仕事を効率よく進めていくには知識や経験が必要不可欠です。これをスキルセットと呼びます。
そしてスキルセットは、業務や職種によって内容が変動します。
そのため、人事担当者やマネージャーは、各職種ごとで求められるスキルセットを理解した上で、人材育成・人材配置を実施する必要があります。
本記事ではスキルセットについて徹底解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
スキルセットとは?【スキルの組み合わせ】
スキルセットは、業務を遂行するために必要な知識・経験・技術の組み合わせのことを指します。
「スキルセット」という名称でもわかる通り、スキル単体ではなく、スキルの組み合わせがビジネスシーンで求められます。
仮に素晴らしい専門技術を有していても、全てのビジネスパーソンにとって必要不可欠であるコミュニケーション能力が乏しいのでは意味がありません。
複数のスキルが組み合わさったスキルセットは、ほぼ全ての職種で求められるのです。
スキルセットの種類
スキルセットは以下の2種類に分けることができます。
- ハードスキル
- ソフトスキル
それぞれ詳しく解説していきます。
ハードスキル
ハードスキルは、具体的な業務に求められる専門的な能力・知識のことを指します。
具体的なハードスキルは以下の通りです。
- プログラミングスキル
- 会計処理
- ライティング
- デザイン
- 語学力
- 資格
ハードスキルは、人材の差別化に繋がってきます。
人材育成のプランを練る際は、どのハードスキルにフォーカスするのかを慎重に決定する必要があるでしょう。
ソフトスキル
ソフトスキルは、仕事の能力(ハードスキル)を最大限引き出すのに必要な能力のことを指します。
具体的なソフトスキルは以下の通りです。
- コミュニケーション能力
- リーダーシップ
- 決断力
- 傾聴力
- 問題解決能力
基本的にソフトスキルは、あらゆる職種で求められるスキルセットです。
そしてビジネスパーソンは、ソフトスキルとハードスキルをバランスよく備えておくことが求められます。
ビジネスパーソンに求められる4つのスキルセット
ビジネスパーソンに求められるスキルセットとして、以下の4つが挙げられます。
- 基本スキルセット
- 対課題スキルセット
- 対人スキルセット
- 自己スキルセット
それぞれ詳しく解説していきます。
①:基本スキルセット
基本スキルセットは、全ての社会人に求められる基本的なスキルセットのことを指します。
具体的な基本スキルセットは以下の通りです。
- ビジネスマナー
- 電話応対
- 身だしなみ
- 文書作成能力
- 基本的なPCスキル
例えば、Microsoftが提供するOfficeを扱えない社会人は、基本的に存在しないはずです。
同じように、メールやプレゼンを作成するための文章力も絶対に必要です。
特に若手の新入社員に対しては、まず基本スキルセットを習得させるように促していきます。
②:対課題スキルセット
対課題スキルセットは、問題解決で求められるスキルセットのことを指します。
具体的な対課題スキルセットは以下の通りです。
- 論理的思考力
- 分析力
- 計画力
- マネジメント力
対課題スキルセットを習得することで、実践的な問題解決を手掛けることが可能になります。
特にマネージャーやプロジェクトリーダーに求められるスキルセットです。
③:対人スキルセット
対人スキルセットは、人間関係を円滑に進めるために必要なスキルセットのことを指します。
具体的な対人スキルセットは以下の通りです。
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
- リーダーシップ
- 営業力
- 人材育成
企業のほとんどは組織で動いているため、チームワークを発揮するための対人スキルセットが必要不可欠です。
また、1人で企業を経営している場合でも、顧客との取引で、対人スキルセットが求められます。
企業活動を実施する上で、対人スキルセットは必要不可欠です。
④:自己スキルセット
自己スキルセットは、自分自身をコントロールするのに必要なスキルセットのことを指します。
具体的な自己スキルセットは以下の通りです。
- 体調管理能力
- タイムマネジメント
- モチベーションマネジメント
- ストレスマネジメント
どれだけ専門スキルが優れていても、体調が万全でなければ、能力を最大限発揮できません。
そして体調管理やストレスマネジメントは、自分自身で行う必要があります。
自分自身をコントロールできないのに、チームや仕事をコントロールできるわけがありません。
まずは自分自身をしっかりコントロールすることから始める必要があります。
求められるスキルセットを職種別に解説
ここでは、職種別に求められるスキルセットを解説していきます。
営業に求められるスキルセット
営業に求められるスキルセットは以下が挙げられます。
- コミュニケーション能力
- プレゼンテーション能力
- 体調管理能力
- ストレスマネジメント
- 論理的思考力
- マーケティング
- 情報収集力
- 分析力
営業は、顧客とコミュニケーションを取りながら、顧客の課題を解消できる商品やサービスを提示する職種です。
そのため、高度な対人スキルと、日々の営業活動をこなせるだけのセルフマネジメント力が求められます。
また、営業活動を徹底的に効率化するための情報収集力や分析力も必要です。
エンジニアに求められるスキルセット
エンジニアに求められるスキルセットは以下の通りです。
- IT関連の専門知識(サーバー、プログラミングなど)
- 課題解決能力
- コミュニケーション能力
- プロジェクトマネジメント
- タイムマネジメント
エンジニアは、IT関連の専門知識・技術を用いて、システムを設計したり開発したりする職種です。
そのため、専門知識・技術はもちろんのこと、プロジェクトを進めるためのマネジメント能力も求められます。
また、エンジニアは他の職種に比べてリモートワークやフリーランスが多いため、自分で時間を管理する能力も必要だと思われます。
マーケターに求められるスキルセット
