ChatGPTは入力した質問やデータを理解し、回答を出してくれる対話型のAIチャットツールです。簡単な計算や情報の検索はもちろん、文章の作成や要約、プログラミングなどの高度な処理を依頼することもできます。
ChatGPTは、エクセル上で活用することも可能です。エクセル上でChatGPTを活用すれば業務の効率化が図れたり、より簡単にエクセル作業を行うことができたりします。
本記事では、ChatGPTがエクセル上でできる8つのことや活用する際のポイントを詳しく解説します。
目次
ChatGPTを活用すればエクセルでの作業を効率化できる
ChatGPTは、人間のような会話ができるチャットツールです。AIに関する研究機関であるOpenAI社によって開発、2022年11月に公開されました。まるで人間が回答しているかのような、自然で精度の高い答えを導き出してくれることから注目が集まっています。
ChatGPTは情報の収集や文章の作成も可能な上に、エクセル上で活用することも可能です。インターネット上にある膨大なデータを基に学習しているため、必要な情報を瞬時に提供してくれます。
エクセルの使い方や関数に関する質問にも答えてくれるため、うまく活用して業務を効率化しましょう。次の項目では、ChatGPTがエクセルでできることについて具体的に解説します。
ChatGPTがエクセルでできる8つのこと
ChatGPTを活用すれば、エクセル関数の使い方やデータ分析方法、便利なショートカットなどを教えてもらえます。
ここでは、ChatGPTがエクセルでできることについて詳しく解説しますので、仕事や日常でエクセルを利用している人はぜひチェックしておきましょう。
1. 関数の使い方に関する質問への回答
ChatGPTにエクセル関数の使い方に関する質問をすれば、インターネットなどを使って自分で調べるよりも早く回答が得られます。単純に「エクセル関数の使い方を教えてほしい」などと質問すれば、以下のような回答を得られるでしょう。
- 関数を入力したいセルを選択する
- 2セルに「=」を入力する
- 使用したい関数名(SUM関数・AVERAGE関数など)を入力する
- 関数の引数(計算対象となるセルや文字列など)を入力する
ChatGPTは、インターネット上に公開されている関数についての情報を基に、適切な回答を導き出してくれます。膨大な情報をコンパクトにまとめてくれるため、素早く理解できるでしょう。
特定の関数の使い方について質問することも可能です。例えば、「AVERAGE関数について教えてほしい」と質問すれば、以下のような回答が得られます。
- AVERAGE関数は数値の平均を算出する関数です。
- 「=AVERAGE(G1:G100)」と入力すれば、セルG1〜G100の平均を算出できます。
例などを挙げながら分かりやすく説明してくれるため、難しい関数の使い方もすぐに把握できるでしょう。
2. エクセルで行いたいことに対する提案
ChatGPTに対してエクセルでどのような処理を行いたいかを伝えれば、目的に合った提案をしてもらえます。行いたい処理は決まっているけれど、どのような操作が適切なのか不明な場合には、質問してみると良いでしょう。
以下、具体例を紹介します。
使用する関数の提案
セルに数値データや文字列を入力したものの、適切な処理方法や関数が分からない場合は、ChatGPTに質問してみましょう。
例えば、「出席番号を入力すればテストの点数が返ってくるようにしたい」と質問すれば、「VLOOKUP関数を使いましょう」といった回答が得られます。
さらに、その関数の使い方まで丁寧に説明してくれます。セルの選択方法や入力方法、便利な活用方法まで詳しく教えてくれるため、すぐに問題が解決できるでしょう。
データ分析や情報整理についての提案
ChatGPTに対して、データ分析や情報整理について相談することも可能です。データや情報は収集できたものの、適切な分析手法や整理の方法が分からない場合は、ChatGPTに相談してみましょう。
例えば「商品ごとにどのような年齢層のユーザーに購入されているか分析したい」と相談すれば、具体的な分析方法や視覚的に分かりやすく整理する方法を教えてもらえます。
適切なグラフやチャートを提案してもらうことはもちろん、表の作成やデータ整理を依頼することも可能です。
3. エクセル上での作業の方法やTipsの提案
