IPOとは、自社株を証券取引所に公開することであり、企業や従業員、そして株主それぞれにとってメリット・デメリットがあります。
IPOを実現させるには高いハードルを超えなくてはならず、入念な準備が必要です。
そこで本記事ではIPOについて、
- 概要
- 上場のハードル
- メリット・デメリット
などを解説していきます。
目次
IPO(新規株式公開)とは
IPOとは「Initial Public Offering」の頭文字をとった言葉で、日本語では「新規株式公開」や「新規上場株式」とすることが一般的です。
上場していない企業が新たに株式を証券取引所に上場し、投資家に株を売り出して、誰でも株取引ができるようにすることをIPOといいます。
企業にとっては上場することで、金融市場から直接、広く資金調達ができるようになることや、知名度を上げることによって社会的信用を高められる利点があります。
関連記事:IPOとは?その意味や株式公開のメリット・デメリットをわかりやすく解説!
IPO(新規株式公開)におけるメリットとは
日本では毎年およそ80社から90社ほどが上場しています。
しかし、全体を見ると日本において上場している企業は、全て合わせても3,787社しかありません(2021年9月2日時点)。
日本企業全体には400万社ほどあるにもかかわらず、上場しているのはわずか0.1%にも満たないのです。
このような狭き門である上場ですが、多くの企業がIPOを目指す理由はどこにあるのでしょうか?
それは、IPOによって得られるメリットが大きいためです。
ここでは、IPOのメリットを見ていきましょう。
関連記事:株式上場するには?メリット・デメリットや必要な条件を解説
知名度が上がる
IPOをすることで自社の知名度が大きく上がるメリットがあります。
投資家のもとには証券会社からIPO株の知らせが届き、ニュースで取り上げられることも多いです。
その後も上場株として公開され、多くの投資家が企業の存在を知る機会が増えることは大きなメリットといえるでしょう。
社会的信用を高められる
2つ目のメリットは、社会的信用を高められる点です。
証券取引所に上場するまでには厳格な審査を通る必要があります。
審査を通るには、財務状態の水準や内部管理体制の充実が必要です。
この審査を通ることで一定の基準を満たした企業であることがわかるため、社会的な信用が高まります。
また、上場後は企業の財務状況などを公開していくので、取引先や顧客からの信用も得られるでしょう。
資金調達力の向上
3つ目のメリットは、資金調達力の向上です。
非上場企業であれば、親族や知人など限られた株主からの出資や、銀行などの金融機関からの借り入れによって資金調達を行います。
しかし、上場企業の場合は証券市場を通じて株主から資金調達することができるため、これまでよりも資金調達力が飛躍的に高まります。
人材獲得競争で優位に立てる
4つ目のメリットは、人材獲得競争において優位に立てる点です。
近年、労働人口の減少によって人材獲得競争が激化しているなか、知名度・社会的信用が高い上場企業であれば、優れた人材を集めやすくなります。
関連記事:人手不足の原因とは?人手不足による影響と人材確保の対策を解説
IPO(新規株式公開)におけるデメリットとは
IPOには多くのメリットがありますが、一方で下記のようなデメリットもあるため把握しておきましょう。
コストがかかる
IPOには多額のコストがかかります。
上場準備から上場後までにかかるコストには下記のようなものが挙げられます。
上場前(年間) |
|
上場時 |
|
上場後(年間) |
|
株主への対応をしなければならない
2つ目のデメリットは、株主への対応をしなければならない点です。
上場すると不特定多数の人たちが企業の株主となり、株主は経営方針や事業内容について企業に意見することができます。
しかし、株主のなかには経営や株価対策について注文をする、「物言う株主」も存在するため、適切な対応が求められます。
買収リスクや買収対策コストがかかる
3つ目のデメリットは、買収リスクや買収対策コストがかかる点です。
上場すると不特定多数の人たちが株式を買うことができるため、買収されるリスクが生じます。
特に企業は、経営権を奪うために行われる「敵対的買収」を防ぐ必要があります。
したがって、買収防衛策の実施にコストが生じるため、IPOによってこれまでになかった新たなコストがかかるようになるのです。
まとめ
IPOは自社企業の大幅な価値向上に役立ちますが、監査役の設置などの準備が必要になります。
また、社会的に及ぼす影響も大きくなるため、社員のコンプライアンス意識の向上も必要になります。
上場には時間がかかりますので、少しずつ準備を進めるとよいでしょう。