プロジェクトを円滑に進行するためには、工数や予算、品質を管理することが重要です。
企業にとって欠かせないプロジェクト管理者は、業務をよりスムーズに行うため、これらに関連する資格を取得することもあります。
本記事では、プロジェクト管理に関する資格とその難易度について詳しく解説します。
目次
プロジェクト管理には資格が必要?
プロジェクト管理には、特別な免許は不要です。そのため、プロジェクト管理者になるために資格は必ずしも必要ではありません。
資格がなくても経験やスキルがあれば、プロジェクト管理の仕事は可能であり、実際には実務経験が重視される傾向にあります。
とはいえ、関連する資格を取得すること、取得に向けて学ぶことは、円かっツナプロジェクト管理を助けることも事実でしょう。
プロジェクト管理に役立つ資格を取得するメリット
資格がなくてもプロジェクト管理はできますが、関連する資格を取得することでたくさんのメリットを享受できます。
プロジェクト管理に関連する資格取得のメリットについて、詳しく見ていきましょう。
プロジェクト管理のスキルを証明できる
プロジェクト管理に関する資格があると、プロジェクト管理スキルを客観的に証明できるのがメリットです。
プロジェクト管理は重要かつ難易度の高い業務であり、スキルを必要とされます。
ですが、プロジェクト管理を経験していても、明示できる成果物がないため対外的に自分のスキルを証明することは難しいでしょう。
しかし資格があれば、プロジェクト管理に関する基本知識は身につけているという証明になります。
転職時には、採用担当者へのアピールもできるでしょう。
年収アップを期待できる
資格取得によって年収がアップする可能性があります。
企業によっては、資格手当として毎月の給料にプラスして支払うという会社や、昇給や昇進の条件にしている会社もあるでしょう。
転職にも有利に働くので、今より条件の良い会社で働く道も開けるかもしれません。
プロジェクト管理に必要なスキルを基礎から学べる
プロジェクト管理の資格を取得することで、幅広いスキルが身につきます。
プロジェクト管理にはマネジメント能力だけでなく、コミュニケーションスキルやディレクションスキル、問題解決能力、専門知識などさまざまな知識とスキルが求められます。
資格の取得を目指すことで、単に資格を取るだけでなく、さまざまな知識を体系的に学べるため、メリットが大きいといえるでしょう。
プロジェクト管理に関する資格と難易度
ここからは、プロジェクト管理に関する資格を7つ紹介します。それぞれの概要と難易度をチェックしてください。
1.プロジェクトマネージャー試験(PM)
まずは、プロジェクト管理に関する資格のなかでも特にハードルの高い「プロジェクトマネージャー試験(PM)」について紹介します。
資格の概要と合格率などから見る難易度にも注目しましょう。
資格の概要
プロジェクトマネージャー試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家資格です。システム開発プロジェクトの責任者として、マネジメントスキルがあるかどうか見極めます。
IT技術全般の知識と、プロジェクトの管理や計画立案、納期遵守、予算管理、品質担保など、プロジェクトのマネジメントに必要なスキル全般が求められます。
難易度と合格率
プロジェクトマネージャー試験の難易度は高めであるといわれています。120分の論述問題が出題される点も特徴です。
合格率 | 約14% |
受験資格 | 特になし |
平均勉強時間 | 50時間~ |
難易度 | ★★★★★ |
2.PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)試験
PMPはアメリカのプロジェクトマネジメント協会が認定する国際資格です。IT業界以外でも役立つ資格として知られています。
資格の概要
PMP資格を取得すると、PMBOK(プロジェクト管理に関する知識をまとめたもの)をベースとしてプロジェクトを体系的に進められるスキルがあることを証明できます。
この資格はグローバルで知名度が高く、海外でのプロジェクトにおけるスキル証明にも使えます。ただし、3年ごとに資格更新が必要な点に注意しましょう。
難易度と合格率
PMPの合格率は非公開ですが、およそ6割ほどといわれています。
合格率は比較的高めですが、平均必要勉強時間が100時間以上と、難易度が高い資格であることは間違いありません。
受験資格は厳しく、プロジェクトマネジメントの実務経験が必要となっており、高等学校卒業者は5年、四年制大学卒業者の場合は3年以上と設定されています。
また、申請時から8年以内の経験である必要もあります。
合格率 | 非公開 |
受験資格 | プロジェクトマネジメントの実務経験が必要 |
平均勉強時間 | 100時間~ |
難易度 | ★★★★☆ |
3.PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)スペシャリスト認定資格
PMOスペシャリスト認定資格は、一般社団法人日本PMO協会が運営する試験です。
PMOのスキルを証明し、PMOの専門性を認定するための資格です。
資格の概要
PMOの資格があれば、PMOに関する知識とスキル、経験、プロジェクト管理や支援ができることを客観的に証明できます。
