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文鎮型組織とは?メリットやデメリット、機能しない文鎮型組織の危険性を解説

文鎮型組織とは?メリットやデメリット、機能しない文鎮型組織の危険性を解説

突然ですが、このようなことを感じてはいませんか?

  • 「文鎮型組織とはどのような組織形態なんだろう?」
  • 「文鎮型組織がうまく機能しないのはどうしてだろう?」

文鎮型組織はきちんと組織化されていれば、うまく機能しますが、そうでなければ「隠れ文鎮型組織」となる危険性があります。

また、仮に組織図ではピラミッド型組織にしていたとしても、実態としては文鎮型組織になっている企業も少なくありません。

本記事では、文鎮型組織について基本的な知識から、メリットやデメリット、隠れ文鎮型組織から脱出する方法を解説していきます。

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文鎮型組織とは

文鎮型組織とは、経営者は組織のトップとして置かれ、それ以外の従業員は同じ立場になる組織形態で、従来の主流な組織形態のピラミッド型組織とは対照的な構造です。組織図で示したときに、横長の組織図に組織の経営者だけが出っ張っているため、文鎮のように見えることから「文鎮型組織」と呼ばれます。

一般的には、ピラミッド型組織からフラット型組織を目指して組織改革をした組織を指していますが、実際にビジネスの場で用いられる際は別の意味合いがあります。実態としては、従業員数が20人から100人前後の、規模があまり大きくない企業において、ピラミッド型組織として組織化できていない中途半端な組織形態を指していることもあるのです。

しっかりと組織化された文鎮型組織であればメリットもありますが、組織化されていない場合は問題の多い組織形態となってしまいます。中小企業の経営者のなかには、自社が組織化されていない文鎮型組織であることを自覚していながら組織形態に悩んでいる人も少なくありません。

組織化された文鎮型組織(フラット型組織)

一方で、創業して間もないスタートアップや、従業員数が少ない中小企業であれば、組織化された文鎮型組織のメリットを享受できます。

例えば、下記のような良い点があります。

  • 経営者と従業員の距離が近く意思決定スピードが速い
  • 経営者に情報が集まりやすく、組織全体を俯瞰して経営できる

創業して間もない企業であれば、このようなメリットは大変貴重です。また、創業期の企業には、やる気がありモチベーションが高い従業員が多く、自立的に意思決定して動ける人材が確保できます。

これにより、「経営者による強力なリーダーシップ」「従業員の自立的な行動」のどちらも実現できます。

「指示待ち人間」が生まれやすい文鎮型組織

このように、組織化された文鎮型組織であれば、メリットが多く効果的な企業経営が可能になりますが、一方で必ずしもよい組織形態とはなりえないのが文鎮型組織です。

モチベーションが高く仕事を自分ごと化し、主体性を持って仕事に取り組める自立的な従業員ばかりであれば上記のような良い文鎮型組織となるでしょう。

しかし、実際にはそのような人材ばかりではありません。文鎮型組織では経営者が強力なリーダーシップを発揮する必要があるため、その結果、主体性のない従業員は命令に従うだけの存在になるでしょう。

したがって、文鎮型組織は「指示待ち人間」が生まれやすい組織形態とも言えます。強力なリーダーシップで従業員を先導できる経営者であれば、主体的な従業員が少ない場合でも成り立ちますが、現場では誰がどのような責任を負っているのかは明確にしておくことが求められます。

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日本企業に文鎮型組織が増えた背景

日本では1990年代に直面した景気の低迷により、組織改革をしてフラット型組織にする日本企業が続出しました。

この組織改革の狙いは、組織内のコミュニケーションの活発化や、意思決定や情報共有の迅速化をすることで、環境の変化に適切に対応することです。ピラミッド型組織ではいくつものマネジメント層が存在し、情報共有や経営者が発信することが伝わらなかったり、内容が変質するため、そういったデメリットを低減することこそが目的だったのです。

