1990年代後半に誕生したZ世代が、2020年代以降になって、徐々に社会参加しています。
しかしその中で、Z世代の価値観を理解することができずに、マネジメントに苦戦している方も一定数いるのではないでしょうか。
そこで本記事では、Z世代に対するマネジメントについて解説していきます。
なお、筆者もZ世代なので、Z世代のリアルな姿も取り上げられればと思います。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
そもそもZ世代の定義とは
Z世代は明確な定義はありませんが、一般的には「1995年頃から2010年に誕生した世代」を指すことが多いです。
2023年時点だと10代から20代前半の若者がZ世代に該当します。
では一体なぜ「Z世代」という名称なのでしょうか。
実は元々、1965年から1979年生まれの世代が「X世代」、1980年から1994年生まれの世代が「Y世代」と呼ばれていました。
そしてアルファベットの順番で「Z世代」というわけです。
なお、Z世代以降に誕生した世代は、1周回って「α世代」と呼ばれることになるそうです。
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Z世代の7つの特徴
Z世代の特徴として以下の7つが挙げられます。
- デジタルネイティブ
- 競争意識が低い
- 安定志向かつ現実的
- 多様性を重視する
- マルチタスクで効率性を重視する
- 組織よりも個を重視する人が多い
- 仕事よりもプライベートを重視する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
特徴①:デジタルネイティブ
Z世代は、誕生時点でインターネットが利用可能であるデジタルネイディブの世代です。
そのため、前世代の方々に比べて、Z世代はインターネットの利用に長けています。
また、多くのZ世代は小学生や中学生の段階で自分のスマートフォンを所有し、SNSを日常的に使用しています。
実際に筆者も、中学生の段階でスマートフォンを所有していました。
そのため、前世代に比べて、インターネット世界の流儀を深く理解していると言えます。
その一方で、あまりにもスマートフォンに慣れすぎて、パソコンが全く使えないという若者も非常に多い印象です。
デジタルネイティブではあるものの、パソコンの基礎知識やITリテラシーが特別高いわけではない点には注意が必要でしょう。
特徴②:競争意識が低い
Z世代は競争意識が低い傾向にあります。
例えば「団塊の世代」は、ベビーブームに誕生した世代であるため出生数が多く、就職や受験などで常に厳しい競争環境を生き抜いてきた世代でした。
しかしZ世代は少子高齢化真っ只中で誕生した世代です。
また、2003年に発表されたSMAPの名曲『世界に一つだけの花』からも分かる通り「人に優劣をつけるよりも個性を重視した方がいい」という風潮が広まった時代でもあります。
以上のことからZ世代は、トップに上り詰めようとする人材が少なくなっていると考えられています。
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特徴③:安定志向かつ現実的
Z世代は前世代に比べて安定志向かつ現実的です。
実際、第一生命保険株式会社が2023年3月に発表した「第34回大人になったらなりたいもの」では「会社員」や「公務員」がランキングのトップになっています。
Z世代は、リスクをかけて大きなリターンを手にすることよりも、とにかく「安定」を求めているのです。
理由はいくつか考えられますが、比較的早い段階で世界的な経済不況を目の当たりにしていることが挙げられるでしょう。
2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナウイルス拡大による経済ストップはZ世代に大きな影響を与えています。
日本人の場合は2011年の東日本大震災の影響も非常に大きいでしょう。
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特徴④:多様性を重視する
Z世代は多様性を重視する傾向があります。
先ほども述べた通り「個性を重視した方がいい」という風潮が広まった時代で育った世代だからです。
また、インターネットの普及によって本当に面白い人を手軽に見つけられるようになったのも大きいでしょう。