PMOはe-ラーニング講座とオンライン試験のみのWeb完結型の資格です。なお、資格取得後も2年ごとに更新手続きが必要になります。
なお、難易度が違う2種類に分かれており、「PMOスペシャリスト(★)」はPMOに必要な基礎知識を持っていることを、「PMOスペシャリスト(★★)」はPMOマネージャークラスの知識とスキルがあることを認定します。
難易度と合格率
PMOの合格率は非公開ですが、難易度はあまり高くないとされています。
合格率 | 非公開 |
受験資格 | プロジェクトマネジメント関連の資格を有していること |
平均勉強時間 | 30時間~ |
難易度 | ★★★☆☆ |
4.P2M(プログラム&プロジェクトマネジメント)資格試験
P2Mは特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会が主催する民間資格です。4段階に分かれています。
資格の概要
P2Mはプロジェクト管理に関する知識と実践的な活用力などが試される資格試験です。
内容とレベルに応じて4段階(PMC資格試験、PMSプログラム資格試験、PMS資格試験、PMR資格試験)に分かれています。
PMCは5年ごと、PMSとPMSプログラムは3年ごとに更新手続きをする必要があります。
難易度と合格率
4つのレベルのうちPMCとPMSプログラムは比較的難易度が低めですが、PMSとPMRは難易度が高いといわれています。
合格率 | 約45~78%(試験によって異なる) |
受験資格 | PMS 特になし
PMC PMC講習会修了者 PMSプログラム PMC取得者 PMR PMS資格登録者 3年以上のプログラム・プロジェクト実務経験 |
平均勉強時間 | 15時間~(試験によって異なる) |
難易度 | ★★★☆☆ |
5.応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、PMと同じくIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家資格です。
ITエンジニアに人気の資格でもあります。
資格の概要
課題解決を目的にIT技術を活用した戦略を考え、実行するスキルを有しているかが問われる試験です。
ITエンジニアの登竜門として、高度IT人材に必要な応用的知識とスキルを問う資格と位置づけられています。
業務経験5~6年ほどの中堅のプログラマーやシステムエンジニアが受験者の中心です。
難易度と合格率
応用情報技術者試験は出題範囲が広く、記述式試験があるため難易度は高いとされています。
ITエンジニアの基本知識がなければ、合格するのはかなり厳しいといえるでしょう。
合格率 | 約27% |
受験資格 | 特になし |
平均勉強時間 | 200時間~ |
難易度 | ★★★★☆ |
6.ITコーディネータ試験
ITコーディネータ試験は、経済産業省の推進資格です。試験会場も全国に多数、試験も年に3回開催と取得チャンスが多いのが特徴です。
ITコーディネータ試験について、詳しく見ていきましょう。
資格の概要
ITを活用できる人材育成を目的に、ITにまつわる全般的な知識、経営やビジネスに関する知識を問われる試験です。
資格を取得するには、試験への合格とケース研修の修了が必要になります。また、取得後も1年ごとの更新が必要です。
難易度と合格率
ITコーディネータ試験の合格率は高めで、きちんと対策すれば難しくない試験です。
CBT形式で開催され、合否はその場で判定されるため、結果がすぐにわかります。
合格率 | 約50~70% |
受験資格 | 社会人経験3年以上 |
平均勉強時間 | 50時間~ |
難易度 | ★★☆☆☆ |
7.ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家資格で、スキルレベル4に相当する最難関の試験です。
資格の概要
ITストラテジスト試験に合格すると、ITコンサルティングスキルを示すことができます。
ITを活用した経営戦略の策定能力や、ITを活用した事業の実践力などが問われる試験内容です。
プロジェクト管理者以外でも、CIOやITコンサルタントなどを目指す人に人気があります。
難易度と合格率
IPAによると、平均合格率が14%~15%を推移しているため、難易度が高い試験です。
合格率 | 約15% |
受験資格 | 特になし |
平均勉強時間 | 200時間~ |
難易度 | ★★★★★ |
プロジェクト管理で資格取得と実務経験、どちらが重要?
プロジェクト管理に関する資格は、持っていれば昇給や転職に有利なものですが、あくまで資格の有無より実務経験が重視される傾向にあります。
資格取得においても実務経験が求められるものや経験による知識が有利に働くものが多いので、まずは実務経験を積んでから、資格取得のために勉強した方が得策でしょう。
資格取得でプロジェクト管理スキルの向上を目指そう
プロジェクト管理業務には、資格は必要ありません。
ただし、資格があることで昇給や転職に有利になるなどメリットはたくさんあります。
資格取得のために理論や知識を体系的に学ぶことで、よりスキル向上を目指せるでしょう。
自分のキャリアプランも考えながら、資格取得に励んでください。