管理職にとって、マネジメントに関する課題の悩みは尽きることはないでしょう。
現場の生産性向上や、企業としての利益拡大に貢献するためにも、マネジメントの課題解決は必須事項と言えます。
しかし、「マネジメントの課題をどう解決すればいいかわからない」「そもそも具体的な課題や問題点を把握できない」といった部分で立ち止まってしまう方も多いようです。
本記事ではマネジメントの課題と解決策、見つけ方までを具体例で提示しています。
目の前の課題に対してどのように対処すべきかのヒントが見つかるため、ぜひ参考にしてください。
目次
マネジメントの課題の具体例5選
マネジメントにおいて、よくある課題は以下の5つです。
ご自身もしくは部下に当てはまる内容がないか、確認してみましょう。
- 業務の課題がわからない
- 業務の生産性が上がらない
- 部下とのコミュニケーションが不足している
- 部下に対してパワハラ、モラハラが横行している
- マネジメントをする時間がない
業務の課題がわからない
マネジメントをする上で欠かせないのが、業務課題の把握です。
管理職が業務の課題を理解していない場合、部下からの信頼は確実に得られません。
なぜなら、実務がわからない上司に話しても、時間の無駄だと思われてしまうためです。
また、業務を把握する気がない、頼りにならないと判断される可能性もあります。
自分が実務を担当していた頃、業務を把握していない上司ほど頼りにくい存在はいなかったはずです。
部下をマネジメントする上でまず重要なのは、職場の問題把握と言えます。
業務の全体像を把握して、初めて課題解決が進むのです。
業務の生産性が上がらない
マネジメントの課題として多いのが、業務の生産性が上がらない点です。
生産性が上がらない理由の一つとして、適切な人員配置ができていない可能性が挙げられます。
たとえば、進捗管理に長けている部下に対して、細かい事務作業をお願いしてしまうのは非効率です。
また、逆に細かい業務に気を配れる部下に、大きな枠組みを考えるミッションを与えても、時間ばかりが過ぎてしまうでしょう。
特に、管理職が部下の意向や意見に耳をかたむけていないと、企業自体への不安や不満に直結します。
部下の性格や秀でている部分を見つけて、生産性向上につなげるのが管理職の仕事です。
関連記事:組織マネジメントとは?個々の能力を引き出し生産性を上げる方法
部下とのコミュニケーションが不足している
マネジメントをする上での課題としてランキング上位に挙がるのが、コミュニケーション不足です。
部下との積極的なコミュニケーションは、日頃の仕事の取り組み方や悩みの解消にとって欠かせない要素でしょう。
しかし、上司が目の前の業務にばかり注力してしまったり、感情的になってしまったりすれば、部下との円滑なコミュニケーションは取れません。
話を聞いてもらえる安心感を与えるためにも、日頃の挨拶から積極的にコミュニケーションをとる意識が大切です。
上司からの声かけによって部下は「管理職がしっかりと自分を見てくれている」と安心感をもつため、仕事へのモチベーションアップにつながります。
部下に対してパワハラ・モラハラが横行している
昨今のマネジメントの課題として挙げられるのが、上司から部下に対するパワハラやモラハラです。
有名な例として、2016年に報じられた電通の管理職によるパワハラ問題があります。
部下に対して公然と営業成績を侮辱し、無理難題といえる営業結果を出すように指示し追い詰められた部下は、100時間を超える残業を続け自殺に追い込まれてしまいました。
部下へのマネジメントで重要なのは、「パワハラ・モラハラに値しないラインはどこか」という線引きです。
部下の個性はそれぞれ異なるため、一人ひとりに適した態度や発言に気を配る必要があります。
マネジメントの立場として、業務量は適切か、過度なプレッシャーとなる発言をしていないか、自分の素行を見直しましょう。
関連記事:パワハラを防ぐマネジメント術
マネジメントをする時間がない
個々の業務量が多い企業の場合、上司がプレイングマネージャーと化してしまい、マネジメントを行なう時間が取れていないケースがあります。
また、本来部下に任せるべき業務を「部下に任せるのが怖い」と判断し、管理職本来の仕事であるマネジメントが疎かになっている場合も考えられます。
管理職の業務は、部下の業務管理や進捗管理など全体のマネジメントとサポートです。
人材不足によって一時的に実務を担当する場合もあるでしょうが、管理職がマネジメントできなければ、業務の生産性は上がりません。
そのため、管理職は「マネージャーとしての職務を全うする」ためにも、自分が抱えている業務を部下の特性に合わせて割り振り、部下と一緒にワークフローの定期的な見直しを図り、改善する必要があります。
マネジメントにおける課題解決策6選
マネジメントの課題をクリアするのは簡単ではありませんが、以下の6つを実行すると解決への糸口が見えてきます。
- 業務課題の洗い出し・見える化
- 部下とコミュニケーションの活性化
- 適切な人員配置
- 社員一人ひとりと面談・職場アンケートの実施
- 風通しのよい職場環境を作る
- 上司が仕事を抱えない
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業務課題の洗い出し・見える化
マネジメントの課題が見えていない管理職は、まずは業務課題の洗い出し・見える化に着手しましょう。
業務を詳細に把握できるほか、誰が業務において悩みを抱えているのかなどの全体像が把握できます。
たとえば、部下に業務の内容や実態についてヒアリングする時間を設け、1枚の紙に落とし込むだけで、これまで気づかなかった課題が見えてくるはずです。
また、課題の言語化により、管理職と部下との間で業務の情報共有もできるようになるため、進捗確認も容易になります。
部下とコミュニケーションの活性化
マネジメントの課題を把握する上で欠かせないのが、部下とのコミュニケーションです。
