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管理職にも有給はある!取得義務化への対応と企業がおこなうべき課題とは

管理職に有給はある?

2019年4月に改正された労働基準法により、働き方、その時間などに大きく変化がありました。

そういった変化に対し、付帯的にどのような対応をしたらよいのかわからない管理職の方は多いのではないでしょうか。

改正には有給休暇に関する事項も盛り込まれており、違反してしまった場合は30万円以下の罰金が取られてしまうため、制度を正しく知ることは重要です。

そこでこの記事では、有給休暇取得に関する労働基準法の改正内容と管理職がとるべき対策を紹介します。

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管理職にも適用される!有給休暇の概要

ここからは有給休暇の概要を紹介します。

有給休暇とは

有給休暇とは従業員のリフレッシュを目的とした、法律で決められている労働者の権利のことです。

心身ともに疲労を回復し、ゆとりある生活を送るために与えられるべき休暇で、有給や有休、年次有給休暇とあらゆる呼ばれ方をしますが、すべて同じ意味です。

休暇を取得しても、欠勤として給与から差し引かれないのが特徴です。

労働者が有給休暇を取得する際は、具体的に使用者に取得日を申し出た日が、そのまま有給休暇の取得日になります(時季指定権)。

つまり、休暇を取る従業員自身がその日を決められる、ということです。

なお有給休暇の請求権の時効は2年となっています。

関連記事:有給休暇の定義とは?法改正や罰則、注意点など労働基準法をもとに解説

有給休暇の付与条件

以下の2点を満たしていれば、労働者は労働基準法により有給休暇を取得する権利を持ちます。

  • 半年間継続して雇用されている
  • 出勤率が8割以上ある(在宅勤務含む)

最初に有給休暇が10日付与された日から1年を経過した時点で再度8割以上の出勤率があれば、さらに11日間の有給が付与される仕組みです。

以降は以下のとおり、勤続期間によって有給休暇が付与されます。

連続勤務年数 6ヵ月 1年6ヵ月 2年6ヵ月 3年6ヵ月 4年6ヵ月 5年6ヵ月 6年6ヵ月
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者については、労働日数や所定時間に応じて付与される日数が異なります。

関連記事:有給休暇の付与日数算出方法とは?注意点やトラブル、手間の減らし方を解説

有給休暇の適用対象

有給休暇は正社員やパート、アルバイト、派遣社員、有期雇用労働者のいずれも条件を満たせば付与されます。

労働基準法第39条の有給休暇についての規定は管理監督者も例外ではありません。

なお業務委託契約を結んでいる個人事業主は雇用関係にないため、有給休暇付与の対象外です。

働き方改革による有給休暇の取得義務化

2019年4月から、すべての企業・労働者(管理監督者を含む)に対して「年5日の有給休暇の確実な取得」が義務付けられています。

本制度により10日以上有給休暇を付与される場合、年5日は付与された日より1年以内に取得させることが必須となりました。

仮に4日1日に入社した社員が、10月1日の基準日に10日の有給休暇を取得する権利を得たとします。

使用者は翌年の9月30日までに時季を指定し、5日間の有給休暇を取得させる必要があります。

これに関しても、正社員だけでなくパート、アルバイト、派遣社員、有期雇用労働者など、有給休暇が10日以上付与された労働者すべてが5日の取得義務の対象となるため、注意が必要です。

すでに労働者が自ら時季指定し、取得した日数分は使用者が時季指定すべき5日のうちから差し引くことができます。

労働者に年5日以上の有給休暇を取得させられなかった場合、労働基準法第120条に基づき、30万円以下の罰金を払わなければなりません。

それだけでなく、企業の対応が不適切だとして労働者が労働基準監督署や弁護士などの外部機関に相談する可能性もあるでしょう。

ニュースになったりSNSで広まったりと、社会的信頼を失うリスクをもはらんでいるのです。

有給休暇は原則1日単位で使いますが、労使協定を結べば、1時間単位で与えられます。

関連記事:有給休暇の義務化とは?違反・罰則を防ぐ運用、取得してもらう方法を解説

管理職が部下に有給休暇を取らせるためにやるべきこと

以前は労働者の希望に合わせて有給休暇を取得してもらうのみで問題ありませんでしたが、これからは制度にのっとった計画的な有給の取得促進が欠かせなくなりました。

管理職は具体的には以下のようなことをする必要があります。

  1. 就業規則の有給休暇にかかわる内容の見直し
  2. 労使協定の有給休暇に関する内容の見直し・再締結
  3. 1.2の労働者への周知
  4. 年次有給休暇管理簿(表)の作成と保存

