多くの企業が導入している、「半休」とも呼ばれる半日休暇。
休暇の一種ですが、適切な運用方法や導入時の注意点を把握している人は多くはありません。
そこで本記事では、半日休暇の概要やメリット・デメリット、注意点などを解説していきます。
目次
半日休暇とは
半日休暇とは、労働基準法で定められている休暇ではなく、企業が独自に導入・運用する休暇です。
とはいえ、法律に違反する内容であれば、就業規則として定めることはできません。
また、厚生労働省の通達によると「半日単位で付与する義務はない」としています。
つまり、半日単位の付与は「できない」のではなく「義務はない」ということなので、「半日単位の休暇を付与しても差し支えない」ということです。
定義
労働基準法においては、労働日は午前0時から午後12時までを「1日」としています。
したがって、「半日」の定義は
- 午前0時から正午まで
- 正午から午後12時まで
というような区分けが適切と考えられるでしょう。
半日休暇の取得理由とは
従業員が半日休暇を取得する理由や望む理由はどのようなものでしょうか。
ポイントを簡単に見ていきましょう。
体調不良
半日休暇の取得理由でおそらく最も多いものは、体調不良です。
風邪や頭痛、腰痛、腹痛、生理痛などさまざまなケースが考えられますが、軽症の場合や薬の服用で住む場合、半日休暇を取得することが多いようです。
また、従業員本人の体調不良だけではなく、家族の体調不良のケースもあります。
葬式や法事
半日休暇を取得する2つ目の理由が、葬式や法事です。
この場合、当日か前日に半日休暇の取得希望の連絡が来ることもあります。
突然の休みで現場が人手不足に陥る可能性もありますが、その際も柔軟に対応し、近親者を亡くした従業員の気持ちに配慮した適切なサポートが望まれます。
気分転換や旅行
気分転換や旅行をするために取得されるケースもあります。
出発時間によっては午前中のみ仕事をしてから休暇に入る人も少なくありません。
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半日休暇の間違った運用事例とは
企業によっては半日休暇制度の運用が適切になされていないケースがあります。
ここでは半日休暇における有給休暇や休憩などの考え方を見ていきましょう。
有給休暇
上述した通り、半日休暇は法律で定められているわけではありません。
一方で有給休暇は法律で定められた休暇です。
有給休暇は有給で休暇をとってもらい、気分転換やリフレッシュをしてワーク・ライフ・バランスの充実を実現することが目的です。
しかし、仕事と生活の調和を図る観点から2010年施行の改正労働基準法によって、「時間単位年休」が定められました。
これは、時間単位の有給休暇を取得できる制度で、半日休暇とは異なります。
関連記事:年次有給休暇とは?取得義務や罰則、管理する際の注意点を解説
早退
早退とは、終業時刻前に退勤することを指しており、体調不良や介護、育児など家庭の事情が理由で行われます。
早退した従業員については、早退後の場合でも申請によって有給休暇を使った半日休暇とすることも可能です。
しかし、企業が勝手に早退した従業員を半日休暇の扱いにすることは認められていないため注意しましょう。
半日休暇のメリットとは
半日休暇を導入するメリットを見ていきましょう。
採用力の強化につながる
1つ目は、従業員が柔軟に働ける環境を整えることでワーク・ライフ・バランスの実現につながる点です。
これは従業員にとっても嬉しい限りですが、この取組みによって採用時に「柔軟な働き方ができる」として、自社のアピールに活用できることが大きなメリットです。
従業員の満足度向上につながる
2つ目のメリットとしては、従業員のワーク・ライフ・バランスを充実させることによって、満足度や企業へのエンゲージメントを高められる点です。
これにより、仕事へのモチベーションを引き出し、労働生産性が上がる可能性があります。
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半日休暇のデメリットとは
一方で半日休暇を導入すると、下記のようなデメリットもあるため注意しましょう。
管理に手間がかかる
主なデメリットは管理に手間がかかることです。
半日分の給与控除の計算や、休暇の残数の確認といった新たな業務が生じるので、勤怠管理の担当者の負担が増えるでしょう。
半日休暇に関する疑問
ここでは、半日休暇に関する基本的な疑問について解説していきます。
有給か無給か
企業が独自に設定する半日休暇においては、有給にするか無給にするかも自由に設定できます。
したがって、ノーワーク・ノーペイの原則に従い、無給とする企業が一般的です。
有給にするケースも
一般的には無給扱いとなる半日休暇ですが、企業によっては有給とするケースもあります。
この場合、従業員の意欲向上につながり、離職率が低下する可能性があります。
午前と午後で半日休暇はどのように異なるのか
半日休暇の「半日」を午前と午後で分ける場合、不公平感が生じるケースがあります。
例えば始業時間が9時、あいだに1時間の休憩を取って就業時間が17時とすると、午前の休暇に当たる時間は実質3時間、午後は休憩分を抜いても4時間となるからです。
これによりトラブルにつながりそうな場合は、半日休暇ではなく時間単位年休とする方が納得感があるでしょう。
まとめ:半日休暇とは
半日休暇は、社員が自身の休暇を自由に設定できるという点で大変優れています。
その一方で、経営者が気になるのは休暇を自由にすることで、社員のモチベーションが上がり、生産性は高くなるのかという点です。
実は、弊社識学では、社員のモチベーションと生産性は切り離して考えています。
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