マネジメントは専門職でしょうか。
「プロ経営者」と呼ばれる方はいるものの、一般的な企業では管理職になるために資格が必要であったり、高度な専門知識が求められたりすることはまれです。
かといって、誰でもできるかというと、当然そういうわけでもないですよね。
では、マネジメントにはどんな知識やスキルが必要なのでしょうか。
本記事では「マネジメント」には何が必要なのかを深ぼっていきましょう。
目次
マネジメントには正解がある
自身が優秀なプレイヤーだった頃の経験に基づいて、自己流のマネジメントを行ってもなかなかチームの成果につながらないという経験はないでしょうか。
テレワークや時短勤務の普及など、働き方を取り巻く環境変化の激しい現在において、プレイヤーだった頃の経験に頼るだけのマネジメントには限界があります。
マネジメントに一定の知識やスキルが必要であることは理解しているものの、具体的に何を身に付ければよいのか分からないという人は多いでしょう。
書店に足を運べば古今東西のマネジメントに関わる書籍をたくさん目にすることができます。
ティール組織、心理的安全性、成功循環モデル、エンゲージメント、学習する組織、有名経営者の成功物語…。
たくさんあり過ぎるがゆえにどんな書籍を参考にすればよいのか迷ってしまうはずです。
そんななかで識学は「マネジメントには正解がある」と明確に標榜しています。
では、マネジメントの正解とはなんなのでしょうか?
マネジメントにカリスマ性や人間的魅力は不要
マネジメントの正解を考えるうえで、よくある誤解を取り除いておきましょう。
それは「マネジメント」にはカリスマ性や人間的魅力が必要である、と考えてしまうことです。
ですが、そうではありません。これはマネジメントとリーダーシップを混同してしまっているからこそ、発生してしまう誤解なのです。
ピーター・ドラッカーは、「マネジメント」と「リーダーシップ」について、どちらも組織の成果を上げさせるという意味では共通しているものの、求められる能力が異なると述べています。
- リーダーシップ:組織の目標達成のためにメンバーを導いていく能力
- マネジメント:成果を上げさせるための手法を考え、組織を管理する能力
どちらかというと、カリスマ性や人間的魅力はリーダーシップの話であり、マネジメントとは少し外れた話であることに気づくでしょう。
管理職にリーダーシップは不要なのか、と言われるとそうではありません。
ですが「管理職」という名前の通り、管理職の仕事は「部下を正しく管理する」こと。この第一のミッションを捨てて、リーダーシップという言葉に逃げてはいけません。
では、どう管理すればいいのでしょうか。
マネジメントの正解は「シンプル」に考えることです。
関連記事:マネジメントの仕事とは?主な内容や組織を成長させるマネージャーの育成方法を解説
マネジメントは「シンプル」に考えてみることが大切
昨今、マネジメントは複雑に考えられすぎています。
- 1on1
- モチベーション理論
- エンゲージメント
- 飲み会を開く
- 部下の評価に定性目標を加える…
部下をプロモートするために、現在多くのマネジメント方法が取り入れられています。
しかし本来マネジメントはもっとシンプルだったはずです。
マネジメントの本質は、人、すなわち組織全体が機能する状態を作ることです。
自分の部下が与えられた仕事をしっかりとやり、与えられた目標を達成するために成長を続ければ、会社は成長していきます。
会社が成長を続けられているのであれば、マネジメントはうまくいっているといえるでしょう。
組織が機能的に動く土台作りのポイント3選
組織が機能的に動くためには組織の土台作りが大切です。
ここからは、3つのポイントをご紹介しましょう。
- 人と人、人と組織、組織と社会のつながりの構造を理解する
- 組織の決まり事を明示する
- ポジションごとの役割と責任範囲、権限を明示する
ポイント①:人と人、人と組織、組織と社会のつながりの構造を理解する
管理職はその組織の運営責任者です。
自組織に不具合が生じたら責任者である管理職が是正する義務があります。
不具合を是正するためには、不具合を起こしている対象の構造や作用機序を理解していなければなりません。
例えば、「寒くなって久しぶりにエアコンで暖房を入れようとしたけれど反応しない」といったシチュエーションだと、多くの人はリモコンの電池が切れていないか、エアコン本体のプラグが抜けていないかを確認するでしょう。
それでも反応しなかったら次は修理を呼ぶなどの行動に移るはずです。
いったん、自分で何とかしようと動くことができたのは、「リモコンは電池で動く」「プラグが抜けているとエアコンは動かない」という構造と作用機序を経験的に知っているからですね。
ではマネジメントにおける「構造と作用機序」は何か?と言われると、これが識学に該当するわけです。
- 集団の性質はどのように決まるのか
- なぜ目標を達成しないままでいることに甘んじてしまうのか
- 上司から言われたことをやらない部下はなぜ発生するのか
上記は組織構造学=識学から答えを導き出すことができます。
まずはマネジメント層が組織と人と社会のつながりを理解するのが大切です。
上記について気になる方は、下記の記事もご覧になってください。
関連記事:組織を変革するための必要な手順
ポイント②組織の決まり事を明示する
構造と作用機序を理解した後は、実際に組織を回すため、組織を整える必要があります。
第一歩が組織の決まり事を作り、それを明示することです。
目的はメンバーの自由を奪うことではなく、むしろ迷いや不安のない環境を用意すること、そして、メンバーに所属意識と規律を発生させることです。
決まり事があることで「どうしてよいか分からない」や「これでよいのか」といった迷いや不安を発生させないようにします。
迷いや不安は人間にとって大きなストレスであるとともに、パフォーマンスを低下させます。
メンバーが増えれば増えるほど、この小さな積み重ねが組織のなかでは膨大な感情と時間のマイナスにつながってしまうのです。
また、私たち人間は同じ文化、風習、行動様式の人を仲間だと見なす性質を備えています。
同じ決まり事の中にいることでメンバーに「自分はここにいてよい。自分もこの組織の一員なのだ」という所属意識を発生させます。
決まり事を作ったら、それを徹底して守らせましょう。守ることができない人には守れるようになるまで指摘し続けます。
こうすることで、管理職の指示はともかく実行するという環境づくりをするのです。
ポイント③ポジションごとの役割と責任範囲、権限を明示する
サッカーや野球などのチームスポーツを思い浮かべてください。
ポジションを設定するだけでは、選手は監督の狙い通りに動いてくれるとは限りません。
例えばサッカーであれば、ポジションごとに攻撃時の役割、守備範囲、状況によって自分で考え動いてよい範囲を決めないと、監督の狙い通りに動く確率、チームが勝つ確率は下がってしまいます。
会社組織であっても同様です。
役職や肩書を設定するだけではなく、そこにひもづく役割、権限も規定する必要があります。
土台ができたら、次はメンバーが成長できる環境づくりを
今回は識学理論のなかから組織が機能的に動く土台作りのポイントを紹介しました。
土台ができたら次はメンバーが成長できる環境づくりです。
こちらのポイントはまた別の機会に紹介したいと思います。
このように識学社では識学理論に基づいた誰でも実現可能な強い組織づくりを提供しています。
セミナーや無料相談を随時実施していますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。