米国における2022年最大のイベントといえば、11月8日に行われる中間選挙でしょう。
中間選挙は、2022年11月8日(火曜)に実施され、下院の全435議席、上院は3分の1の34議席が改選されることになります。
バイデン氏が大統領になってから2年が経過した時点で行われる米国中間選挙は、バイデン政権がこれまでに行ってきた政策への信任投票の側面もあります。
選挙結果によってバイデン政権の今後の政策方針、そして日本への影響も避けられません。
この記事では、そんな米国中間選挙について、日本経済にもたらす影響までわかりやすく解説していきます。
目次
そもそも:アメリカ中間選挙とは?
アメリカでは大統領選挙が4年ごとに行われますが、その大統領選から2年後に行われる、国・地方の統一選挙のことを「中間選挙」と言います。
大統領選の間の「中間年」に実施される、と考えると覚えやすいでしょう。
アメリカ大統領選挙は世界中で大きく報道され、非常に注目度の高いイベントですが、中間選挙の結果もまた、大統領選挙と同じように国の方向性に大きな影響を与えるものです。
アメリカ中間選挙では、連邦議会(日本の国会にあたる)の上院(任期6年、定数100)の約3分の1に当たる34議席と下院(任期2年、定数435)の全議席が争われます。
米国連邦議会は二院制を採用しており、上院は州の代表で、住民による直接選挙によって全米の50州から2名ずつ選ばれます。
下院は、それぞれの州の人口比によって割り当てられた議席が決められています。
2022年2月現在、民主党が上院で同党系無所属2議席を含む50議席、下院で221議席を持っており、わずかな差で主導権を握っています。
しかし、中間選挙は与党(現在は民主党)にとって厳しい結果となることが多く、実際にトランプ前政権の共和党は18年、下院の過半数を失っています。
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2022年は11月8日に中間選挙が行われる
アメリカ中間選挙は、11月第1月曜の翌火曜に実施する決まりとなっていて、2022年は11月8日に実施される予定となっています。
この中間選挙において連邦下院は435議席全てが改選されます。
上院議員は、期間をずらしてそれぞれ6年の任期を務めるため、総議席数である100議席の3分の1(または3分の1プラス1議席)が改選されます。
もし、上院議員が任期中に死亡したり、執務不能になったりしたときは、奇数年または次の偶数年に特別な選挙が実施され、議員が補充されるのが基本ですが、該当の州知事が補充する議員を指名する場合もあります。
新たに選出された上院議員は元の議員の任期終了まで務めるのが一般的です。
バイデン氏の支持率の推移
バイデン氏は2019年の大統領選挙で過去最多の得票で当選し、2019年1月に大統領に就任。
以来、新型コロナワクチンの普及や巨額のインフラ投資法案の成立を実現させたほか、外交では国際協調主義を掲げてトランプ前政権の「アメリカ第一主義」からの転換を図り、多くの国から歓迎されてきました。
しかし、2022年2月現在はその支持率は下降しています。ここでは、バイデン氏の支持率の推移についてわかりやすく解説していきます。
就任時の支持率は50%超
バイデン氏は大統領就任後、57%の高い支持率をしばらく維持していました。
しかし、就任から半年ほど経過した夏以降、支持率は下降し40%台となっています。
過去最多の得票で当選したバイデン氏ですが、この57%という支持率は決して高いものではありません。
過去のデータから見ると、第2次大戦後の歴代大統領の1期目の支持率平均は60%。それを下回っています。トランプ前大統領に次いで「不支持率の高い大統領」だったのです。
この支持率の低さの主な原因は、米国の分断にあります。民主党支持層は98%がバイデン氏を支持したものの、共和党支持層では11%に留まりました。
87ポイントという党派間の支持の差は、就任後初の調査としては過去最大のものです。このように、バイデン氏の就任時の船出は決して順調と言えるものではありませんでした。
2021年8月時点で支持率は50%を切り、不支持が支持を上回る
2021年8月になると、バイデン氏への支持率は46%となり、1月に大統領に就任して以降、最低の記録となりました。
アフガニスタンからの米軍撤退が要因とされており、拙速な米軍撤退による力の空白を突かれ、想定外の早さでタリバンによる首都制圧を許したと批判されています。
