ミドルマネージャーとは、カッツ理論における「トップ」と「現場」を繋ぐ役割を持ったマネージャーを指した言葉です。具体的には、部長や課長といった「中間管理職」が該当しています。
ここではミドルマネージャーの役割や抱えている課題、そしてマネジメント理論の識学に基づいた課題の解決法にくわえ、2700社以上の組織・人事コンサルティングから判明した、成果をあげるミドルマネージャーの特徴を解説していきます。
目次
ミドルマネージャーとは?
ミドルマネージャーとは、カッツ理論における部長や課長などの「中間管理職」に該当する役職を示しています。しかし近年はミドルマネージャーの重要性が高まっているため、ただの中間管理職という認識を改める必要があります。
ミドルマネージャーは経営層と現場で働く従業員をつなぐ役割を担う、重要なポジションです。経営方針や戦略を決めるのは経営層ですが、その戦略を実行するのは現場の従業員であるため、両者を適切に結び付けなければなりません。
したがって、ミドルマネージャーが適切な役割を発揮しなければ、組織は一体性を欠き、生産性が大きく下がってしまいます。また、リモートワークの普及で従業員同士の距離が物理的にも心理的にも離れつつある昨今、ミドルマネージャーの重要性はこれまでになく高まっているといえるでしょう。
ミドルマネージャーの役割とは?
ミドルマネージャーの役割は、会社の経営陣が設定した方針に従って、現場での目標を設定し、その達成の仕組みを作っていくことにあります。
また、経営層の決定を現場の従業員に伝えたり、現場の状況を経営層に伝えたりするだけではなく、上と下の間の調整役となることが求められます。立場が異なる両者の間をとりもち、組織の一体性を高めて調整していかなければなりません。
ミドルマネージャーに求められる能力とは?
ミドルマネージャーに求められる能力は下記の4つが挙げられます。
- 情報を集め、分析する能力
- 業務をマネジメントし、目標達成を実現する能力
- 経営層と現場の従業員をつなげるコミュニケーション能力
- 業務に関連する法令やコンプライアンスを理解し、遵守する能力
上記の能力はマネージャーとして持っておくべき基本的なスキルです。しかし、昨今ではミドルマネージャーはプレイヤーとしても業務に関わることが少なくありません。したがって、ミドルマネージャーに求められる能力は今後さらに増えていくことが予想されます。
今後必要になるミドルマネージャーの能力とは?
では、今後ミドルマネージャーに必要となる能力とはどのような能力でしょうか?
やや古いデータとはなりますが、2012年の日本経済団体連合会の報告書に参考となる情報が掲載されています。
報告書では、経営者がミドルマネージャーだった頃に重要だった役割としては、
- 組織や部署が直面する様々な課題を解決する
- 部下に必要な業務指示・指導を行ない、その進捗状況を管理する
- 組織の上層部や組織外からの情報を自分なりに咀嚼して部下に伝え、部下の行動を導く
が挙げられています。しかし、現在において重要度が高い役割として挙げられているものはが
- 部下のキャリア・将来を見据えて必要な指導・育成をする
- 経営環境の変化を踏まえた新しい事業や仕組みを自ら企画立案する
という風に変化が見られます。
(引用:ミドルマネジャーをめぐる現状課題と求められる対応丨一般社団法人 日本経済団体連合会)
ミドルマネージャーの課題とは?
また、報告書ではミドルマネージャーが抱えている課題や悩みは、上記で挙げた重要な役割同様、「部下の指導や育成」と「環境の変化に応じた企画立案」が挙げられています。
つまり、今重要となっているミドルマネージャーとしての役割や能力が、充分に果たせていないということが言えます。
働き方改革やダイバーシティ経営の推進、リモートワークの普及によって、昨今は日本企業を取り巻く環境が大きく変わってきていることが原因として挙げられるでしょう。
これにより、ミドルマネージャーに必要な能力や役割が増加傾向にあり、さらに重要性も高まっているため、多くのミドルマネージャーが疲労困憊の状態に陥っているのです。
組織別のミドルマネージャーが抱える課題
企業は、
- 拡大期(組織が成長する時期)
- 多角期(事業の柱を増やす時期)
- 再生期(失敗と成功を経験した上で方針を決める時期)
という段階を経て成長していきます。
ミドルマネージャーが抱える課題は、こうした組織の成長段階によって異なる場合があります。
拡大期
拡大期においては組織はトップダウンになることが多く、現場で動く従業員のモチベーションが下がることが少なくありません。この場合、ミドルマネージャーは従業員を適切にマネジメントできず、プレイヤーとして動くようになってしまうことが課題となりがちです。
多角期
組織が細分化されていく多角期には、組織としての一体性が欠けてしまいます。これにより生じるのが、多様化した目標や人材に対してミドルマネージャーが柔軟なマネジメントができなくなる、という課題です。
再生期
そして最後に再生期では、自己の利益のために派閥同士が組織内で争う派閥主義が横行してしまいます。このような縄張り意識によって職場間や部門間での対立が激化すると、顧客視点を失いかねません。
このような状態に陥ると、ミドルマネージャーは、部門間や職場間をつなげるマネジメントができなくなってしまうのです。
識学的視点:ミドルマネージャーの課題を解決するには?
いずれの段階においても、共通して言えるのは、ミドルマネージャーの課題は、ミドルマネージャー本人だけでは解決できないということです。抜本的な解決のためには、経営者が組織の「仕組み」を抜本的に見直す必要があります。
なぜなら、「仕組み」を見直さずに、ミドルマネージャー個人の解決能力に頼っていると、いずれメンバーが増えた時に限界が訪れるからです。
では、具体的にどのような「仕組み」を見直せば良いのか?そのひとつが、「評価制度」です。多くの会社では、ミドルマネージャーを評価する人が複数人存在していたり、評価基準が曖昧だったりします。
一方で、識学の評価制度では、評価者は直属の上司一人のみであり、評価基準は、数字や事実で明確に設定します。これにより、全てのミドルマネージャーは、誰から何を求められているのか明確に認識できるようになり、迷うことが無くなります。
識学的視点:成果をあげるミドルマネージャーの特徴とは?
とはいえ、全てのミドルマネージャーが成果をあげている組織というのは多くありません。ミドルマネージャーとして成果をあげている人には大きく3つの特徴があります。
- 自責意識が強い
- 部下に好かれようとしない
- 事実でマネジメントする
自責意識が強い
できるミドルマネージャーは、チームの結果は100%自分の責任であるという意識を持っています。よって、たとえ特定の部下のミスが原因で未達成だったとしても、それは自分のマネジメントに原因があったと捉え、即座にマネジメント方法を改善します。
部下に好かれようとしない
次に、できるミドルマネージャーは、自分が評価を得るためには、部下ではなく会社(=上司)からの評価を獲得しなくてはいけないことを理解しています。よって、時には部下から嫌われるような決断をすることもありますが、その決断は会社のために行っているため、会社を勝利に導きやすくなります。
事実でマネジメントする
そして最後の特徴は「感情」ではなく「事実」でマネジメントするということです。感情でのマネジメントとは、例えば、個人的な好き嫌いで特定の部下を優遇したり、罵倒や暴言などの恐怖で部下を動かしたりすることです。これをやってしまうと、部下側に不平等感や不信感が募り、業務への集中力が下がります。
ミドルマネージャーにオススメの本は?
書籍:『リーダーの仮面』