OJTは実務を通して業務に必要な技術やスキルを習得してもらう、新入社員の教育手法です。
日本では広く普及している方法ですが、実際に現場で行われる教育だからこそ、その時の職場の状況、パターンが違うため、OJTの実施方法に関してはすべてをマニュアル化することは困難です。
しかし、OJTマニュアルを作成することは、効率的な教育の実施に繋がり、新入社員の即戦力化も早まるでしょう。
また、OJTのトレーナーとなる上司や先輩社員の負担も軽くすることができ、マニュアル作成を通して業務の棚卸しと標準化が可能です。
そこで本記事ではOJTについて、
- トレーナー・学習者のためのマニュアルの作成方法
- トレーナーに適している人の特徴
- トレーナーを任せるべきではない人の特徴
などを解説していきます。
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目次
OJTのマニュアル作成方法とは
OJTのマニュアルを作成する場合は、下記の2つをつくらなければなりません、
- OJTのトレーナー向けのもの
- OJTの学習者向けのもの
それでは、それぞれの作成方法やポイントを見ていきましょう。
OJTトレーナーのためのマニュアルの作成方法
新入社員を数十人、数百人規模で採用している企業では、OJTのトレーナーも同様の規模になります。
このような環境下におけるOJTトレーナーの業務は、チームリーダーなどの昇格につながる、若手従業員の登竜門・経験蓄積のような位置づけであるため、OJTトレーナーも毎年変わることがあります。
このようなケースでは、マニュアルが必要になります。
マニュアルがあることにでOJTトレーナーの負担を軽減することができ、高いレベルの教育を安定的に実施できるからです。
それでは、OJTトレーナーのためのマニュアル作成方法をみていきましょう。
①.OJTの目的を明確にする
まずOJTの目的を明確にしましょう。
下記のような記載項目をもとに、OJTトレーナーが抱く「自分には何を求められているのか?」「何をどのように指導するべきなのか?」といった疑問を解消するためにも、OJTの全体像をハッキリさせる必要があります。
項目の具体例
- OJTを実施する目的や位置づけ
- OJTとOFF-JTの役割の違い
- 目指すべきゴール
- トレーナーに期待することや役割
- 人事や上司との役割分担や得られる支援
マニュアルは、トレーナーが抱く迷いや不安を軽減する役目もあります。
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②.OJT計画を立てるフォーマットを用意する
OJTの目的や位置づけを明確にしたら、続いてはOJT計画の策定方法を記載します。
OJTトレーナーにとってはOJT計画をつくること自体が、「教育手順や教育内容を考える」ということにより成長するポイントとなります。
ただし、計画を作ることはOJTトレーナーにとっても、その確認やフィードバックをする人事などにも負担が大きいため、フォーマットを用意すると良いでしょう。
どこまでをマニュアルにし、どこまでをトレーナーに任せるのかは各社で異なります。
項目の具体例
- 目標の設定
- 目標達成のために求められるスキルの一覧
- 最も優先順位が高い指導内容
- スキル習得に必要なプロセス
- OJT中に意欲が下がりやすい状況と対策
- OJT中に助言やサポートを求める相手
学習者の意欲が下がったときの対策や、助言を求める相手をあらかじめ設定しておくと、トレーナーの負担や不安を軽減できます。
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③.OJTトレーナーとしてのマインドを記載する
OJTトレーナーのためのマニュアルには、教育者としてのマインドや心構えを記載しておくことも重要です。
- ティーチングとコーチングの使い方
- 学習者の性格に適した教育のポイント
- 学習者がどの程度理解しているのかを確認する方法
すべての従業員がOJTトレーナーとして最適な人材というわけではありません。
また、学習者も一人ひとり性格が異なるため、最適な指導方法も異なります。
人材育成の基本はコミュニケーションです。
したがって、学習者とトレーナーがうまくコミュニケーションをとれなければ、いくら緻密な計画をつくったとしてもOJTは失敗するでしょう。
だからこそ、トレーナーとしてマインドや教育についてのノウハウをマニュアルに記載しなければならないのです。
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OJTの学習者のためのマニュアル作成方法のポイント
ここからはOJT学習者のためのマニュアルの作成方法を、簡単に解説していきます。
学習者向けのマニュアルを作る目的は、「マニュアルを参考にすることで、成功する方法やポイントを理解しながら、業務遂行ができる」ようにすることです。
そのためにも、下記の2つのマニュアルを作成することが必要になります。
- 業務の全体像をつかめるマニュアル
- 各業務について詳しく理解できるマニュアル
そして、マニュアルの内容については、専門用語や社内で用いられている共通言語を除いて、誰でも理解できるようにしなければなりません。
まとめ
OJTマニュアルと聞くと、ついトレーナー向けのマニュアルのみを考えがちです。
しかし、OJTに集中して取り組んでもらうためにも、後からトレーニーが見直せる簡易的な資料を用意する必要もあります。
ただし、マニュアルを用意しても、OJTが成功するとは限りません。
というのも、OJTはトレーニーに学習する気概がなければなかなか学べるものではないというのが原因だからです。
トレーニーが学習をする気がない、やる気が感じられない場合には、トレーニーが正しく自身の立場を理解していない可能性があります。
その際は、正しくトレーニーに役割を理解させる必要があるでしょう。
上記の資料で、正しい部下の育成・管理方法を学べます。
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