マーケターに求められるスキルセットは以下の通りです。
- マーケティング知識
- 分析力
- 情報収集能力
- ブランドマネジメント
- 企画立案力
- コミュニケーション能力
マーケターは、マーケティング活動を通して、自社の商品・サービスを魅力づけしたり、販売を促進させたりする職種です。
そのため、マーケティング関連の知識に加えて、企画立案力などのクリエイティブなスキルが求められます。
また、市場への理解を深めるために、常日頃から情報を収集するマインドセットが必要です。
経営者に求められるスキルセット
経営者に求められるスキルセットは以下の通りです。
- 先見力
- 俯瞰力
- 実行力
- 判断力
- リーダーシップ
経営者は、企業を経営し、その全ての責任を背負う職種です。そのため、極めて高いリーダーシップと決断力が求められます。
また、企業を確実に成長させるための実行力も必要です。
ただ机上で会社を動かすだけでなく、自らが動いて物事を判断する必要があるでしょう。
マネージャーに求められるスキルセット
マネージャーに求められるスキルセットは以下の通りです。
- マネジメント力
- コミュニケーション力
- リーダーシップ
- 意思決定力
- 論理的思考力
マネージャーは、目標を達成するために、チームやプロジェクトをマネジメントする職種です。
そのため、部下のポテンシャルを引き出す対人スキルとマネジメントスキルが求められます。
人事に求められるスキルセット
人事に求められるスキルセットは以下の通りです。
- ビジネスマナー
- 情報収集力
- 傾聴力
- 課題解決能力
- マネジメント力
人事は、採用や人材配置などの人材に関わる全ての業務に携わる職種です。
多くの従業員と接するため、高度な対人スキルが求められます。
また、人材のポテンシャルを引き出すための、マネジメント力も必要です。
クリエイターに求められるスキルセット
クリエイターに求められるスキルセットは以下の通りです。
- クリエイティブスキル
- プレゼンテーション能力
- 傾聴力
- デザイン力
- アプリケーションの操作技術
クリエイターは、映像・音楽・Webサイト・ゲームなどの作品を制作する職種です。
一口にクリエイターと言っても、制作全体を取りまとめるプロデューサーやディレクターと、一部の専門業務でクリエイティブを発揮するクリエイターが存在します。
そのためクリエイターは、高度なクリエイティブスキルに加えて、一定の対人スキルも必要です。
また、創作物を制作するための、アプリケーションの操作技術も求められます。
スポーツ選手に求められるスキルセット
スポーツ選手に求められるスキルセットは以下の通りです。
- 競技ごとに求められる専門技術
- 体調管理能力
- 精神力
- チームワーク
- 判断力
スポーツ選手は、各競技で求められる専門技術を徹底的に追求するために、自分を厳しく律する必要があります。
そのため、高度な自己スキルセットが必要不可欠です。
また、スポーツ選手の多くが、チームやコーチと共に行動するため、一定の対人スキルも求められます。
スキルセットを習得させる3つの方法
部下にスキルセットを習得させる方法として、以下の3つが考えられます。
- 研修・セミナーを実施する
- マインドセットを身につける
- 自己投資を支援する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
方法①:研修・セミナーを実施する
従業員にスキルセットを習得させる方法として、まず挙げられるのが研修・セミナーです。
例えば、新入社員に基本的なスキルセットを身につけさせる「新人研修」が典型例だと言えます。
研修・セミナーは、1度に多くの従業員に対して実施できるのが強みです。
そのため、全てのビジネスパーソンに求められる普遍的なスキルセットを習得させたいのであれば、まずは研修・セミナーの実施を検討するのがいいでしょう。
方法②:マインドセットを身につける
従業員にスキルセットを習得させる方法として、マインドセットを身につけてもらうことが挙げられます。
マインドセットは「業務を遂行するために必要なパターンや思考法」のことを指します。
例えば営業職では「信用」や「顧客の立場で考える」などのパターンが必要です。
一方、マーケターであれば「顧客の立場で考える」に加えて「徹底的な分析」などの思考パターンが求められるでしょう。
このように、職種や業務内容によって、マインドセットは異なります。
それぞれの職種らしい考え方を身につけることができれば、必要なスキルを自然と習得できるようになるはずです。
そしてマインドセットを養うには、とにかく経験値を積み重ねるしかありません。
可能な限り早い段階で、現場経験を積ませましょう。
方法③:自己投資を支援する
専門知識やユニークなスキルを従業員に習得させたいのであれば、自己投資の支援制度を導入するのがいいでしょう。
例えば、語学力を高めたい従業員に対しては、TOEICなどの語学試験の受験費や教材購入費を支援します。
また、工場見学などで専門知識を深めたい場合も、その移動費を支援します。
このように、従業員の自己投資を支援する仕組みであれば、従業員の好奇心の赴くままに、人材育成を進めることが可能です。
これにより、他の人材にはないスキルセットを習得させられる可能性が出てきます。
専門人材を育成したいのであれば、自己投資の支援制度を充実させるのがいいでしょう。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- スキルセットは業務を遂行するために必要な知識・経験・技術の組み合わせのこと
- ビジネスパーソンに求められる基本的な4つのスキルセットとして①基本スキルセット、②対課題スキルセット、③対人スキルセット、④自己スキルセットがある
- 職種ごとに求められるスキルセットは異なる
スキルセットは、職種ごとで内容が異なります。
人事担当者やマネージャーは、それぞれの人材にマッチしたスキルセットを提示する必要があるでしょう。
また、従業員にスキルセットを習得させたいのであれば、セミナーや自己投資の支援制度を用いるのが良さそうです。