「新しいことに挑戦したいんです!」という有望な新人を新規事業部に配属してみたり、誰もが「彼は人材育成に向いている」と推薦する社員を人事部に配属してみたりと、適材適所を意識して人材配置を行なっているのにどうにも結果が出ない。
新規事業部の新人は空回りし、人事部の社員の評判も芳しくない。
ここではそんな「なぜかうまくいかない適材適所」の解決のヒントを、3つの視点から紹介します。
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目次
適材適所を実現するために「ストレングスファインダー 」を活用する
本当の意味での適材適所を実現するには、人材の強みや弱みを客観的に把握する必要があります。しかし、他人の評価にはどうしても主観が入るもので、客観的な把握は簡単ではありません。アメリカの世論調査及びコンサルティングを行うギャラップ社が開発した自己分析ツールである「ストレングスファインダー」なら、本来は難しい「客観的な人材の強みや弱みの把握」を強力にサポートしてくれます。
ストレングスファインダー はギャラップ社のウェブサイト上で177個の質問に答えるだけで、人が持つ34種類の資質の中から回答者の強みの源泉となる「トップ5の資質」を浮き彫りにします。回答者の自己分析に役立つのはもちろん、回答者が自分について語るときや、第三者が回答者の強みを把握する際にも大いに役立ちます。
例えば34種類の資質のうち「戦略的思考力」が得意だが「人間関係構築力」や「実行力」に欠けている人材Xがいたとします。この人材Xと「人間関係構築力」や「実行力」に長けた人材Yにタッグを組ませれば、効果的な戦略を立てながら、チームでその戦略を実行できるようになるでしょう。ストレングスファインダーの結果を共有していれば、お互い自分にない資質の持ち主だということもわかるので、安心して相手に仕事を任せることもできるでしょう。
客観的な資質を把握することで、主観に基づく人材配置を行うより、的確な適材適所を実現できるはずです。まずは個人の強みを明らかにすることからはじめ、組織の人員配置に活かしていくべきでしょう。
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「適材適所」=組織が設定した機能にメンバーを合わせる
「識学」というマネジメント理論によれば、「適材適所」の捉え方には注意が必要です。組織は目標を達成するために必要な機能を明確に設定し、それに合わせて人を配置して初めて機能的に動けるようになります。
したがって本来は「組織が設定した機能にメンバーを合わせる、もしくはメンバーが成長する」が正しいあり方です。しかし「適材適所」を「個人の希望や特性に合わせて役割を用意する」と捉えてしまいがちです。これは順番が逆です。
一般的にスキルの高いと言われる人、豊富な経験を持った人でも、その人たちの特性が「組織が設定した機能」と一致しなければ何の意味もありません。極端なたとえ話になりますが、プロのサッカーチームにプロ野球の4番打者が入った場合、この打者に合わせた配置をするようなことはないですし、したとしても、チームは強くならないです。
したがって「適材適所」に頭を悩ませている管理者にとっての本来の仕事は、組織が求める機能の明確な提示と、そこに向けた人材育成・管理です。考える順番を逆転させてみましょう。
参考リンク:『伸びる会社は「これ」をやらない! 』
適材適所は「TIME TALENT ENERGY」に学ぼう
「TIME TALENT ENERGY」は、米国ボストンのコンサルティングファーム「Bain & Company」のパートナーであるマイケル・マンキンスとエリック・ガートンによって提唱されたマネジメント理論です。この2人のコンサルタントは共著『Time, Talent, Energy』の中で、企業は「時間」「人材」「意欲」という社内資源に対して、組織単位のソリューションを施すべきだと指摘します。
本書には人材配置について行われた興味深い調査の結果が示されています。すなわち普通の企業と優良企業が抱えている「Aクラス人材=ディファレンスメーカー」の比率はほぼ同じだったというのです。ディファレンスメーカーとは特定の業界や分野において非常に優秀だとされる人材であり、いるかいないかで結果に大きな違いを生み出す人材を指します。
では普通の企業と優良企業では何が違ったのでしょうか。それはディファレンスメーカーの配置方法です。あらゆる部門にまんべんなくディファレンスメーカーを配置していた普通の企業に対し、優良企業はディファレンスメーカーを一部門に集めたオールスターチームを作り、組織に大きな変革をもたらす業務に集中させていたのです。
マンキンスとガートンは、ディファレンスメーカーかどうかを見極める指標として「行動特性(企業・業界によって異なる)」「学習速度」「協調的知性」「これまでの足跡」という4つの指標を示しています。これらの指標を活用してオールスターチームを作るのも、「適材適所」の正しいあり方のひとつといえるでしょう。
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