2021年11月には支持率43.1%と低迷
これまで平均50%台で推移してきたバイデン氏の支持率は2021年8月下旬に初めて不支持が支持を上回り、2021年11月時点では43.1%と、就任後最低の水準に落ち込みました。
先述したアフガニスタンからの米軍撤退、足元の与党・民主党内の対立で、大型の歳出法案の成立が難航していることなどが原因として挙げられます。
2022年1月には支持率40%とさらに低迷
バイデン氏が大統領に就任してから、ちょうど1年となる2022年1月には、さらに支持率は低下して、40%程度を推移しています。
支持率が低迷している要因の一つとして、過去最悪の水準となっている新型コロナウイルスの感染状況があるとみられています。
バイデン氏は、国民に対してワクチン接種を繰り返し呼びかけ続けていますが、ワクチンの接種を完了した人の割合は全人口の60%余りに留まっています。
一方、国内経済も順調とは言えません。
2021年12月の消費者物価指数が前の年の同じ月と比べて7.0%も上昇し、およそ39年ぶりの記録的な水準となるなど、物価の高騰が続き、市民生活を直撃しています。
さらに、看板政策の一つとして育児支援や気候変動対策などを盛り込んだ大型歳出法案の成立を目指しているものの、身内である民主党の一部議員の反対で成立のめどが立たない状態となっています。
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なぜバイデン氏の支持率は低迷しているのか?
上で説明したように、バイデン氏の支持率は就任後徐々に低下し、40%台にまで低迷しています。ここからは、バイデン氏の支持率低迷の要因を探っていきます。
インフレ率は過去30年最悪、6.2%
米国の消費者物価指数は2021年春から上昇し、4月以降は4%を超え、10月には6.2%と過去30年で最悪の水準となっています。
インフレの主な原因は、コロナ禍からの経済回復による需要急増と人手不足、物流の停滞などです。
バイデン氏は、インフレを米経済がコロナ禍から回復する過程で生じたサプライチェーンの問題と結びつけ、「インフレの理由は深刻なサプライチェーンの問題であり、それが著しい物価上昇を引き起こしている」と説明しています。
2022年の1月には物価高の一因となっているサプライチェーン(供給網)対策などを打ち出すなど、国民感情に配慮した取り組みを行っています。
しかし国民の間には「自分たちにとって一番重要な課題に十分取り組んでいない」という思いが強まっています。
こうした事情もあって、今後行われる中間選挙では、インフレ抑制などの経済問題が最大の争点になる見通しで、インフレの原因や対応を巡る論争が過熱することが予想されます。
アフガニスタン撤退も原因の一つ
米国は、2001年9月に発生した同時多発テロ事件を受けて2001年10月にアフガニスタンに侵攻を開始しました。
以来、20年にわたってアフガニスタンに軍を駐留させてきた経緯があります。
バイデン氏は2021年4月14日、トランプ前政権が2020年2月にタリバンと交わした米軍の完全撤退を含む和平合意に基づき、アフガニスタンからの最終的な米軍撤退を2021年5月1日から開始し、9月11日までに完了することを明言し、実際にこれを実行しました。
バイデン氏は、アフガニスタンから撤退したあとに行われた演説のなかで、「アフガニスタンでの戦争は今、終わった」と述べ、米同時多発テロをきっかけに始まった20年間の「米史上最長の戦争」の終結を高らかに宣言。
この演説のなかで、批判の多かったアフガニスタン撤退を正当化し、今後は中国との競争をはじめとする新たな脅威や挑戦に対応するために、米国の競争力を高める必要があると訴えました。
米国民の大半は米軍のアフガニスタン撤退を支持しているものの、バイデン氏による撤退の進め方については民主党支持者ですら過半数が支持しがたいと評価されています。
撤退そのものへの反発と言うよりも、イスラム主義勢力タリバンの復権や同盟国との連携不足など、「外交手腕を売り物にしたバイデン氏ならもっとうまく出来たはずだ」という期待外れな不手際に批判が集まっています。
米軍がアフガニスタンから撤退を進める間、それまで盤石だったバイデンの支持率は各世論調査で軒並み低下し、支持率が50%を下回るようになりました。
南部国境問題にも批判が集まる
ハイチでは、大統領が暗殺されるなどの政情不安や震災で混乱が続いていました。