ChatGPTに、エクセル上での作業を効率化する方法やTipsについて教えてもらうことも可能です。具体的な質問でも曖昧な質問でも、ChatGPTは役立つ回答を返してくれます。
例えば「エクセルに関するTipsについて教えてほしい」などと質問してみると、以下のような役立つテクニックを教えてくれるでしょう。
- 複数のセルに数値をコピーする方法
- 列や行の幅を簡単に調整する方法
- 数値が入力されているセルまで移動する方法
それぞれの方法についても具体的に解説してくれるため、実践的な操作スキルを習得できます。意外と知らなかったテクニックを教えてもらえるケースもあるかもしれません。
操作方法についての具体的な質問をすることも可能です。例えば「入力された数値をコピー&ペーストするショートカットを教えてほしい」と相談すれば、次のような回答を得られるでしょう。
- コピーしたセルを選択する
- Ctrlキーを押しながらCキーを押す
- コピー先のセルを選択する
- Ctrlキーを押しながらVキーを押す
丁寧に解説してくれるため、すぐに操作手順を理解できます。
4. エクセル上での表の作成
エクセルを使って表を作成するのも、ChatGPTに依頼してみましょう。ChatGPTに数値や文字列を渡し、どのような表を作りたいのかを伝えれば、素早く作成してくれます。
ChatGPTに渡す数値や文字列は、バラバラとしていても問題ありません。例えば「りんご 100円 みかん 60円 ぶどう 200円 梨 150円」といったデータを渡して「テーブル形式でまとめてほしい」と依頼すれば、以下のような表を作成してくれます。
商品名 | 価格 |
りんご | 100円 |
みかん | 60円 |
ぶどう | 200円 |
梨 | 150円 |
商品名、価格といった言葉もある程度は自動で判断して入力してくれます。イメージと違う場合は、「商品名を果物名に変更したい」などと修正を依頼することも可能です。
他にも、表のテンプレートのみを作成してもらうこともできます。「在庫管理に役立つテンプレートがほしい」「売上情報を分かりやすく管理するための表を作成したい」などと依頼すれば、すぐに準備してくれるでしょう。
5. 表の内容をいくつかのジャンルに分類
表の内容をいくつかのジャンルに分類したいときは、ChatGPTに依頼するのがおすすめです。自分で分類するよりスムーズに作業を進められます。
簡単な例で見てみましょう。
No. | 商品名 |
1 | りんご |
2 | かぼちゃ |
3 | みかん |
4 | ぶどう |
5 | にんじん |
6 | 梨 |
ChatGPTに、上の表にある商品を野菜か果物かに分類してもらうよう依頼すると、以下のような結果を得られます。
No. | 商品名 | 分類 |
1 | りんご | 果物 |
2 | かぼちゃ | 野菜 |
3 | みかん | 果物 |
4 | ぶどう | 果物 |
5 | にんじん | 野菜 |
6 | 梨 | 果物 |
エクセル関数の場合、数値を認識することはできますが、言葉の意味やジャンルを理解することはできません。ChatGPTは、インターネット上にある膨大なテキストデータを読み込んで学習しているため、言葉の意味やジャンルを理解して分類することが可能です。
表形式にするのか、箇条書きにするのか、といった表示方法も指定できるため、作業を効率化できるでしょう。
6. セル内の住所や姓名などのデータを分割する
ChatGPTを活用すれば、同一セル内に記載された住所や姓名などのデータを簡単に分割できます。例えば、一つのセルに東京都新宿区西新宿◯丁目1-2と住所が入力されているケースを考えてみましょう。
エクセル関数などを使って分割することはできないため、基本的には手作業で再度入力しなければなりません。
ここでChatGPTを活用すれば、以下のようにデータを一瞬で分割できます。
都道府県 | 市区町村 | 番地 |
東京都 | 新宿区西新宿 | ◯丁目1-2 |
ChatGPTは言葉の区切りを認識でき、都道府県や市区町村などを正確に分けられます。どのように分割するかは細かく指示できるため、好みの形式でまとめてもらえるでしょう。
また、姓名を分割したり、長い文章から必要な要素をピックアップして一覧表にしたりすることも可能です。
7. VBAコードの提案
