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みなし残業とは?正しい意味やメリット・デメリット、違法性を解説

近年、長時間労働の是正や生産性向上の必要性が高まるなか、「みなし残業」という言葉を見聞きする機会が増えているのではないでしょうか? しかし、聞いたことがあるだけで「みなし残業とは?」と聞かれると、正確に答えられない人も多いのが現状です。

そこで本記事では、みなし残業の正しい意味やメリット・デメリット、違法性などを解説していきます。

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みなし残業とは

みなし残業とは、企業が従業員の労働時間を正確に把握できない場合において、毎月一定の残業時間を想定して、その分の残業代を固定給に含めて支払う仕組みのことです。

例えば、オフィスに戻らずに顧客を訪ねる営業職の場合、企業が従業員の労働時間を把握することが難しくなります。このようなケースにおいて、みなし残業はとても便利な制度といえます。

みなし残業には大まかに「みなし労働時間制」と「固定残業代制」の2つに分けられます。また、「みなし残業」は法的な仕組みではないため正式名称はありません。

みなし労働時間制とは

みなし労働時間制とは、外回りが多い営業職や自宅勤務などのように、業務の性質上、実際の労働時間を把握することが困難な場合において、実際の労働時間ではなく「毎月◯◯時間働いた」と想定して、そのみなし時間の賃金を支払う制度です。

企業と従業員が「1日8時間労働」で契約しているのであれば、従業員が9時間働いた場合は1時間分がみなし残業となります。

固定残業代制とは

固定残業代制とは、1日8時間(法定労働時間)を超える時間外労働に対して支払う割増賃金を、従業員の実労働時間とは関係なく毎月一定時間の残業をしていると想定して、決まった額を給与として支払う制度です。

つまり、残業代があらかじめ基本給や年俸に含まれている仕組みです。これは「定額残業代制」とも呼ばれています。

みなし残業のメリット・デメリットとは

みなし残業を導入する企業側のメリットは下記のようなものが挙げられます。

  • 毎月の人件費の変動を小さくできる
  • 残業代の計算を簡素化できる
  • 労働時間を短くするメリットを社員に与えることができる。

一方で、従業員にとっては下記のようなメリットが期待できます。

  • 給与の変動が少なく生活の見通しが立ちやすい
  • 残業がない、もしくは残業が少ない場合でも残業代を貰える

みなし残業のデメリットとは?

みなし残業を導入する企業側のデメリットは下記のようなものが挙げられます。

  • トラブルの原因になるケースがある
  • 従業員の残業がなくても残業代を支払わなければならない
  • 従業員が「残業しなければならない」と誤解する可能性がある
  • サービス残業を助長する可能性がある

また、みなし残業を違法に運用している企業があるため、従業員は企業がどのように運用しているか見極めなければなりません。

みなし残業の違法性とは?

みなし残業には企業にとって様々なメリットがあるため、導入している企業が多く存在します。

もちろん、労働基準法を遵守した就業規則であれば違法性はありません。

しかし、みなし残業は運用の仕方によっては違法性を問われることもあります。るため、その運用には注意が必要です。実際、労働基準法に違反した労働が横行している企業も少なくありません。

したがって、企業がみなし残業を導入するうえでは、下記のようなポイントに注意するべきでしょう。

  • 従業員がみなし残業以上の残業をしていないか
  • みなし残業時間内の場合でも、深夜労働や休日出勤をしていないか
  • みなし残業時間が「月45時間以内」に設定されているか
  • みなし残業制であることが周知されているか
  • みなし残業時間以上の残業代の未払いがないか
  • 基本給が最低賃金以下になっていないか

みなし残業が原因となるトラブルとは?

みなし残業を導入する場合、下記のようなトラブルの原因となることに注意しておきましょう。

決められた時間を超過した場合の割増賃金を考慮しない

みなし残業を導入することで生じる代表的なトラブルは、「決められた残業・労働時間を超過しているのに割増賃金が支払われていない」といったトラブルです。意図的に実労働時間よりも短い時間をみなし残業時間として設定する企業起業も少なくないため、注意しなければなりません。

時間外労働・深夜労働を考慮しない

続いて挙げられるトラブルは「時間外労働・深夜労働の割増賃金が支払われていない」です。労働基準法では法定労働時間を超過する場合、時間外労働として時給単価の25%割増、深夜労働においても25%の割増が決められています。

しかし、みなし労働時間制では、あらかじめ想定して決められた労働時間を越える実労働時間となっても、時間外労働や深夜労働の割増賃金が給与に反映されないことがあり、トラブルの原因となっています。

基本給とみなし残業代が分けられていない

また、「契約書上で基本給とみなし残業代の金額が別々に明記されていない」という場合もトラブルの原因となります。みなし残業を導入するのであれば、「みなし残業時間はどれくらいなのか」「基本給とみなし残業代はそれぞれいくらなのか」がわかるように、就業規則に明記しておくべきです。

識学的視点:みなし残業を導入する際に注意するべきポイント

マネジメント理論「識学」の観点から考えたとき、みなし残業を導入する際に注意すべきポイントは、「みなし」といえども、残業する際は申請を上げさせるということです。

多くの企業には、競合他社が存在しており、市場という厳しい環境の中で生き残っていくために成長し続けることが求められています。

よって、その会社の中にいる社員も、成長(=時間当たり生産性を高めること)を求められるのは当然です。

したがって、上司は、限られた時間の中で目標を達成するということを部下に求めなければならず、そこで有効な方法が、残業を申請制にし、「時間を制限されている」という意識を部下に持たせることです。

くれぐれも、みなし残業制だからといって、労働時間の管理を怠ってはいけません。

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