主性・自己統制によるマネジメントが可能
上司が部下の目標を一方的に決め、命令を下して仕事をさせる場合、従業員のモチベーションが損なわれる可能性があります。
しかしMBOであれば、各従業員が自分自身で目標を設定し、自主性や自己統制に基づいて仕事を進めていきます。
これにより、自己統制力を磨くことにもつながり、従業員の成長が期待できるでしょう。
MBOのデメリットとは
利点が多いMBOですが、一方で下記のようなデメリットも挙げられます。
管理職にかかる負担の増大
MBOでは、管理職が各従業員の評価とフィードバックをするので、チームメンバーが多い場合は管理職の負担が増大します。
さらに、評価によっては従業員のモチベーションを損ねる可能性があるので、管理職にのしかかるプレッシャーも考慮する必要があるでしょう。
各従業員が自由に目標を決められるわけではない
MBOの特徴は各従業員が目標を設定する点ですが、自由に目標を設定できるというわけではありません。
組織目標とリンクしていることが前提であり、組織に貢献できることを目標にする必要があります。
単なるノルマ管理になる可能性がある
MBOでは上司と部下の緊密な連携が重要な役割を担います。
しかし、両者のコミュニケーションが疎かになっていると、MBOはただ組織のノルマを押し付けて管理するツールになりかねません。
このような状態に陥ると、モチベーションを高めるどころか不満を抱く原因になるでしょう。
まとめ
MBOは人事評価制度と正しく連携させる必要があります。
また、人事評価制度と給与も正しく連動させるべきです。
弊社は、上記を正しく連携させることのできるマネジメントコンサルティング会社です。
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