YouTubeの登場によって「他人と違うことが武器になる」ということを強く認識している可能性もあります。
そして近年はLGBTやヴィーガン関連の社会・環境問題が話題になっています。
Z世代はこれらの問題に非常に強い関心を抱いているので、多様性を重視することはもちろんのこと、マイノリティな価値観にも寛容です。
特徴⑤:マルチタスクで効率性を重視する
Z世代はデジタルネイティブであり、学生時代の段階でスマートフォンを手にしています。
そのため、インターネット社会特有のマルチタスク作業に慣れているのが特徴です。
また、近年は「タイパ(タイムパフォーマンス)」という考え方が若者の間で普及しています。
映像コンテンツを倍速視聴したり、SNSのショート動画が普及したりなど、若者が集中できる時間は年々縮小されています。
短期的な集中や即時性を求める傾向がある点にも注意した方がいいでしょう。
特徴⑥:組織よりも個を重視する人が多い
Z世代は組織よりも個を重視する人が多いと考えられています。
先ほども述べた通り、Z世代はリーマンショックや新型コロナウイルスによる社会の混乱を若い頃に目の当たりにしているため、企業をそこまで信用していないのです。
また、Z世代の多くは「終身雇用はもう存在しない」と考えています。
そのためZ世代のキャリアプランは、転職や独立が前提になっているのです。
特徴⑦:仕事よりもプライベートを重視する
Z世代は仕事よりもプライベートを重視する傾向があります。
実際、Z世代の多くは「ブラック企業」や「残業」という言葉に敏感です。
また、近年は日本人の生産性の低さが取り上げられるようになっています。
だからこそZ世代の中で長時間労働は「悪」なのです。
それに加え、新型コロナウイルスの影響で飲みニケーションが時代遅れのものになりつつあります。
実際、筆者の周囲でも「お酒」「飲みの席」に対して嫌悪感を示す若者は多いです。
そしてZ世代は、そういった機会の代わりに自分の時間や趣味を大切にします。
これらのことから、Z世代のプライベートを尊重するような企業活動が求められています。
関連記事:ワークライフバランスとは?従業員や企業のメリットや注意点、導入事例を徹底解説!
Z世代に対するマネジメントが必要な理由3選
Z世代に対するマネジメントが必要な理由は以下の3つです。
- DXが促進されるから
- 新陳代謝を促せるから
- ブランディングに繋がるから
それぞれ詳しく解説していきます。
理由①:DXが促進されるから
Z世代はデジタルネイティブであり、前世代に比べて先進的なツールに敏感です。
そのため、Z世代を組織・チームに取り込むことができれば、DXを促進できる可能性があります。
また、Z世代は学生の頃からSNSを使いこなしているので、デジタルマーケティングに対しても敏感です。
組織のDXを進めたいのであれば、Z世代を組織に組み込んで、マネジメント手法を再構築するのがいいでしょう。
関連記事:「2025年の崖」とは?DXの遅れが12兆円の経済損失を生む理由を解説!
理由②:新陳代謝を促せるから
Z世代に対してマネジメントを実施することで、組織の新陳代謝を促せます。
そもそもZ世代は、2023年時点の労働者の中で最も若い世代です。
そのため、Z世代を積極的に活動させることは、新しい価値観を組織に取り入れることに繋がります。
しかし当然のことながら、Z世代の考え方をスムーズに受け入れられない従業員も一定数存在するでしょう。
だからこそ、マネジメントで適切なバランスを見つけ出すことが重要なのです。
理由③:ブランディングに繋がるから
Z世代は社会的な責任や環境問題に敏感です。
そのため、ただ利益を出し続ける企業ではなく、パーパス経営やエシカル消費を促す企業を求めます。
Z世代を受け入れられるような取り組みを実施できれば、企業のブランディングや競争力を強化できるでしょう。
また、従業員の平均年齢で職場の雰囲気を読み取る人が増えています。
若い職場の方が就活生に人気なので、採用のアピールにも繋がるはずです。
Z世代に対するマネジメント手法7選
Z世代に対して有効なマネジメント手法は以下の7つです。
- パースペクティブ・テイキングを実施する
- ベテラン社員のアンラーニングを実施する
- 多様な働き方を提示する
- 内発的動機を促す
- テクノロジーを活用する
- オーダーメイド型人材育成を実施する
- 情報よりも体験を重視する