日頃から部下とのコミュニケーションを心がければ、お互いに信頼関係を構築できます。
コミュニケーションを活性化できると、部下からの業務に関する相談や意見をもらいやすくなり、早期に課題や改善点が見つかります。
アドバイスや改善ができれば、結果として納期遅れや、クオリティの未達などといったトラブルの事前防止も可能です。
また、部下との円滑なコミュニケーションにより、職場全体の風通しも良くなります。
些細なことでも発言しやすい職場環境となれば、企業の業績アップにも貢献できるでしょう。
適切な人員配置
部下のマネジメントで重要なポイントは、適切な人員配置です。部下によって業務の向き不向きがあります。
それを踏まえた配置にすることで、生産性やモチベーションの向上につながり、結果として目標達成にも寄与できるでしょう。
たとえば、営業が上手い人でもITに疎い人、ITに強くて営業に苦手意識がある人など、得意不得意はさまざまです。
管理職として部下の性格や特性を把握した上で、成果を挙げるために適切な人員配置を行ない、業務の安定化に向けた最適化が大切となります。
適切な人員配置は管理職、部下にメリットがあるだけでなく、企業にとっても安定した職場環境を作る上で重要です。
社員一人ひとりと面談・職場アンケートの実施
部下一人ひとりと面談をしたり、職場アンケートを実施したりと、部下からの意見を引き出す機会を設け、進捗の遅れやタスクの不備など、トラブルの未然防止に努めましょう。
他メンバーの目が気になる部下もいるので、個別に相談できる場を設けたり、アンケートをとってもらった方が、本音を言いやすい傾向にあります。
個人の意見からは、表面には出ていない問題や人間関係など、マネジメントをする上で重要な情報が得られます。
チャンスと捉えて積極的な導入検討がおすすめです。
風通しのよい職場環境を作る
マネジメントする上で課題はつきものです。
しかし、風通しのよい職場環境を作ることで部下との間で意思疎通がしやすくなると、業務上のトラブルが未然に防止できます。
たとえば風通しが良い職場の場合、部下一人にミーティング時間の変更を伝えれば、担当メンバーに情報が行き渡るでしょう。
反対に管理職の姿勢が後ろ向きで閉鎖的だったり高圧的だったりする場合、信頼に値しないと判断され、ぎこちない職場環境となってしまいます。
風通しのよい職場環境を構築するには、部下との信頼関係構築は必須です。
上司が仕事を抱えない
仕事を抱えない上司こそ、チームのマネジメントの課題解決において重要な存在です。
なぜなら、広い視点で業務を見渡す余裕こそが、最大限の成果を挙げるポイントになるためです。
実務に忙殺されるのではなく、部下の業務を見守りつつ、進捗管理やチームの課題を見つけて解決に向けて動くのがマネジメントの大切な役割と言えます。
現場の業務は部下に任せ、部下が安心して業務を行なえる環境づくりを心がけましょう。
マネジメントの課題を解決するために必要な3つの能力
マネジメントは抽象的で難しいイメージがありますが、以下3つの能力を習得すれば、課題に直面しても解決に向けて動き出せます。
- 目標設定能力
- 進捗管理能力
- コミュニケーション能力
目標設定能力
目標設定能力とは、チーム内の目標を設定・共有し、達成に向けたタスクをマネジメントする能力です。
ミッションを期限内にクオリティ高く達成するためには、チームの目標・部下一人ひとりの目標が同じ方向で設定されている必要があります。
ただし、高過ぎたり、低過ぎたりする目標設定はチームとしての成長につながりません。
また、不明確な目標を掲げても、ついてくる部下は少ないでしょう。
たとえば、新規顧客の獲得を目指す営業職の場合、従来月10件/人がノルマのところを、明確な理由を告げずに100件/人に設定しても、単に疲弊してしまうだけです。
チームとしての成果と成長を目指すための適切な目標設定能力が、マネジメントでは重要となります。
進捗管理能力
進捗管理能力は、チームとしての業務を滞りなく遂行するために重要です。
そのためには、スケジュールの逆算や、求められる結果を見える化して共有する必要があります。
特に、部下一人ひとりに合わせたタスク設定と細かい進捗の確認は、スムーズな業務の進行に有効です。
たとえば、プレッシャーに弱い部下に裁量権の大きい業務を割り振っても、プレッシャーで進捗が遅れる可能性があります。
また、クリエイティブな発想を持ち味とする部下に事務的で細かい作業を割り振っても、不満のもととなるでしょう。
スムーズな業務進行のためには、ただ進捗を管理するだけではなく、「適切なクオリティ、スケジュールで進捗が可能な割り振りを行う」ことが重要です。
これにより、チームとしての機能を十分発揮できるようになります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、マネジメントの課題解決において基本的であり、もっとも重要と言える能力です。
主体的に部下とコミュニケーションを取ることで、部下から意見や悩みを吸い上げることができ、課題の早期解決につながります。
たとえば、部下から上司に直接業務の悩みや不明点を確認するのはハードルが高いかもしれません。
しかし、上司から問いかける分には、答えやすく場の雰囲気も良くなるでしょう。
部下が行き詰まっている際は積極的にアドバイスを行ない、業務遂行まで寄り添う姿勢が見せられれば、部下からの信頼度も高まります。
まとめ
マネジメントの課題は日常的に発生するため、常に頭を悩ませる難しい問題です。
しかし、適切なマネジメント方法と解決策を実施できれば、着実に前に進められます。
昨今、パワハラやモラハラの問題でマネジメントは難しくなりましたが、管理職がコミュニケーションを意識していけば、部下も自ら相談や意見を求めるようになるものです。
積極的なコミュニケーションによって職場環境は良いものになっていき、部下の働きがいにもつながります。
まずは、マネジメントの第一歩として、積極的なコミュニケーションから取り組んでみてはいかがでしょうか。