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離職率の平均は?離職率が高い会社の特徴や、効果的な改善方法を紹介

正社員の離職率の平均

正社員は日本の雇用形態の一つですが、実は世界的にも珍しい制度であり、日本の雇用環境の特色が反映された制度といえます。

終身雇用が根付いていた日本において、正社員という制度は「安定した人生のシンボル」と認識されてきました。

しかし、近年では日本の雇用環境も欧米社会のように流動性が高まり、正社員でも離職する人は珍しくありません。

この記事では、正社員の定義について解説した上で、現在の離職率の平均や、正社員の地位にあるにもかかわらず離職してしまう理由、そして正社員の離職率を防ぐための対策についてお話ししていきます。

関連記事:日本企業の離職率の平均はどれくらい?【離職率を改善する方法も紹介】

離職率とは

離職率は、特定の期間内においてどれだけの従業員が離職したかを示す数字のことです。

離職率が高いほど、その企業は離職する従業員が多いということになります。

一般的に、離職率が高い企業は「組織内に何らかの問題がある」というネガティブなイメージがつきものです。

一方で離職率が低い企業は、働きやすい環境であることが予測され、ポジティブなイメージとなります。

離職率は就職四季報などで記載されるため、採用に大きな影響を及ぼし、採用活動にも少なからず影響するものです。

ただし、離職率は1つの指標に過ぎません。離職にはさまざまな背景があります。

自社の離職率について考える際は、自社特有の事情や環境を考慮し、客観的な視点で分析することが大切です。

離職率の計算方法

離職率を算出する際に、特定のルールは存在しません。

一方で厚生労働省が『厚生労働省』で使用している離職率は、以下の計算方法で算出されています。

離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%)

なお、厚生労働省は「離職者」「離職率」「常用労働者」について、『雇用動向調査』の中で以下のように定義しています。

  • 離職者:常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者をいい、他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除く
  • 離職率:常用労働者数に対する離職者の割合のこと
  • 常用労働者:期間を定めずに雇われている者、または1ヶ月以上の期間を定めて雇われている者

常用労働者にはパートタイム労働者も含まれるため、パートタイム労働者が多い飲食業やサービス業では、離職率が高くなる傾向があります。

【業界別】日本の離職率の平均

厚生労働省の『令和5年雇用動向調査』によれば、2023年の日本の離職率は15.4%でした。

また、ここ10年の離職率は15%前後で推移しているようです。

一方で、2023年の業界別の離職率は以下の通りとなっています。

産業分類 離職率(%)
サービス業 23.1
複合サービス事業 7.8
医療・福祉 14.6
教育・学習支援業 14.8
生活関連サービス業・娯楽業 28.1
宿泊業・飲食サービス業 26.6
学術研究・専門技術サービス業 11.5
不動産業・物品賃貸業 16.3
金融業・保険業 10.5
卸売業・小売業 14.1
運輸業・郵便業 10.3
情報通信業 12.8
電気・ガス・熱供給・水道業 10.4
製造業 9.7
建設業 10.1
鉱業・採掘業・砂利採取業 9.2

離職率が最も低いのは複合サービス事業で7.8%でした。複合サービス業には郵便事業、銀行窓口業務、保険窓口業務などが挙げられます。

そして離職率が最も高いのは生活関連サービス業・娯楽業で28.1%です。パートタイム労働者の割合が大きいことが、離職率に反映されていると考えられます。

企業の離職率を分析する際は、産業別の平均離職率を基準にするといいでしょう。

正社員の離職率の平均について

厚生労働省がまとめた『令和3年雇用動向調査結果』によると、正社員の離職率は13.9%という結果が出ています。

パートタイム労働者の離職率である21.3%と比較すると、やはり離職率は低いようです。

ただし、パートタイム労働者の場合はもともと一定期間しか働く予定がない労働者も数多くいるので、勤め先への不満や待遇面が原因で離職しているとは限りません。

たとえば、学生のパートタイム労働者は卒業と就職を機に離職していくのが一般的です。

一方で、雇用期間の定めのない正社員の場合は、寿退社や病気が原因の退社などを除けば、勤め先に不満があって辞めていたり、他にもっと魅力的な企業があって転職したりしていることを意味します。

したがって、正社員を雇用している企業としては、正社員が離職してしまう理由・背景についてしっかりと把握しておくべきでしょう。

離職率の高い職場の特徴・離職理由は?