それぞれ詳しく解説していきます。
手法①:パースペクティブ・テイキングを実施する
まずは組織全体でパースペクティブ・テイキングを実施しましょう。
パースペクティブテイキングは社会心理学で研究されている分野の一つで、他人の見ている視点を自分の中に取り入れることを指します。
つまり、Z世代の新しい考え方を取り入れるように努力するわけです。
もちろん、Z世代を完全に理解する必要はありません。
Z世代を理解しようとする意思が、マネジメントに良い影響を及ぼします。
手法②:ベテラン社員のアンラーニングを実施する
ベテラン社員のアンラーニングを実施するのも良いでしょう。
アンラーニングとは、保有しているスキル・知識のうち、有効でなくなったものを放棄することです。
時代遅れの知識に固執してしまうと、新しい価値観を自分に取り込みづらくなります。
Z世代のことを理解する前に、まずは前世代の価値観を捨て去ってしまうことが大切です。
手法③:多様な働き方を提示する
Z世代は多様性に寛容で、仕事よりもプライベートを重視する傾向があるため、多様な働き方を提示するのがいいでしょう。
フレックスタイム制やリモートワーク、週休3日制など、様々な働き方を提示することが大切です。
また、このように多様な働き方を提示することは企業のブランディングにも繋がります。
手法④:内発的動機を促す
Z世代は新しい価値観を有している一方で、リスクを取って行動することを好みません。
そのため、マネジメントで内発的動機を促す、つまりZ世代本人の内面からでた興味や関心、意欲によって、主体的に行動させることが大切です。
そのためにまず「目標」と「役割」を提示するのがいいでしょう。
そしてプロセスには介入しすぎないようにすることで、Z世代特有の価値観を引き出します。
Z世代の内発的動機を誘発させる環境づくりが求められています。
手法⑤:テクノロジー(スマホ)を活用する
Z世代はデジタルネイティブなので、前世代に比べて、新しいテクノロジーへの理解が深いと考えられます。
むしろ紙媒体のマネジメントを億劫に感じるかもしれません。
そのためZ世代をマネジメントするのであれば、ITツールの活用は必要不可欠です。
そして可能であれば、スマートフォンにも対応したITツールを導入するのが良いでしょう。
Z世代はPCよりもスマートフォンの方が扱いに長けているためです。
実際、スマートフォンの方が「外出先でも仕事を進めやすい」というメリットもあります。
Z世代が組織に入ったら、それと同じタイミングでDXをしっかり進めていきましょう。
手法⑥:オーダーメイド型人材育成を実施する
これまでの人材育成は、新入社員全体に画一的な教育を施すことがほとんどでした。
しかしこれからは、一人一人にマッチした人材育成を提供するのが良いでしょう。
Z世代は組織よりも個を重視するからです。
もちろん、オーダーメイド型人材育成は従来の方法よりも上司の負担が重くなります。
しかしその一方で、個人に合わせた人材育成でなければやっていけない時代が到来するでしょう。
DXを進めて効率化を図りながら、オーダーメイド型人材育成にシフトしていくことをおすすめします。
手法⑦:情報よりも体験を重視する
Z世代はインターネットやSNSに傾倒しているため、これまで以上に情報に溺れている人が多いと考えられます。
「有名なカフェのことを知ってはいるけど、そのカフェには一切行ったことがない」という具合です。
そこでZ世代をマネジメントする際は、情報よりも体験を重視するのがいいでしょう。
例えば人材育成では、Off-JTよりもOJTの割合を大きくします。
情報だけでは理解できない部分を指導することが、Z世代のマネジメントで求められるポイントです。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- Z世代は1995年頃から2010年頃に生まれた世代
- Z世代はデジタルネイティブなのでテクノロジーに対しては比較的理解している
- Z世代は若い段階でいくつもの経済不況を目の当たりにしているので安定志向の人材が多い
ここまでZ世代の特徴やマネジメント手法を紹介してきました。
しかしこれはあくまでも、Z世代の全体的な傾向に過ぎません。
Z世代の中には、リスクをガンガン取りにいく人材もいれば、テクノロジーに明るくない人材もいます。
だからこそ、一人一人にマッチしたマネジメントが常に求められているのです。