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機能別組織とは?メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説

機能別組織とは?メリットやデメリット、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説

会社を経営していくうえで、どのような組織形態にしていくかは慎重に決めなければなりません。注目されている組織形態を採用したからといって、絶対に成果があがるという保証はなく、一歩間違えばさらに悪化してしまう可能性だってあります。

しかし、自社に最適な組織形態を選ぶことができれば、その効果は表れるでしょう。

本記事では、「機能別(職能別)組織」について、基本的な知識からメリットとデメリット、そして他の組織形態との違いを解説していきます。

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機能別(職能別)組織とは

「機能別組織」とは、組織形態の種類の1つで、「マーケティング」や「営業」といった、事業運営に必要な機能や職能ごとに部署をつくって編成した組織です。中小企業で多く採用されており、「職能別組織」とも呼ばれます。

事業運営に必要な機能には下記のようなものがあります。

  • 営業
  • 購買
  • 人事
  • 製造
  • 財務
  • 経理
  • 生産
  • 研究開発

これらが「経理部」や「人事部」といったように独立し、部門として組織が構成されていくのが機能別組織です。

同じ専門性をもった人材が集まるため、専門的なスキルやノウハウが蓄積されやすいことが特徴です。しかし一方で、事業に関わる責任の所在が曖昧になるという欠点もあります。

機能別組織にするべき企業とは

機能別組織が向いている企業は、扱うサービスや製品が少なく、多角的な経営をしていない企業です。また、専門性を持った人材の育成を目指す企業も向いているでしょう。

つまり、組織の成長時期でいえば、創業して間もない頃か発展している途中の組織に最適な構造です。しかし、組織が成長し規模が大きくなり、運営する事業や地域が増えてきた場合は、部署間の調整が難しくなり、機能別組織だけでの運営は非効率となっていきます。

その際は、別の組織形態も取り入れながら経営していくのが望ましいでしょう。実際、扱う事業が増えてきた場合に、事業部制組織という組織形態を取り入れるケースもあります。

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機能別組織における具体的な部署の業務とは

経理や開発といったように職能ごとにわけて部署がつくられる機能別組織ですが、具体的にどのような部署でどのような業務が行われるのでしょう?

ここでは、下記の3つの部署について見ていきましょう。

  • 総務部
  • 経理部
  • 開発部

それでは1つずつ解説していきます。

総務部

総務部は、組織に関わる事務業務全般を取り扱う部署です。具体的には、契約書や備品などの管理、受付業務、秘書業務などがそれにあたります。

つまり、総務部がする業務を簡単にいうと「他の部署はしないが、組織の運営には欠かせない業務」となります。幅広く多くの業務を行うため「組織のなんでも屋」と言われることもありますが、あながち間違ってはいません。

「なんでも屋」というと雑用係のようなイメージを思い浮かべるかもしれませんが、総務部がなければ組織はまともに運営できなくなるでしょう。いうなれば総務部は「縁の下の力持ち」といったところであり、それくらい総務部は重要な部署なのです。

経理部

どのような組織においても絶対に欠かせない要素は資金です。そして、組織でこの資金を扱うのが「経理部」です。つまり、経理部の業務を簡単に言うと「会社のお金を管理すること」となります。

具体的には下記のような業務を行います。

  • 税務申告
  • 資産管理
  • 現金の管理
  • 給与の計算
  • 決算書をつくる

「財務」は経理部とよく混同されがちで、実際に同じ部署として編成している組織もありますが、厳密には異なります。

両者の違いを簡単に言うと、既に使ったお金などを管理するのが経理で、これから使うお金などを管理するのが財務です。

開発部

開発部は主に組織で売り出す製品やシステムなどをつくる部署で、「研究開発部」と呼ばれることもあります。具体的な業務は、研究で得られたデータをもとに製品を開発することです。

