本記事では、自己評価が会社の人事評価にどのような影響を及ぼすのか、自己評価と人事評価にズレが生じるのはなぜかを説明していきます。
目次
自己評価が発生するのはなぜか
皆さんが所属する会社の人事評価に、「自己評価」の項目が存在するでしょうか。
その場合、気を付つけてほしいことがあります。
本来の評価と被評価者自身の分析を照らし合わせて、その人の認識が正しかったかを確認するためにこの項目を入れている会社もあるでしょう。
この項目を入れることによって、「被評価者が承認欲求を満たして能動的に動いてくれる可能性がある」などのメリットはありますが、自己評価が否定されると、被評価者の不平不満を発生させる可能性もあります。
誰しも、自分を認めてほしいと思うものです。
しかし、自己評価が強調され過ぎると、「会社や上司の評価が間違っている」という考えを部下が抱いてしまう恐れがあります。
「評価のためのヒアリング」で起きる問題とは
人事評価を何のためにするかといえば、会社に貢献した人に対して適正な報酬を与えるためです。
その適正な評価の設定に会社や上司は悩みます。
人事評価を設計する際に、何を評価すれば従業員は喜ぶのかを考えて作成してしまうことはよくあることです。
部下にヒアリングしていくと、それぞれの役割に対して日々取り組んでいる行動や成果を伝えてきます。
評価面談はどのようにしているでしょうか。
評価決定後に評価を伝えることはよいですが、評価をするためにヒアリングをすると、認識のズレが発生します。
正しく評価をするためにヒアリングしたつもりが、ヒアリングのせいで正しく評価できなくなるということです。
これは、そもそも何が評価されるかが曖昧であるがゆえに起きる問題と言えるでしょう。
人事評価を決める際に必要なことは何か
会社が何を求めているのかを明確にできているかを確かめる必要があります。
評価のタイミングで「何を評価してほしいか」を部下に聞くのではなく、スタートの段階で明確にしておかねばならないということです。
期初に上司と部下で今期の目標を話し合って決めるMBO(目標管理)を実施している会社もあるでしょう。ただ、あまりお勧めしません。
一方的に、上司から今期の目標を設定される会社であれば、それを達成しないと評価されないとなるわけですが、自分で決めることができるとなると、自分の評価項目を自分で決めることができる、つまり自己評価できると勘違いしてしまうからです。
その方がモチベーションは上がるため、「期初に少し高い目標を設定することで前を向けることができるのではないか」という反論が出てきそうです。
しかし、自分で目標を決めることができるということは、環境変化に合わせて目標も変えられると勘違いしてしまいます。
関連記事:人事評価の書き方のポイント!評価の基準と記入例もあわせて解説
評価者を明確にしよう
自己評価できると勘違いしている人は多くいます。
それは、自分自身で人を評価してきたからです。自分と比較しているのです。
だからこそ、自己評価を基準に人事評価を考えます。
その際、会社や上司の人事評価と自己評価が異なると不満になり、モチベーションが下がります。
このように、人は比較することで不平不満が生じるものと知っておく必要があります。
その上で、会社としては自己評価が入らない評価制度を構築する必要があります。
ヒアリングして決めるのではなく、会社が求めることを決めることです。
その際に気を付けるべきことは、「人」の評価にしないことです。
「人」を評価することで曖昧になり「自己評価」できる要素が入っていきます。
皆さんの会社の評価制度は「人事評価」になっていますか。
「人評価」になっていませんか。人を評価する項目が多いと、「自己評価」しやすく問題が起こりがちです。
人事ですので、「人」が実行した「事」を評価する制度でなければいきません。
自己評価が発生する人事評価になっていないかを検証してみてください。
自己評価できることをなくしていけば、公平な人事評価になります。