定量評価とは、数値化できるものに対する評価や評価手法のことです。
数字で評価するため一見簡単そうに思われがちですが、効果的に運用するには、その性質やメリット、デメリットなどを正しく把握する必要があります。
そこで本記事では、定量評価の概要や定性評価との違い、メリット・デメリット、効果的に運用する方法などを解説していきます。
目次
定量評価とは
定量評価とは、数値化できるものや測定できるものを基にした評価を指してます。
例えば
- 売上が20%あがった
- 去年よりも来客数が2万人増加
- 10件の新規顧客を獲得
といったケースは客観的な数値で測ることができ、過去の記録と比べられるので納得感のある評価が可能です。
定量評価における具体的な指標には下記のようなものがあります。
- 売上金額
- 利益率
- 新規発注
- 人件費
- 材料費
- ウェブサイトのアクセス数
- 経費
定量評価と定性評価の違いとは
定量評価では評価できないものに対しては、定性評価を行います。
定性評価とは、数値化できないものや測定できないことに対する評価です。
具体的には、
- 勤務態度
- コミュニケーション能力
- 迅速な業務処理や報連相
- 商品やサービス、取引先に関する知識の豊富さ
といった、目に見えず形にならないが評価に値することに対して評価を下します。
重要なのは適切に使い分けること
定量評価と定性評価において重要なのは、両者のメリット・デメリットや特性を正しく把握して、適切に使い分けることです。
定量評価では数字を根拠として評価するため、理論的には誰が評価しても同じ結果となり、評価される従業員にとっても納得しやすいことが特徴です。
ただ、全ての評価指標を数値化できるわけではありません。
そこで登場するのが定性評価です。
定性評価では、数値化することが難しい事柄について評価することができるため、間接的に成果に貢献することを評価できます。
しかし、評価者の主観が入り込みやすく、バイアスによって評価が左右される点に注意しなければなりません。
だからこそ2つの評価手法を用いることで、包括的な評価をすることが重要です。
関連記事:定性評価とは?定量評価との違いや実践方法・注意点を解説
定量評価の使い方・具体的な事例とは
定量評価は「全ての従業員」の評価項目として活用できます。
例えば、マーケティング部員の評価項目を設定する際は、以下のように設定できます。
- 資料ダウンロード数を80DL/月間で評価5
- CPAを8,000円で評価5
- 月間のオウンドメディアPV数50万PV達成で評価5
定量評価をすると、評価時に誰もが〇×をつけることができるようになります。
例えば、定量評価として「コミュニケーション能力が十分にある」といった評価項目を用意した場合、何をもって「十分にある」という評価をつけることができるのかが不明瞭です。
一方で、資料ダウンロード数〇件といった目標は、誰にとっても明確であるため、評価者によって評価がばらつかないメリットがあります。
また、定性評価の場合は「なぜ評価が悪かったのか」の根拠があいまいになってしまうため、社員に対して「不足」を明確に指示することができません。
定量評価であれば、何が足りなかったのかが「数値」として見えるため、不足が明らかになります。
そのため、社員がPDCAを設定し、目標達成に向け、自身で動けるようになります。
したがって、定量評価は社員の評価項目に設定できるだけではなく、社員に行動の改善を促す「根拠」にもなります。
関連記事:KPIによる数値化マネジメントを利用することで何が変化するのか?実際の事例をもとに解説!