メキシコと国境を接する米国テキサス州デルリオには、2021年9月中旬から国境の川を渡るなどして、正規の手続きを経ずに米国に入国する人が急増。
その結果、難民認定を希望し、1万人以上が米国とメキシコを結ぶ橋の下で暮らすようになりました。
国境警備隊がこうした人々を追い返す映像が拡散されたことで問題が拡大し、バイデン政権は送還手続きを進めましたが、「国際規範に反する」「移民に冷淡だったトランプ政権と同じ」などの批判にさらされています。
もともとバイデン氏は、当初から移民に対して寛容な姿勢をみせていました。
強制送還される移民申請者の割合もトランプ前政権に比べて大幅に減少し、2021年5月にはハイチ人に一時的保護を与える政策を発表するなど難民を積極的に受け入れる姿勢だったにも関わらず、実際には難民を強制送還。
そうした非人道的な扱いに、バイデン政権の身内である民主党幹部からも強い批判の声が上がります。
さらに「タイトル42」(新型コロナウイルス感染防止のための公衆衛生法に基づくトランプが定めた大統領令)は違法であるとの訴訟も起こされ、ハイチ問題担当の大統領特使が抗議の辞任をするまでに至りました。
バイデン政権は、こうした措置を公衆衛生上の措置としての強制送還を正当化するとともに、正規の手続きに従う移民申請には前向きに対応する方針だと説明しています。
しかし従来の共和党からの移民政策緩和批判に加えて、逆に民主党内リベラル派からは不十分だとの批判が高まり、コロナ対策やアフガニスタン問題と並んで、支持率低下の大きな要因となりました。
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バイデン氏の支持率低迷は異常ではない理由
このように、バイデン氏の支持率低迷は、決して理由がないものではありません。多くの出来事に対するバイデン氏の意思決定が国民の反感を買っているというのは事実です。
以下では、バイデン氏の支持率低迷が異常でない理由を明らかとしていきましょう。
同時期の支持率のワースト1位はトランプ氏
世論調査会社であるギャラップ社の調査によるバイデン政権の支持率43%という結果は、近代以降の大統領の1年目としては史上2番目に低い結果です。
ちなみに、ワースト1の記録を持つのは前任者のドナルド・トランプ前大統領でした。民主党は、支持率の低迷がこの秋の中間選挙(下院の全議席と上院の34議席が改選される)に与える影響を大いに懸念しています。
つまり、最近の大統領はバイデン氏も含め1年目からみな支持率が高いわけではなかったのです。
バイデン氏の支持率は低迷していると言えるものの、もともと特段に高いわけではありませんでした。したがって、現在の支持率低迷は決して異常なことではないのです。
コロナウイルスという不可避の環境要因もある
バイデン氏の支持率低迷の要因はそれだけに留まりません。バイデン政権は、この1年、検査とワクチン接種を推進してきました。
しかし、新型コロナウイルスはいまだ猛威を振るう状態が続いています。
米国においてオミクロン株はピークアウトしたと言われているものの、死者数は累積で82万7000人を超え、死亡率はG7諸国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、カナダ、アメリカ)の中で最も高い水準です。
公的機関はもちろん民間企業でもさまざまな場面でワクチン接種が要求され、メディアも接種を強く呼びかけているものの、接種が完了した国民は65.3%に留まるなど、まだまだワクチンの普及も進んでいません。
こうした状況のなかでは支持率低迷もある程度仕方ないのかもしれません。
与党が中間選挙で議席を減らす傾向が昔からある
中間選挙は、バイデン氏が大統領に就任してから2年が経過し、大統領と与党の政策への国民の不満が出てきやすい時期に開催されます。
それまでの政権運営が評価される「信任投票」の側面を持っているため、過去の中間選挙の結果をみても、大統領が所属する与党が議席を減らす傾向があります。
2000年以降の中間選挙で上下両院とも与党が議席を増やしたのは、共和党のブッシュ(子)大統領の1期目の任期中に実施された2002年だけとなっているなど、与党にとって厳しい状況となるのが大方の予想です。
与党が議席数を大きく減らすと、大統領は議会で法律を通して重要な施策を進めることが難しくなり、その後の政権運営が困難となります。
アメリカ中間選挙で負けたらどうなる?バイデン氏が避けたい事態
中間選挙で負けると、バイデン政権は次の大統領選挙までもうこれ以上何も打つ手がなくなってしまいます。