開発部では、組織で設定した目標やクオリティを満たすモノを、決められた予算でつくることが求められます。

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機能別(職能別)組織にすることのメリット

機能別組織にすることで得られるメリットが下記の5つです。

  • 専門的なスキルを培うことができる
  • ノウハウや知識を積み重ねられる
  • 組織の方向性が安定する
  • 組織をコントロールしやすくなる
  • 経営資源のムダや重複が生じない

それでは1つずつ解説していきます。

専門的なスキルを培うことができる

まず、最も大きなメリットは、機能ごとに分けて組織を構成することで、同じスキルを持った人材を一つの部署に集めることができ、その中で専門スキルを高められることです。

同じ専門スキルがあるため、そこで情報や高度な知識の共有が行われ、さらなるスキルアップが望めます。部署の機能のレベルが上がることで、組織全体にもその効果が波及し、組織自体のレベルアップにも貢献するでしょう。

また、部署内では自分の専門性を生かした業務に集中できるため、効率的なスキルアップにつながる点もメリットです。さらに、各部署でそれぞれ必要な業務が被ることはほとんどないため、部署間で競争意識が芽生えることもなく、関係性が崩れる心配もありません。

ノウハウや知識を積み重ねられる

機能ごとに専門的な人材が集まっているため、機能ごとにノウハウや知識を積み重ねられることも機能別組織のメリットです。

また、組織において欠かせないのが、新入社員の教育です。その際に機能別組織であれば、知識や業務に関する情報が部署ごと集約されているため、効率的な人材教育を行えます。

組織の方向性が安定する

機能別組織において、何かを決める権利を持っているのは組織の経営者です。したがって、最終的な決定を下すのは経営者であり、部署ではありません。

これにより、組織の方向性が不安定になることが避けられ、安定的な組織運営が可能になります。各部署に権限を持たせるような組織の場合は、組織の方向性がブレる可能性があります。

しかし、機能別組織では部署に対してどのように経営していくか決めることができるのは経営者なので、統制のとれた経営ができるでしょう。

組織をコントロールしやすくなる

先程解説したように、機能別組織は会社の経営者に権力がある組織形態です。

これにより、組織の方向性が安定するだけでなく、組織をコントロールしやすくなるというもう一つのメリットが生じます。

経営者と部署間の意思疎通や情報共有が迅速になり、経営者は全体を俯瞰した経営が可能となるのです。

経営資源のムダや重複が生じない

事業部制組織という組織構造では、事業ごとに部署をつくるため、営業やマーケティングといった必要な機能も基本的にすべて部署内で持つことになります。

しかしその結果、事業部間で機能が重複することがあり、経営資源の無駄やコストの増大につながるというデメリットが生じるのです。

機能別組織の場合は機能の重複が生じないため、無駄のない効率的な経営ができます。

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機能別(職能別)組織で生じるデメリット

機能別組織で生じるデメリットが下記の4つです。

  • 問題が生じた時に責任の所在を突き止めにくい
  • 総合的な視点を持った人材が育成できない
  • 経営層の負担が大きい
  • 部署内の人間関係が悪化する

それでは1つずつ解説していきます。

問題が生じた時に責任の所在を突き止めにくい

経営者が決定権を持っているとしても、問題やトラブルの責任をすべて一人で負っていては経営がままなりません。したがって、部署に起因する問題が生じた際は、部署の人間が原因を解明したり、問題の解決にあたるべきです。

しかし、機能別組織においては、いくつかの部署が連携して進めるプロジェクトでトラブルや問題が生じるため、「責任者は誰か」や「誰のせいだ」といったように責任を回避しようとする動きがでることがあります。

したがって、なにか問題が起きた時に、責任が「誰にあるのか」「どこにあるのか」を突き止めにくいというデメリットが生じます。もし、皆が責任逃れをしようとしてるなかで、最終的に誰かが責任を負うことになったとしても、人間関係にしこりが残る結果となるでしょう。