定量評価のメリットとは
定量評価のメリットは下記のようなものが挙げられます。
- 客観的な評価ができる
- 社内の競争を促進できる
- シンプルで効率的な評価ができる
- 従業員のモチベーションを上げることができる
定量評価は数字を基に評価するため、公正かつ客観的な評価ができ、誰にとっても納得しやすい点が大きなメリットです。
また、定量評価は評価者にとっても、素早く効率的な評価ができるようになるというメリットがあります。
それに加えて、数字は過去の記録や他の従業員と容易に比べることができるため、達成率や順位などの基準を参考に社内の競争を促すことができます。
しかし、社内競争の促進が自社に相応しいのか、経営として合理的な方法なのかどうかは慎重に吟味する必要があるでしょう。
定量評価のデメリットとは
定量評価のデメリットとしては下記のようなものが挙げられます。
- 数値化が難しい努力が評価されない
- 結果至上主義に陥る場合がある
定量評価は数値化できるものを評価する手法であるため、数値化できない努力については評価できません。
これにより、直接成果にはつながらないが間接的に成果に貢献するものや、勤務態度や創意工夫などの評価するべき努力が評価されなくなってしまいます。
これにより、従業員のモチベーション低下や、「結果さえ出せば良い」といった結果至上主義に陥るかもしれません。
定量評価を行う際の注意点とは
定量評価を行う際の注意点を見ていきましょう。
適切な目標設定をする
定量評価を行う際は、まず、目標設定が適切かどうか確認しましょう。
定量評価においては、従業員の意欲を引き出せるような適度な難易度の目標を設定することが重要です。
そのためにも過去の記録を参考に、適切な目標がどの程度かを慎重に吟味しましょう。
達成が明らかに不可能な目標を設定をすると、従業員は諦めてしまいます。
一方で、努力をしなくても達成できるような目標でもモチベーションを引き出すことはできません。
評価後のフィードバック
評価後にはフィードバックを行います。
定量評価に限らず評価において重要なことは、被評価者に評価の理由についてしっかりとフィードバックを行うことです。
なぜなら評価は、給与や昇格・降格だけではなく、従業員の成長を促進することにも関わるためです。
したがって、評価の際にはじっくりと話し合える場を設けて、評価者から直接フィードバックを行いましょう。
「数字が全て」に注意
定量評価では結果至上主義に陥る場合があるため、そうならないための対策が必要になります。
評価者が目標達成のみを重視するような姿勢でコミュニケーションをとっていると、被評価者も成果を出すことだけに集中してしまう可能性があります。
そうではなく、プロセスも重要であることを意識した上でメンバーを支援することで、結果至上主義に陥らないようにしていかなければなりません。
まとめ:定量評価を適切に活用しよう
定性評価は「360度評価」などを筆頭に、世の中で市民権を得た評価項目です。
社員の努力の中には、「決して数字で見えないものもある」ことを考慮した評価方法で、社員のモチベーションにも繋がると理解されています。
しかし、定性評価が誰にとっても平等な指標かと聞かれると、そうではないと思われる経営者の方も多いのではないでしょうか。
例えば、以下2人の部下がいたときに、あなたはどちらの評価を高くするべきだと思いますか?
- Aさん
毎日定時上がりだが、数値目標120%を達成している社員。
ただし、毎日定時上がりのため努力が感じられないと上司から判断されている。 - Bさん
毎日努力しているため残業続き。360度評価では、自身の不足を埋めるために日々努力をしているという高い評価。
業務に対しても前向きに取り組んでいる。
しかし、数値目標の達成率は50%。
定量評価を採用した場合、Bさんの方がAさんよりも評価が高い。という結論が出てくる可能性も否めません。
しかし、本当にAさんは努力をしていないのでしょうか?
例えば、Aさんは社内での作業は最低限に押さえ、社外で自己研鑽を積んでいるのかもしれません。
この可能性を否定することも、肯定することも上司にはできないでしょう。
つまり、定性評価で判断できるのは、上司が見えている一部でしかありません。
360度評価もまた、各々が社員の一部分のみを見て、評価しているという事実を理解しておく必要があるでしょう。
定量評価では上記の問題は発生しません。あくまでも、結果のみで判断することができるので、不平等な評価にはなりません。
ただし、だからといって全てを定量評価にはできないという声も聞こえてきそうです。
例えばバックオフィスです。バックオフィスでは、明確な数値目標を設定できない、という声も聞こえてきます。
では、どうすればいいのか。
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定性評価がダメというわけではありません。
しかし、基本となるのは定量評価であり、どうしようもないときに定性評価を活用する。
定量評価をメインに評価項目を設定するとよいでしょう。