飲食店の運営にはアルバイト社員の活用が欠かせません。しかし、
- 「いつまでたっても仕事を覚えてくれない」
- 「できなかったときに言い訳が多い」
- 「ミスはその都度指摘して正しいやり方を教えているのに、何度も同じミスを繰り返している」
など、戦力であるはずのアルバイトがいつの間にか厄介な存在になっている会社もあります。
もしそうなら、速やかに状況を改善しなければならないでしょう。
アルバイトが自ら考え、動いてくれるためにマネジメント側に必要なものは何でしょうか。
目次
アルバイトが仕事を覚えない本当の理由
「アルバイトが戦力になってくれない」と嘆く前に、やるべきことをしましょう。
もしかしたら、マネジメントする側に問題があるかもしれないからです。
あなたは、アルバイトがミスをするたびに注意し、やり方を教えるだけの指導に終始していませんか。
それではアルバイトは仕事を覚えてくれません。
失敗するたびに誰かがやり方を指示してくれたり、教えてくれたりする状態になっていると、アルバイトは「指示があるまで仕事をしなくてよい」「分からなければすぐに聞いてしまおう」という考え方になっていきます。
アルバイトにとっては自分で考えなくても物事が進む環境になっていくのです。
つまり、アルバイトは仕事を覚えられないのではなく、覚えなくてもよい状態になっているだけです。
では、どうすればこの状況を改善できるでしょうか。
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アルバイトが仕事を覚えるために必要なもの
あなたの組織にはアルバイト向けのマニュアルやルールはありますか。
もしなければ、まず取りかかるべきはマニュアルやルールを作ることです。
「アルバイトも覚えることを嫌がるだろうし、作るにも手間もかかる。その都度教えた方が効率的だ」
残念ながらその考えは間違いです。
アルバイトの最低限の役割は、数値目標などのある正社員と異なり、決められた仕事を決められた通りにミスなく実行することです。
仕事やその手順を正しく理解することがアルバイトには必要であり、そのためにはマニュアルやルールの整備は欠かせません。
また、一度教えられたことでも忘れることもあるので、マニュアルやルールがないと仕事の方法に迷ったときに確認する先もなく、仕事を正しく覚えるまでに時間がかかり、何度もミスの指摘を受けるようになります。
教えられたことや教わっていないことも判断しにくくなるはず。
指摘に対して「言った」「聞いていない」という状態が多くなれば、仕事を覚えた頃にはマネジメント側とアルバイトの関係も悪化しているかもしれません。
マネジメント側も基準がない環境での育成は迷いが出るでしょう。
アルバイトをマネジメントすることに精神的なストレスを感じることが多くなると、管理職になることに抵抗を感じる社員が現れても仕方がないと言えます。
つまり、マニュアルとルールがある方がマネジメント側もアルバイトも余計なストレスなく仕事ができるのです。
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マニュアルやルールに必要なことは
マニュアルやルールの内容も重要です。
「整理整頓しよう」「元気な挨拶しよう」のようなルールでは、人によって捉え方にずれが起きてしまいます。
アルバイト側は守っているつもりでも、マネジメント側からは守っていないと見えるようでは問題です。
このような状態でアルバイトを注意しても反論や不満が出て、注意する側や注意される側の双方にとって後味の悪い雰囲気になってしまいます。
そのような状態にならないためには、マニュアルやルールの「期限」と「状態」を明確にして、解釈にずれが起きない内容にすることが必要です。
例えば、下記のようにします。
お客さまが来たときには(期限)、立ち止まり、お客さまの顔を見て「いらっしゃいませ」と発声しお辞儀をする(状態)
その上で、守れていない場合は、注意し、修正させる必要があります。
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アルバイトを戦力にするには
ミスをしたアルバイトに理由を聞くと「知りませんでした」「教えてもらっていませんでした」などの言い訳が出てくることはありませんか。
そのときの対応として、その場でやり方を教えて、「次からちゃんとしてよ」と注意しても、また同じミス起こすと「忘れていました」などまた言い訳が次々と出てくることでしょう。
言い訳は言おうと思えば際限なく出てきます。
ここで重要なことは、ミスを責めるのではなく、マニュアルやルールを覚えていないことを指摘することです。
知らない、教えてもらっていない、忘れたで済ますのではなく、分からなければマニュアルやルールを調べてでも仕事を実行しなければいけないことを正しく理解させてください。
アルバイトにはマニュアルやルールを覚え、時には自分で調べて考え行動することを求められているという認識を持たせる必要があります。
もちろん、マニュアルやルールを調べた上で分からないことがあれば、マネジメント側に聞くことは問題ありません。
ただし、マニュアルやルールを確認せず、何もかも聞こうとする態度は間違いだとも伝えましょう。
また、指摘のたびに、マネジメント側がマニュアルやルールの中身を必要以上に教えたり、説明したりすると言われたことをやるという思考になってしまうので注意してください。
そうならないためにも、ミスの指摘をした後は、マニュアルやルールを自分で確認させ、自ら考え修正させる経験が大事です。
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マニュアルを覚えないアルバイトの対応
アルバイトは決められた仕事を決められた通りに実行することを求められる立場なので、いつまでたってもマニュアルやルールを覚えられない人はアルバイトとして機能できる状態ではないかもしれません。
そんなアルバイトに対しては、マニュアルを覚える気があるのに覚えられないのか、そもそも覚える気がないのかを確認します。
そのために、マニュアルやルールのなかでもあいさつや身だしなみなど、能力に関係なく誰でも守れるルールを守らせてください。
やろうと思えば誰でもできるルールを守らないということは、ルールを守る気もマニュアルを覚えるつもりもないと判断できます。
このような状態のアルバイトには改めてルールを守る気があるか、覚える気があるかを確認し、それが約束できないようであれば残念ながらやめてもらう方向に進めるしかありません。
こうした事態を防ぐために、管理職はアルバイトの採用時にマニュアルやルールを示して、理解させた上で入社させることも忘れないでください。
嘆く前にできることをしよう
アルバイトの戦力化に必要なことをまとめると、以下の7つとなります。
- 「期限」と「状態」を明確にしたマニュアルとルールを準備する。
- アルバイトにはマニュアルやルールに従い仕事をする役割であることを理解させる。
- 管理者にはアルバイトにルールを守らせることが役割であることを理解させる。
- 最初に、あいさつや身だしなみなどのできる、できないが存在しないルールを守らせる。
- アルバイトにはすべてのマニュアルやルールを覚えさせ、守らせる。
- ミスの指摘はマニュアルやルールを覚えていないことを指摘する。
- アルバイト自身にマニュアルやルールを確認させ、自らミスを修正してもらう。
厄介な存在になっているアルバイトがいたら、はずれのアルバイトをつかんでしまったと嘆くのではなく、上記のことを実践して戦力となるように育成していくことが大事です。
アルバイトの育成により管理職自身も成長を感じることができれば、マネジメント職としてのキャリアをイメージできるように変化していくでしょう。