なぜ任期中にも関わらず、バイデン政権にできることがなくなってしまうのでしょうか。
以下では、アメリカ中間選挙でバイデン氏が負けたらどうなるのかについて解説していきます。
下院で過半数を割るねじれ構造
アメリカ中間選挙では下院が総入れ替えになる一方、上院は3分の1が入れ替わります。
まず、下院で過半数を維持できなければ、議会がねじれ構造になり法案が通りにくくなります。
その結果、法案がほとんど通らず必要な政策を打てない、あるいは「質の低い政策」を講じるしか打つ手がなくなってしまうのです。
100票のうち60票が取られることで起きるフィリバスター
フィリバスターによる議会の停滞も、中間選挙でバイデン政権が負けると生じかねない重大な問題です。
フィリバスターとは、上院規則19条で、「いかなる上院議員も、他の議員の討論を、その議員の同意無しには中断させることができない」と定められ、原則的に議員の発言時間が無制限となっていることを利用します。
さらに、長時間にわたり討論を続けることで議事進行を意図的に遅延させる行為です。
上院の法案審議は議会期を越えて行うことができないため、フィリバスターを活用し、議会期終了まで審議を引き延ばせば、法案を廃案に追い込むことが可能となります。
上院の議員100人のうち60人以上の賛成があれば、討論を終了させて採決に持ち込むことができるものの、現在、与党民主党は上院でかろうじて過半数を握っているにすぎないため、60人以上を確保できなくなれば、バイデン政権は法案を通せなくなってしまいます。
アメリカ中間選挙の今後の行方
それでは、アメリカ中間選挙は今後どうなっていくのでしょうか?2022年2月現在、選挙賭博市場のサイトでは、現野党である共和党の勝利予想が圧倒的に優勢だとしています。
メディアや選挙の専門家の多くも同様の予想をするなど、バイデン氏にとっては厳しい戦いが予想されています。
すでに説明したように、アフガニスタン問題や新型コロナウイルスへの対応を受けてバイデン大統領の支持率は急落し、2021年末時点の支持率は約43%となるなど、厳しい状況が続いています。
ウクライナ問題への対応次第では、さらにバイデン氏の支持率は下がりかねない状態です。
ロシアのウクライナ侵攻は国際秩序を大きく変え得る問題であるだけに、バイデン氏にとっては、米国が指導力を発揮して外交的解決に至りたいシーンです。
長く上院外交委員長を務め、外交面での経験豊かなバイデン氏ですから、ウクライナ問題の外交的解決は大統領支持率を上げ得る要因となりうるでしょう。
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アメリカ中間選挙でバイデン氏が勝つための条件
アメリカ中間選挙において、バイデン氏は厳しい状況に立たされるという予想が多いものの、どうすればバイデン氏の所属する民主党が勝てると考えられるでしょうか。
以下では、バイデン氏が勝利するために必須の条件について考えていきます。
わかりやすい実績を国民に伝える
バイデン政権は、新型コロナウイルス対応は保守層の反発を招き、コロナ禍による供給制約やエネルギー高騰が招いたインフレは中間所得層の不満につながるなどで、支持率低下となりました。
バイデン政権の目玉であった子育て支援や気候変動対策を盛った歳出・歳入法案も、財政規模が10年間で1.75兆ドル(約200兆円)と当初案から半減し、民主党支持者らが失望したのも要因の一つでしょう。
しかし、バイデン政権も何もしてこなかったわけではありません。努力の割に有権者の評価が低いのは、政策の優先順位を誤っている上、成果のアピールが下手だからとも言えます。
今は、気候変動対策や民主主義サミットといった全世界の問題を考えるよりも、アメリカの問題に集中すべきです。
一つ一つのアメリカの問題に取り組んで実績を残し、その実績をわかりやすく国民に伝えていけば、支持率の上昇も期待できるでしょう。
支持されている投資計画を進める
バイデン政権が2021年に発表した道路や橋、ブロードバンドなどの整備に充てる1兆ドル規模のインフラ投資計画は、多くの国民が支持しています。
また、幼児教育や高齢者のメディケア拡充を盛り込んだ2兆ドルの投資計画に関しても同様です。
今回のインフラ投資計画は、いわばポストコロナの経済対策であり、経済構造の転換を促すよりも長期の視点に基づく施策となっています。
こうした投資計画を着実に進めて実績を残していくことが、バイデン政権が勝利するためには必要でしょう。