このため、機能別組織では前もって責任の所在を明確にしておくことが重要になります。

総合的な視点を持った人材が育成できない

マーケティング部では、マーケティングに特化した人材を、営業部では営業に特化した人材を育てられます。このように機能別組織では、専門的なスキルやノウハウを持った専門性の高い人材を育てるにはもってこいの組織形態です。

しかし裏を返すと、そのような人材しか育成できないということにもなるため、これがそのままデメリットとなります。つまり、全体を俯瞰し、総合的な視点を持って業務を進められる、経営者的な視点を持った人材の育成ができないのです。

この結果、経営層や管理層が弱い組織となり、将来的に組織全体も弱くなっていく可能性が高くなります。

経営層の負担が大きい

経営者や社長が最終的に意思決定を下して運営していくのが機能別組織です。

つまり、組織の経営層は全てに目を通して、俯瞰的な決定をしていかなければなりません。

この結果、経営者にかかる負担が大きくなりすぎてしまうというデメリットが生じます。

部署内の人間関係が悪化する

部署内で従業員ごとにノルマを設定することもあるかと思いますが、これが行き過ぎてしまうと部署内で競争が激化し、人間関係に悪影響を及ぼすこともあります。

その結果、チームワークが乱れ、協力するどころか相手を押しのけてまで自分が成果をあげようとする従業員が表れる可能性があり、組織全体の利益を損ねてしまうかもしれません。

理想は、お互いに協力しつつ競い合うような関係を持って業務をすること、そして部署全体のパフォーマンスが最大化することです。このようにマネジメントするためにも、決まった従業員だけを特別扱いすることがないようにしましょう。

職場環境や人間関係に注意して運営していくことで、部署のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。

機能別(職能別)組織とその他の組織形態との違い

組織形態には機能別組織だけではなく、事業部制組織やマトリクス組織といったものがあります。

それでは、これらはどのように違うのでしょうか。

それぞれの組織形態との違いを解説していきます。

事業部制組織との違い

事業ごとに切り分けて部署を構成する組織形態が、事業部制組織です。それぞれの事業部には事業を遂行するうえで必要な機能(営業やマーケティング、生産など)が備わっているため、基本的に事業部内で完結できるようになっています。

つまり、各事業部にはある程度の権限が委譲されており、迅速な意思決定や経営が可能となっているのです。一方で機能別組織では、解説してきた通り最終的な決定は経営者が行うため、部署ごとには大きな権限がありません。

しかし、事業部制組織でも完全に事業部だけで組織が成り立っている組織は多くはありません。事業部のなかで営業やエンジニアというように機能別組織的な構成を採用する企業もあります。

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マトリクス組織との違い

マトリクス組織は、事業ごとや機能ごと、地域ごとなどに分けられたいくつかの軸で構成されています。簡単に言うと、事業部制組織や機能別組織などのいいところだけを採用した組織形態です。

つまり、機能別組織は事業部制組織やマトリクス組織といったような、いくつもの組織形態に取り入れられているということであり、これからの組織運営を検討するうえで必要不可欠な要素といっても過言ではないでしょう。

機能別組織で失敗しないためのポイント

機能別組織は数々のメリットがある組織形態ですが、一方でマネジメントに気をつけなければデメリットによって組織の運営に支障をきたすかもしれません。

機能別組織で注意するべきことは、「部署間でのコミュニケーションがどうしても減ってしまう」という点についてです。部署間でのつながりが希薄になることは、組織運営をするなかでさまざまな問題やトラブルの原因となります。

したがって、部署間でのコミュニケーションを促進することを心がけましょう。簡単に導入できるものでいえばチャットツールなども良いでしょう。部署間での連携が強化されることで、組織としてまとまりのある行動が可能になります。

まとめ 機能別組織について

機能別組織はいくつもの組織形態に取り入れられている便利な組織形態であり、使い勝手がいいからこそ気をつけなければならない点もあります。

専門的な人材を育成できることは良いですが、組織全体を俯瞰する能力も同時に育てていかなければなりません。

他の組織形態との違いを知り、組み合わせを考え、自社に最適な構造にすることが重要でしょう。

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