順に解説します。

1.就業規則の有給休暇にかかわる内容の見直し

休暇に関する事項は、就業規則において記載が必須の事項(労働基準法第89条)です。

使用者が有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲と時季指定の方法などを就業規則に明記します。

例えば以下のように記載できるでしょう。

(規定例)第○条

1項〜4項(略)(※)厚生労働省HPで公開しているモデル就業規則をご参照ください。

5 第1項又は第2項の年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、第3項の規定にかかわらず、付与日から1年以内に、当該労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。

ただし、労働者が第3項又は第4項の規定による年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。

出典:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説

2.労使協定の有給休暇に関する内容の見直し・再締結

働き方改革における5日以上の有給休暇取得は、「使用者における時季指定」、「労働者自らの請求・取得」「計画年休」のいずれかの方法で促します。

計画年休とは前もって計画的に休暇取得日を割り振る仕組みです。

使用者にとっては労務管理がしやすく、労働者にとってはためらわずに休暇を取得できるメリットがあります。

計画年休の導入には就業規則にて定めるほか、労使協定が必要です。

就業規則で定める場合、「労働者代表との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」などのように記載します。

計画年休を導入する際には、就業規則の定めに従い、労働者の過半数により組織する労働組合もしくは労働者の過半数を代表するものとの間で書面にて協定を締結しましょう。

労使協定では次の事項を定めます。

  1. 有給休暇の計画的付与対象者
  2. 対象となる有給休暇の日数
  3. 計画的付与の具体的な方法
  4. 有給休暇の付与日数が少ない者の扱い
  5. 計画的付与日の変更

計画休暇は「個人別付与」、「全社員一斉付与」、「各グループ別付与」と3つの方法があります。

例えばゴールデンウィークや年末に「全社員一斉付与」つまりすべての社員に同日に有給休暇を付与して、全社として大型連休にしたり、個人別で付与する場合は誕生日や結婚記念日に計画付与するなど、企業や事業場の実態に応じた方法で活用しましょう。

3.労働者への周知

就業規則の変更や労使協定を結んだ場合は労働者に周知する必要があります。

しかし、ただ機械的に周知されても労働者は日頃の業務に追われて、有給休暇の取得が難しかったり取得を忘れてしまうケースがあるでしょう。

そのため管理職は部署ごとの繁忙期を把握したり、前年度の個人ごとの有給休暇取得状況を確認して取得が少ない労働者や上司に声掛けをしたりして取得を促進する必要があります。

ただ単に周知するだけでなく、心身をリフレッシュし気持ちよく休暇を過ごせるような雰囲気づくりを日頃から行うことも大切です。

4.年次有給休暇管理簿(表)の作成と保存

使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、有給休暇を与えた期間とその満了後から3年間保存しなければなりません。

年次有給休暇管理簿は、会社の有給休暇の取得義務を達成しやすくするためのものであり、取得時期と日数およびその基準日を記載しておく必要があります。

なお管理簿は必ずしも紙媒体である必要はなく、いつでも出力できるものであれば独自のシステムでもかまいません。

年次有給休暇管理簿は労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができるため、勤怠管理システムでまとめられると便利です。

管理簿には以下の項目を盛り込むとよいでしょう。

  • 有給休暇付与基準日
  • 付与日数
  • 有給休暇取得時季

年次有給休暇管理簿を正しく作成し、状況を適切に管理・把握し、労働者の有給休暇取得を促進することが大切です。

有給休暇の取得を促進して企業の発展を目指そう

2019年4月から開始された働き方改革により、5日間の取得が義務づけられた有給休暇。

社員が心身ともにリフレッシュする機会があれば、新たなアイデアの創出やミスの防止などにつながるでしょう。

一方で管理職としては自身が有給休暇を取得するのみならず、社員の取得状況にも気を配る必要があります。

きちんと取得させられなければ会社の信用が落ち、世間より厳しい目を向けられるだけでなく採用にも支障をきたしてしまうかもしれません。

取り組むべき事項にしっかりと目を向け、社員が気持ちよく働ける会社の雰囲気を維持しましょう。

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