課題の優先度を見直す
バイデン政権は、最優先課題として、コロナ禍の克服、インフレの抑制、投票する権利の保護、気候変動対策、国際社会におけるアメリカの地位回復の5つを掲げています。
しかし、これらの課題に対して同時に取り組んでも、その成果が同時にあらわれるわけではありません。
むしろ、課題の優先度を見直して、バイデン政権にとって取り組むべき課題に優先順位をつけた方が、国民にはやっていることがわかりやすくなるでしょう。
中間選挙が日本経済にもたらす影響
米国中間選挙は当然アメリカの問題ではあるものの、その結果は世界中に影響を与えます。
もちろん、日本も例外ではありません。それでは、米国中間選挙は日本に対してどのような影響を及ぼすのでしょうか。
以下では、この点について説明していきます。
アメリカの金融政策の変更で株式市場が揺れる
米国中間選挙の結果次第で、バイデン政権のインフレ対策は大きく変動すると考えられます。
新型コロナウイルス追加経済対策法案の成立目途がまだ立たない中にもかかわらず、バイデン政権は相当規模の次の経済政策を打ち出す準備を進めていると言われています。
バイデン政権は人種間の経済格差の是正を最重要課題の一つにあげており、新型コロナウイルスからの経済回復の恩恵がマイノリティー層へ十分に行き届いていないと判断しています。
こうした事情から、中間選挙の前後で、米国の金融政策は大きく変更される可能性があり、そのために株式市場も混乱することが予想されます。
そうした動きは、当然日本の株式市場にも影響を与えるでしょう。
金融緩和政策には注視が必要
アメリカの金融政策の指揮を執る連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は2022年1月下旬、インフレ加速を抑制するため金利の引き上げを3月に開始する方針を発表しています。
この方針に連動し、日経平均株価は一時900円以上も急落するなど、方針表明だけで大きな影響があるとわかります。
今後、FRBが本格的に金融引き締めを加速させた場合、日本経済に大きな影響が出るのは明らかです。
RBによる急ピッチの利上げは、米国景気の腰折れやグローバル金融市場の不安定化に結び付くリスクが高く、その影響は日本にも及ぶでしょう。
そのため、米国の金融政策の動向を注視する必要があります。
貿易に影響をきたす可能性が大いにある。
2022年、中間選挙に向けてバイデン政権にとって重要性が高いと考えられるのは、上昇基調を強めるインフレへの対応であると考えられます。
米国経済は総じて底堅く推移しているものの、生計費の急速な上昇で家計のセンチメントの停滞感が強まっており、これが支持率を一段と低下させています。
インフレの抑制に関して政権としてできることは限られており、バイデン政権はこれまでも原油の国家備蓄の放出や、サプライチェーンの混乱への対応策などを打ち出してきました。
しかし、今のところこれらの施策はインフレ抑制に十分な効果を上げられてはいません。
したがって、バイデン政権はFRBとの連携を一層強化していくことになるでしょう。その結果、利上げが行われれば、日本は相対的に円安にふれることになります。
円安は輸出をしている企業にとっては有利に働きます。したがって、日本の貿易は好調となる可能性が高いと言えるでしょう。
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まとめ
2022 年米国中間選挙は予備選挙が3月から9月の間に行われ、本選挙は 11 月に予定されています。
今後展開されてゆく中間選挙をめぐる闘いは、2年後の2024年大統領選挙を占う上で重要なキーポイントを多く含んでいるので、きちんと理解しておかなければなりません。
中間選挙は大統領が所属する与党に不利というのが定説となっており、大統領にとって、いわば鬼門です。
中間選挙で難しい立場におかれる可能性が高いバイデン政権は、中間選挙の前に国民にとってわかり易い成果をあげて支持率を上げるような施策を打つことが予想されます。
また、中間選挙後は、金融引き締めのための金利上昇による影響で日本は円安にふれる可能性が高いです。そうなれば、貿易を行っている企業にとっては有利になると予想されます。
このように日本経済にも大きく影響するトピックなので、しっかり理解し、注目して置くべきでしょう。
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