新人教育などにOJTを取り入れるケースが数多くみられます。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ」という言葉があるように、仕事を通じてトレーニングをするOJTは人材育成に有効な方法ですが、上手く実行できなければ効果にバラツキがでてしまうことも否めません。
OJTの効果を高めるためにも、あらためてOJTの意味を確認してみましょう。
<<あわせて読みたい>>
メタバースとは?メタバースの語源や意味、具体例をわかりやすく解説!
DXとは?デジタルトランスフォーメーションの意味や定義をわかりやすく解説
目次
OJTの概要
OJT (On the Job Training) とは、日常業務を行いながら上司や先輩が部下や後輩に対して行う人材育成のことを指します。「経験」を重視した教育方法といえるでしょう。新人研修に限らず企業における教育訓練の中心となっています。
仕事を通じた訓練・育成のため、マニュアルなどでは標準化しにくいような技能を教育できたり、トレーニー(トレーニングを受ける側)の能力や個性に合わせて個別に教育できたりするといった長所があります。トレーニーにとっても、実務で直接的に使用する知識や技能が習得できることになり、効率的な学習ができるとされています。
一方で、日常業務に追われると、肝心の育成がおろそかになることや、トレーナーの能力によって効果にバラツキがでるという短所もあります。また、上司や先輩にとってはトレーニングのつもりでも、「トレーニーにとってはただ普通に業務を与えられているだけと感じる」すれ違いの発生も少なくないようです。
OJTはただの指導ではない
このようなすれ違いを発生させず、OJTを上手く機能させるためには、「個人の特性を把握し、トレーニング目標を設定し、トレーニング計画を作成の上OJTを実施する。その結果を評価し、さらに次の目標を設定する」というプロセスが不可欠とされています。
目標という“結果”から逆算する形でトレーナー・トレーニーの組み合せを考えたり、トレーニングの状況や結果をフィードバックさせたりするなど、OJTの実践展開を工夫することも一案です。またトレーニング結果がうまく出ていない時は、トレーナーは目標を再設定し、トレーニングをブラッシュアップする必要があると言えるでしょう。
特に重要なのはトレーニーがOJTを楽しいとか、難しいという感想しか持たないような「体験」で終わらせないことです。OJTでやったことが他者からの反応や評価をもたらすもので、「結果」を伴うものであると認識させ、業務を「経験」させるのです。また「結果」が思うように出ない時、何が不足しているかを考えさせることを意識することが重要と言われています。
OJTと併せて行いたいOff JTとは
Off-JT(Off-the-Job Training)とは、日常の仕事を一時的に離れて行う、研修やeラーニング等の教育訓練のことです。厚生労働省が発表する「平成28年度・能力開発基本調査」を見てみると、正社員に対し、重視する教育訓練について、「OJTを重視する」または「OJTを重視するに近い」とする企業は74.6%。対して、「Off-JTを重視する」または「Off-JTを重視するに近い」とする企業は24.1%でした。
OJTに比べるとOff-JTはまだ充分に実施されていないのが現状のようです。ただ、「教育訓練の中心はOJT、それを補完するのがOff-JT」という、双方の組み合わせが有効であると考える企業も現れています。また「Off-JTの併用」にシフトしつつあることを報告する研究もあります。いわゆる実地訓練のみではなく、教育法を体系的にとらえ直すことで人材育成に効果があることが明らかになってきているようです。
Off-JTの指導者は社内の人間とは限りません。そのため、社内外の専門家から日常業務では修得しにくい知識を得ることかできます。また、部門などを越えて社員が集まるため、情報交換をすることで交流を深める機会になり、ひいては幅広い知識や情報を得ることにつながると言えます。
Off-JTで修得した知識やスキル等は実践で試すことによって、「結果」を生むことのできる有益な「経験」に昇華します。
まとめ OJTについて再確認し人材の育成を促進する
実践的な技術は日常の繰り返しの中から生まれるものですから、OJTは人材育成に効果的なシステムとも言えます。さらにそこに、Off-JTも取り入れることで良質な「経験」を補い、成長の可能性を広げることが必要とされています。
OJTのあり方について再確認し、トレーニーに「経験」を積ませ、働くことで発生する「結果」を意識してもらうことを心がけることが重要と言えます。より良い「結果」を生み出すため、自発的に考えられるようになることが組織における真の人材育成と言えるのではないでしょうか。
<<あわせて読みたい>>