離職率の高い職場には共通の特徴が見られます。

具体的には以下の通りです。

  1. 職場環境・人間関係の不満
  2. 給与・待遇への不満
  3. キャリアアップの機会不足
  4. 労働時間・ワークライフバランス
  5. 職務内容の不満
  6. 企業の経営状況・将来性への不安
  7. 転勤や異動による生活環境の変化

それぞれ詳しく解説していきます。

1.職場環境・人間関係の不満

職場の雰囲気や人間関係が良好でない場合、社員はストレスを感じやすくなります。

上司と部下のコミュニケーションがうまくいっていなかったり、いじめ・嫌がらせがある、同僚間の競争が激しいなどは、いずれも働く意欲が失われる要因です。

職場での人間関係が悪化すると、精神的な負担が大きくなり、社員のパフォーマンス低下や健康問題につながる可能性があります。

2.給与・待遇への不満

給与や待遇が不十分だと感じる社員は、離職を考える傾向があります。

特に、同業界や同規模の企業と比較して給与が低い場合や、働いた時間・労力に対して報酬が見合っていないと感じる場合、社員は不満を抱きがちです。

また、福利厚生が不十分だったり、賞与や昇給が期待できない状況も、社員の離職を促す要因となりえます。

3.キャリアアップの機会不足

キャリアアップの機会が不足していると感じる社員は、自己成長のために他の企業への転職を考えることがあります。

特に、昇進や昇格の機会が限られている企業では、自分のスキルや能力を十分に活かせないという無力感を感じるでしょう。

また、業務範囲が狭く、新しいチャレンジができない環境も、社員のやりがいを損ないます。

4.労働時間・ワークライフバランス

長時間労働や休日出勤が多い職場では、社員のワークライフバランスが損なわれてしまうことがあります。

これが原因で家庭やプライベートの時間が十分に取れず、ストレスが蓄積されるなど、離職を考えるきっかけになるのです。

また、長時間の労働が続くと、社員の健康や生活リズムに悪影響を及ぼしてしまうこともあり、本人の意図とは関係なく離職せざるを得ない状態に陥ることもあるでしょう。

関連記事:ワークライフバランスとは?従業員や企業のメリットや注意点、導入事例を徹底解説!

5.職務内容の不満

仕事内容が単調でやりがいを感じられない場合や、自分のスキルに見合わない業務が多い場合、社員は職務内容に不満を抱くことがあります。

また、新しいチャレンジや責任を希望する社員に対して十分な機会が与えられない場合も、離職を考える要因となります。

6.企業の経営状況・将来性への不安

企業の業績が悪化している場合や、経営陣に信頼が持てない場合、社員は安定した雇用がこの先も期待できるわけではないと判断し、転職を考えることがあります。

また、企業の将来性が不透明であったり、成長が見込めない場合も、社員はキャリアの安定や将来の収入を確保するために他の企業への転職を検討するなど、離職要因となるのです。

7.転勤や異動による生活環境の変化

転勤や異動によって家族と離れ離れになる場合や、子供の教育環境が変わる場合、社員は生活環境の変化に対処しきれず、離職を検討することがあります。

また、配偶者の仕事に影響が出ることや、転居に伴う費用負担が大きい場合も、転職を考える要因です。

離職率が高い企業はどうなる?

離職率が高い企業は以下の3つの問題が発生しやすくなります。

  • 労働環境が悪化する
  • 人材の採用・育成コストが増加する
  • 企業イメージが悪くなる

それぞれ詳しく解説していきます。

労働環境が悪化する

離職率が高い企業は、労働環境が悪化しやすくなります。従業員の離職が進んで、人材不足に陥るためです。

離職者が出ると、その穴を埋めるために業務が追加されるため、負荷が高まります。

また、頻繁な人員入れ替えによりチームワークが形成されず、職場の雰囲気が悪化しがちになるのもデメリットです。

労働環境が悪化すると、モチベーションや生産性が低下し、さらに離職者が出る悪循環に陥ることもあります。

人材の採用・育成コストが増加する

離職率が高い企業は、新たに人材を確保するために、頻繁に採用活動を実施する必要があります。その度に求人広告費や採用担当者の負担が増加するため、結果として人材の採用コストが増加してしまいます。

