「多様性の尊重」や「自分らしさの追求」が現代社会の大きなテーマになりつつあるなか、1on1ミーティングを定期的に開催することでこれらを推進しようとする企業が増えています。ただ、そのやり方を間違えると期待していた効果は得られません。本記事では、1on1ミーティングで気を付けるべきポイントについてお伝えします。
目次
1on1ミーティングがうまくいかない理由
1on1ミーティングを実践している企業の経営者に質問です。
「1on1ミーティングはどうしても必要でしょうか」
この問いに迷わず答えられる人は意外と少ないでしょう。皆さんの頭のなかには、1on1ミーティングが効果を発揮しているケースとそうでないケースの両方が思い浮かんでいるのではないかと推察します。
競合他社がひしめくなか、売り上げの拡大や利益の確保を追求するには、社員一人ひとりが継続して主体性を発揮していくことが求められます。社員が決められたことを決められた通りにこなすだけでは、企業は生き残れないからです。
だからといって、各社員のやりたいことや興味があることを引き出し、それを事業の発展へつなげていこうとして1on1ミーティングを実践していないでしょうか。こういう考えの経営者からは、「折角貴重な時間を捻出して1on1ミーティングを開催したのに、まったく意味がなかった」という不満の声が聞こえてきます。
人にはそれぞれ独自の価値観があり、やりたいことや生き甲斐も人によって異なります。社員一人ひとりのやりたいことが、会社が目指す未来と同じ方向にあるとは限りません。
にもかかわらず、1on1ミーティングに固執し、ただでさえ目先の業務に忙殺されているなか、各メンバーと話す時間を設けることに苦労しているリーダーは非常に多くいます。1on1ミーティングの開催自体が目的化されてしまっている場合すらあるほどです。
メンバーの主体性を引き出すには
メンバーの主体性を引き出すにはどうしたらよいでしょうか。
まずは、上司がメンバーに期待する業務を明確にすることが肝心です。これを誤解してしまっているメンバーは、自分なりによかれと思って仕事をします。メンバー自身が掲げたテーマや目標を達成したとしても、上司からの評価は、メンバーが当初期待していたものと異なるケースが多いのが現実です。
働き振りに対するメンバーの自己評価と実際に下される上司の評価が一致しないとき、メンバーは主体性を発揮するメリットを享受できません。だからこそ、両者の間に認識の齟齬があってはならないのです。
そのためには、「いつまでに」という期限と、その期限時にどのようになっていればよいのかという「ゴール状態」をはっきりさせることが必須となります。そして、メンバーに期待する業務が終了した時点で必ず評価を行いましょう。自分の働きに対する自己評価と実際に下される上司の評価が合致すれば、メンバーは主体性を発揮することにメリットを感じるようになります。
正しい1on1ミーティングとは
上司が期待することと、それに対するメンバーの認識が100%合致しているのであれば、各メンバーに自らの業務の進捗を報告させたり、遅れが生じているときにはどうすれば遅れを挽回できるか考えさせたりする場として1on1ミーティングを活用してください。正しい1on1ミーティングの回数をこなしていくことで、一人ひとりの目標達成確率も上がっていきます。
メンバーは上司が明確に定義した役割を果たすことで成長を感じられるようになり、自身のやりがいを上司の求める仕事の延長線上に見出すことができるようになります。本記事の内容が、満足な1on1ミーティングを開催できていないと悩む方にとって役に立てば幸いです。