今回は、インフラ業界の採用育成について考えていきます。
インフラ業界に限らず、企業において人材の採用育成は最重要課題の一つです。
採用育成の難しい点は「業界特性に合った人材の採用」「新人をいかに早く戦力化するか」と異なるフェーズに対し、異なるアクションの精度を上げていく部分にあります。
特に、業界特性に合った人材の採用はスタート地点であり共通解がないため、悩みは尽きないでしょう。
「安定」のイメージがあるインフラ業界で採用育成を成功させるには何が必要でしょうか。
目次
インフラ企業の採用育成の悩みとは
そもそもインフラとは「インフラストラクチャー(下部構造)」の略であり、我々の生活を下支えするものを指します。
インフラ関連の企業は、大きく分けて、以下の四つです。
①エネルギー系インフラ:電気やガス、石油などを扱う事業
②交通系インフラ:鉄道やバス、航空機などの公共機関および道路整備などを扱う事業
③生活系インフラ:電話や水道、ごみ処理、テレビ・ラジオなどを扱う事業
④空間系インフラ:公共施設の管理(バリアフリー化)などを扱う事業
我々の生活に不可欠な業界で働くことは、社会貢献をより肌で感じることができ、やりがいを感じやすいでしょう。
また、インフラ業界は流行り廃りなどの変化に左右されにくい特徴もあります。
新規参入のハードルの高さがあることで、新規組との競争が少なく、安定を求める社会人にとっては理想の仕事と言えるかもしれません。
上記のような業界特性があるインフラ関連企業には、安定と現状維持を同義にしてしまっている採用候補者が少なからずいます。
つまり、「この業界に入れば成長せずとも(現状を維持しているだけで)安定してお給料が入り続けるものだ」と勘違いしてしまっているのです。
この世の中に変わらないものは存在しません。昨今の環境に鑑みれば、我々社会人の至上命題は、「いかにスピード感をもって環境変化に適応し続けられるか」だと言えます。
安定の意味を誤解している人を採用してしまうと、その成長意欲の薄さが影響して、育成でも苦労が絶えないという悪循環に陥ってしまいます。
では、どのような採用を心がければいいのでしょうか。
評価制度の整備が不可欠
人間は環境に大きく左右される生き物です。雨が降れば傘を指す、コロナが流行すればマスクをする。
環境変化→順応するための行動の順番です。
現状維持でも安定してお給料が入り続ける環境であれば、よほど意識が高い方を除き、変化は期待できません。
それゆえ、安定と現状維持を同義にしないでほしいことを求職者にきちんと伝えましょう。
採用広告や採用面談時に業界特性としての安定をアピールする際に、「現状維持は衰退と何ら変わりません。『この会社に入れば成長せずとも安定してお給料が入り続ける』という考えの人材は不要です。」と言い切れたらベストです。
ただ、入社前に強くメッセージを伝えてその気になったメンバーが入社しても、入社した後の環境が現状維持を許し安定してお給料が入り続ける状態だと真の変化は期待できません。
そこで、大切なのが評価制度の整備です。
多くの会社のコンサルティングをしていると、ほとんどの会社の評価制度は成長せずとも安定してお給料が入り続けるシステムになっています。
その原因はマイナス査定がなく、評価しない=給与が上がらないシステムにあります。
これはまさに現状を維持しているだけで安定してお給料が入り続ける環境そのものです。
うまくマイナス査定を取り入れることで、成長しなければお給料が安定して入り続けない環境を構築しましょう。
一方で、マイナス査定だけを取り入れると単純に不利益改定となってしまいますので、成長している人へのプラス査定をより大きくし、バランスを取ることで理想的な評価制度としてください。
評関連記事:価制度を徹底解説!【目的・種類・導入手順を人事向けに紹介】
識学的観点から見た採用育成論
評価制度を変え、明確なメッセージを発信するだけでも大きな変化は起きるでしょうが、まだ万全とは言えません。
さらに、採用責任者を立て、その採用責任者の責任と権限を明確に設定し、事実ベースで進行状況を定期的に(週1回ペースが理想です)管理することで、各種コンバージョンを引き上げる必要があります。
加えて、採用したメンバーをいかにロスなく成長させていくかは育成システムに大きく左右されます。
ここでも、育成責任者を立て、その責任者の責任(〇カ月以内に一人前に仕上げるなど)と権限を明確にします。
採用と同様、事実ベースで進行状況を週1回管理し、育成環境に再現性を持たせていきましょう。
いかがだったでしょうか。
人材探しに始まり、採用活動やその後の育成にも「責任者」「責任と権限の明確化」「事実での管理」を通じて再現性を持たせることで、採用育成を確かなものにしていくイメージは持てましたでしょうか。
今回はインフラ業界に絞ってお話をしましたので、「現状維持は衰退である」という事実をいかにメンバーにも認識させることができるかの重要性もご理解いただけたと思います。