しかし実際は、文鎮型組織が機能するために必要な下記のような施策を怠っていたため、組織化されていないカタチだけの組織改革となってしまったのです。

  • 一人ひとりの従業員に対して適切な権限の委譲
  • 従業員の自主性や自立性、積極的な行動の促進
  • 自発的な従業員を受容する社風の醸成

これにより、ピラミッド型組織だったときにいくつも存在した中間管理職が担当していた仕事が、一気に少数の上位管理職に降り掛かってきたため、目的とした組織運営ができなかった企業も多く存在しました。

文鎮型組織からピラミッド型組織へ組織改革をする方法

自ら会社を起こして大きな企業へと拡大できるような企業は、創業メンバーや創業期の従業員に対して、将来的に幹部を任せるために、経営に関わる判断ができるような経験を積ませていきます。

そうして文鎮型組織から徐々にピラミッド型組織へとするために、組織のなかに階層を増やしていき、育成した従業員を幹部として仕事を任せて同時に権限を委譲します。

幹部となった従業員も、同じように部下のなかから幹部となりそうな人材を見つけ、幹部として必要な経験を積ませていくのです。

このような連鎖を何度も続けることで、組織化された健全なピラミッド型組織へとなっていきます。

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「隠れ文鎮型組織」の危険性

上記のように、企業規模が大きくなるにつれてピラミッド型組織へと組織改革をすることで、企業の成長を促進できます。

しかし「ウチはピラミッド型組織になってるから大丈夫だよ」と感じる方もいるかもしれません。そのような方に注意していただきたいのが「隠れ文鎮型組織」です。

隠れ文鎮型組織は、組織図においてはピラミッド型組織となっているが、実態としては文鎮型組織になってしまっている組織を指しています。つまり、組織図上のピラミッドを無視して、経営者が直接的に動かしている企業のことです。

このような隠れ文鎮型組織は、優秀な経営者がワンマン経営をしているファミリー企業によく見られます。

隠れ文鎮型組織としての経営が長引くと問題が生じるため、早期に対策をしておくべきでしょう。例えば、経営者からの指示を待つ従業員が増え、次期社長や将来的に会社を背負っていく人材の育成が難しくなることが挙げられます。

また、経営者に全てが集約されるため、経営者にとっての限界が、組織の限界と同義になってしまうのです。したがって、組織が成長しても限界がすぐにきてしまうでしょう。

さらに、管理者の部下を育てる意識が薄くなり、技術やノウハウが部下に引き継がれなくなってしまいます。

このような問題は長い目で見ると非常に重く、放っておくと組織としての寿命が短くなりかねません。しかし、どうしても緊急性が高い問題でもないため、後回しにされがちという点も、隠れ文鎮型組織の問題と言えます。

隠れ文鎮型組織になってしまう理由とは

隠れ文鎮型組織になってしまう理由は、経営者にあります。

しかし、創業期においては避けられない現象であるとも言えるでしょう。

なぜなら創業して間もない頃は、経営者が従業員の誰よりも長い時間働くことが多く、新入社員に任せるよりも自分がしたほうがすぐに終わる業務も多いので、経営者が新入社員の仕事までしてしまうからです。

このような状態であれば、従業員が経営者の指示を待つだけの「指示待ち人間」になることも仕方ありません。しかし、このまま企業が成長し従業員が増えても、結局は経営者が全てを決める、隠れ文鎮型組織のままとなってしまうのです。

隠れ文鎮型組織を脱出するには?

先代から会社を引き継いで、新しい社長として組織改革をするために、隠れ文鎮型組織から脱出しようと取り組む企業も多く見られます。

経営者が変わることで、能力や立場などにおいて従業員との距離が近くなることを利用して、従業員との関係性を変えていきます。そして、少しずつ組織の仕組みや社風を整えていき、最終的には従業員が自主的に動ける組織へと変えていくのです。

しかし、文鎮型組織として経営してきた組織が、急に転換する場合はどこから手を付けるべきなのでしょうか?