ChatGPTを活用すれば、VBAコードの提案をしてもらえます。VBA(Visual Basic for Applications)とは、エクセルの拡張機能で、簡易的なプログラムを記述することで複雑な処理の自動化などを図る仕組みのことです。
VBAを使えば、オリジナルの機能を追加したり面倒な処理を自動化できたりします。自分で作成するのが面倒な場合は、ChatGPTにVBAの作成を依頼すると良いでしょう。
例えば「便利なVBAを教えてほしい」などと依頼すれば、入力された数値から平均値を算出するVBAや、最大の数値を抽出するVBAなどを教えてくれます。
処理したい内容が決まっている場合は、「入力された数値から相加平均を算出したい」といったイメージで具体的に依頼すれば、目的に合ったVBAを作成してくれるでしょう。
8. VBAやプログラムのバグチェック
ChatGPTは、新しいVBAやプログラムを作成できるだけではなく、バグのチェックも可能です。せっかくVBAを作成したのに思い通りに動かず、どこが問題なのかも分からないケースもあるでしょう。ChatGPTに依頼すれば、すぐにバグを発見して修正してくれます。
自分で作成したVBAを渡して、「バグをチェックしてほしい」と依頼すれば、問題のある箇所や修正方法を教えてくれます。複雑なプログラムについても瞬時に理解して修正内容を教えてくれるため、VBA作成やプログラミングがスムーズに進むでしょう。
エクセルでChatGPTを活用する際に押さえておくべきこと
エクセルでChatGPTを活用するなら、関数やVBAについて基本的な知識を持っておきましょう。ChatGPTが出した回答について、自分で確認することも大切です。
ここでは、ChatGPTを活用する際に押さえておくべきことを紹介します。
基本的な関数やVBAの知識は必要
ChatGPTを活用する場合でも、関数やVBAに関する基礎知識は必要です。何も知らない状態では作成を依頼することが難しいだけではなく、ChatGPTが作成した関数が正しいかどうかを判断することもできません。
簡単な修正については自分で行う必要があるケースも多いため、ある程度の知識は持っておきましょう。
必ず正しい情報になるか確認する
ChatGPTが作成したデータやプログラムについては、自分の目で正しいかどうかを確認しなければなりません。
ChatGPTは高度な処理が可能ですが、インターネット上の情報を基に学習しているため、その元情報が間違っている場合は、ChatGPTが導き出す解答も間違ったものになってしまいます。
ChatGPTが出す答えは、必ず正しい訳ではないことを覚えておきましょう。
求めている回答が得られないケースもある
ChatGPTから期待していた回答が得られないケースもあります。1回でうまくいく場合もありますが、求めていた形式ではない、表現方法が間違っているといったケースもあります。再度、修正の依頼をする必要も出てくるでしょう。
エクセル上でChatGPTを活用できるアドインも
エクセル上で簡単にChatGPTを使えるようになるアドインもあります。アドインとは、エクセルにさまざまな機能を追加してくれるツールのことです。
ChatGPTに関するアドインを追加すれば、エクセルのワークシート上で質問や依頼をできるようになります。複数のツールを開く必要がなくなり、スムーズに作業できるでしょう。
ただし、公式のアドインはありません。エクセル上で問題が発生する可能性もあるため、使用するかどうかは自分の責任で決めるようにしましょう。
ChatGPTを活用してエクセルの作業を効率化しよう
ChatGPTを活用すれば、エクセル関数の使い方や便利なショートカットを教えてもらえるだけではなく、VBAの作成やデータの分割なども依頼できます。自分で行うより効率よく作業が進むケースも多いため、うまく活用しましょう。
ただしChatGPTを活用するときは、正しい結果かどうか必ず自分の目で確認しなければなりません。ChatGPTが出した答えは、絶対に正解であるとは言い切れないためです。
インターネット上の情報が間違っている場合、ChatGPTが出す解答も間違ったものになってしまいます。
期待していた回答とは異なるケースもあるため、必要に応じて修正を依頼してトライ&エラーを繰り返します。ChatGPTだけに任せすぎず、最終的なところは自分たちで確認しながらうまく共存していくことが望ましいでしょう。