また、せっかく採用しても早期離職されてしまうと、その分の教育コストも無駄になってしまうでしょう。

ノウハウやスキルが蓄積されず、業務効率が低下するのも問題です。採用コストの増加は企業の長期的な成長を大きく妨げます。

企業イメージが悪くなる

離職率が高い企業は「働きづらい企業」とレッテルを貼られ、企業イメージが悪くなります。

特に近年は、クチコミサイトやSNSで情報が回るため、採用活動にも悪影響を及ぼすでしょう。

また、頻繁に人員が入れ替わることで顧客に不安を与えてしまうのもデメリットです。当然、マーケティングやブランディングにも大きな影響を及ぼします。

企業イメージの悪化は、中長期な成長を目指す上で大きな障害です。

離職を防ぐためにできる7つの対策

前章でご説明した7つの離職要因について、対策として以下の7つがあげられます。

  1. コミュニケーション研修の実施・ハラスメント対策の徹底
  2. 給与・待遇の改善
  3. 社員のキャリア形成支援
  4. 労働時間の短縮・フレックスタイム等の導入
  5. 定期的な役割の見直し・ローテーション制度の導入
  6. 定期的な経営報告会・社内コミュニケーションの実施
  7. リモートワーク導入・住宅支援制度の設置

これらの対策を実施することで、社員の離職率を低下させ、長期的に働きやすい環境を整えることができます。

離職率の防止以外にも、企業の競争力強化や生産性向上につながり、持続的な成長を期待できるでしょう。

それぞれの詳細について以下で詳しく解説していきます。

1.コミュニケーション研修の実施・ハラスメント対策の徹底

コミュニケーションの促進やオープンな雰囲気を作ることが大切です。

管理職層を中心として、ハラスメントにあたる言動の注意喚起を含むコミュニケーション研修や、社員同士の相互理解を促す研修を実施し、職場の人間関係の改善に取り組みましょう。

また、いじめや嫌がらせ、ハラスメント対策として、内部通報制度の設置などを実施し、問題を早期に解決する体制を整えることも重要です。

関連記事:ハラスメントはルールで防げる!

2.給与・待遇の改善

競争力のある給与体系や福利厚生を整備し、社員が安心して働ける環境を作りましょう。

また、業績や評価に応じた賞与や昇給制度を設けることで、社員のモチベーションを維持・向上させることができます。

3.社員のキャリア形成支援

社員一人ひとりのキャリアプランをサポートし、スキル開発や能力向上の機会を提供しましょう。

具体的な方法としては、社員が異動したい部署を志願することのできる「社内公募制度」の導入などが挙げられます。

そのほか、社員の資格取得にかかる費用を補助する制度なども社員のキャリア形成に役立ちます。

4.労働時間の短縮・フレックスタイム等の導入

労働時間の短縮や柔軟な労働形態(例:フレックスタイム制度、リモートワーク)を導入し、社員の働きやすさを向上させましょう。

また、休暇制度の充実やメンタルヘルスのサポートも、社員のストレス軽減に役立ちます。

5.定期的な役割の見直し・ローテーション制度の導入

社員のスキルや興味を考慮した業務割り当てを行い、やりがいのある仕事を提供しましょう。

さらに、定期的な役割の見直しやチーム内でのローテーションの導入などで、新しいチャレンジや成長の機会を提供することができます。

6.定期的な経営報告会・社内コミュニケーションの実施

経営陣が明確なビジョンや方針を示し、社員に対して企業の成長戦略や将来性を伝えることが重要です。

また、定期的な経営報告会や社内コミュニケーションの機会を設けることで、社員が安心して働ける環境を整えましょう。

7.リモートワーク導入・住宅支援制度の設置

社員の家庭状況やライフステージを考慮した人事政策を実施しましょう。

例えば、リモートワークの導入や、転勤先での住宅支援制度を設けることが効果的です。

また、転勤や異動の際には、事前に社員と十分なコミュニケーションを行い、理解と協力を得ることが重要です。

まとめ

正社員とは一般的に、期限の定めのなく雇用される社員を指します。

直近の調査では、正社員の離職率は13.9%とされており、主な離職理由としては職場環境や給与への不満、キャリアアップの機会不足などが挙げられます。

対策としては、コミュニケーション研修の実施やハラスメント対策の徹底、給与改善、キャリア支援制度の整備などが効果的でしょう。

これらの対策を実施することで、離職率の低下や働きやすい環境の実現が期待でき、企業の持続的成長にもつながります。

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