答えは「従業員の主体性を引き出すこと」です。従業員の主体性を引き出すには、まずは信じて仕事を任せることが重要になります。マニュアルなどに従って杓子定規な育成をするよりも、まずは信頼を寄せることが重要です。

そして、従業員自身に「自分で考え、動いて、仕事の責任を持つ」という経験をさせることで、主体性を発揮できるように育成していきます。

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文鎮型組織のメリット

ここまで、隠れ文鎮型組織の問題点を多く見てきましたが、きちんと組織化された文鎮型組織であれば、数多くのメリットを享受できます。

その最も大きなメリットは、やはり経営スピードの向上です。

文鎮型組織では組織のトップが全てを決められるため、迅速な意思決定が可能になります。さらに、意思決定だけではなく、その後に実行に移すスピードも速いため、成果があがるのも早くなります。

環境の変化が激しい現代において、企業は柔軟な対応力が求められますが、その実現には迅速な意思決定と行動が必要不可欠です。しかし一方で、大企業は多くがピラミッド型組織を採用しているため、その弊害として前例主義に陥ることが多く、なにか一つ意思決定をするにも多くの時間を必要とします。

組織化された文鎮型組織であれば、大企業が動く前にこちらが先に行動できるため、先手を打つことができるのです。

上下関係がなくなることで生じるメリット

文鎮型組織では意思決定が速くなることが大きなメリットですが、それ以外にもメリットがあります。それは、中間管理職がいなくなるか、簡素化されることで複雑な上下関係がなくなるという文鎮型組織の特徴によるものです。

まず1つ目は、経営者と従業員との距離が縮まることで、コミュニケーションや議論が活発化することです。これにより、従業員が持っている新しいアイデアや考えを事業や組織運営に取り入れやすくなるため、組織として成長できるでしょう。

2つ目のメリットは、複雑な上下関係がなくなり、従業員のストレス低減につながることです。また、管理職によってマネジメントスキルのレベルが異なることに対する懸念もなくなります。

そして3つ目のメリットは、マネジメント層がいなくなることで権限が従業員自身に委譲されると同時に、従業員が責任感を持って自立的に仕事に取り組むようになることです。

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文鎮型組織のデメリット

上記で見たように、文鎮型組織では多くのメリットがあります。

しかし、しっかりと組織化された文鎮型組織だとしても、デメリットがあることを忘れてはいけません。

文鎮型組織のデメリットが下記の3つです。

  • マネジメント層の育成ができない
  • 管理者がいないため従業員の負担が増える
  • 従業員が組織のトップの決定に振り回される

それでは1つずつ解説していきます。

マネジメント層の育成ができない

文鎮型組織では、組織のトップが発したことを部下に伝えるだけが役割の中間管理職が簡素化されます。そして従業員は管理職へのステップアップを目指すのではなく、現場のプレーヤーとして業務に専念しなければなりません。

その結果、文鎮型組織では、部下の指導やマネジメントをする経験を積むことができず、マネジメント層の育成が難しくなるというデメリットが生じます。

このまま組織が大きくなると、部下をマネジメントしたことがない従業員が上司となり、その上司が新入社員を指導しなければなりません。このような上司のマネジメントがうまくいく可能性は低く、管理職の負担が増してしまいます。

管理者がいないため従業員の負担が増える

文鎮型組織では中間管理職がいないことでメリットにつながりますが、一方でデメリットにもなります。それは、従業員が業務上でトラブルに巻き込まれた際に、自分一人で処理しなければならない点です。

この結果、従業員にかかるストレスや負担が増してしまいます。

また、従業員はマネジメントされなくなるため、組織は従業員がどのような業務をしているのか把握しきれなくなり、内密の情報が外に漏れる危険性が高まるでしょう。

従業員が組織のトップの決定に振り回される

文鎮型組織の良い点は、意思決定が速いことです。しかし、意思決定が速いがゆえに一度決めたことがすぐに覆えされてしまうこともあります。

この結果、従業員は経営者の決定に振り回されることになり、ストレスを抱えるようになるでしょう。

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まとめ

ここまで、文鎮型組織のついてメリットやデメリットを見てきました。

しっかりと組織化さえできれば、文鎮型組織にも多くのメリットがあり、効果的な運営ができるでしょう。しかし、文鎮型組織に必要な施策を怠ったまま、文鎮型組織に変えようとしてもうまく機能しないどころか、問題ばかりの組織になってしまいます。

また、どのような組織形態を導入するにしても、必要な準備をしなければカタチだけの組織改革となるため、気をつけなければなりません。

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