日本的経営の強さを支えてきたと言われる終身雇用、年功序列、企業別組合。
これらに対して違和感を覚え、何らかの施策を打ち始めている企業も多いでしょう。では、どのような組織づくりを目指せばよいのか。解説をしていきます。
目次
人が集まる組織とは
人が集まる組織とはどのような組織でしょうか。
- 飲み会が多い
- 運動会や社員旅行など社員同士のつながりが多い
- 1on1が会社として取り入れられ、自身の意見を反映してくれる
これらの組織が間違いというわけではないのですが、世の中を見渡してみてください。本当の意味で人が集まっている会社は、成長している企業ではないでしょうか。
GoogleやAmazon、トヨタ自動車など、社会に対して大きく貢献し、成長し続けている会社に人は魅力を感じるはずです。
飲み会や旅行は多いけれども、世の中の評価が低く必要とされず、成長していない企業であれば、会社にいて楽しいという感情は一時的には生まれるかもしれませんが、そこに長くいたいとは思わないでしょう。
自組織を少し振り返ってみてください。
売上規模、利益、社員数の数値は3年前、5年前と大きく変わっているでしょうか。競争が激しい昨今において、情だけでは企業と個人がつながり続けることは難しいでしょう。
人が集まる組織とは、企業自体が成長し、市場・外部に対して価値を存分に提供し続け、働いている従業員も成長できる環境がある企業です。そんな組織には人が集まってきます。
目の前の社員のモチベーションを上げることも大事ですが、長期的な目線で成長を考えられていますか。成長が実感できない環境になっているのであれば、組織改善が必要なタイミングです。
ルールが明確な組織は人間関係のストレスがない
人が集まると、活気が出ることや競争環境をつくりやすいという点で考えれば非常にメリットはあるのですが、気を付けなければならないことがあります。それは、個人はさまざまな価値観やルールを持って、コミュニティに集まってくるということです。
コミュニティは個人の集合体です。10人の組織から30人、50人、100人となっていけば、個別の価値観やルールがぶつかり合う瞬間が多くなります。今までうまくいっていたものもうまくいかなくなるのが、人が増えるタイミングです。
人が集まりやすい組織を構築していく上で、絶対に押さえなければいけないのがルールの明確化です。人が増えるということは今までの当たり前が当たり前ではなくなることを意味します。
そのため、ことあるごとに会議を開き、決めごとをする必要性が発生しますが、この会議の中で行われていることは、とある事象に対する個々人のルールの答え合わせをしているだけに過ぎず、膨大な時間とコストがかかります。
また、個々人のルールの答え合わせなので、自身の考えや価値観を否定されることにもつながるわけですから、その結果感情的になり、人間関係のもつれにつながるといったケースも多く散見されます。
このようなことにならないようにするためにも、リーダーが組織のルールを明確にしなければなりません。例えば、提出期限のような期限関連は、人によって解釈がずれます。
「今日中に提出してください」といった指示が上司から部下になされたとして、皆さんは「今日中に」を何時と捉えますか。17時と捉える人もいれば、23時59分と捉える人もいるのではないでしょうか。このようなずれをなくすためにもルールで明確に定めてください。
また、社長が全社員の働きぶりが見えていたため評価に大きなずれは生じてこなかったとしても、人が増え、階層をつくったときにそれが難しくなったとしたらどうでしょうか。どのように評価をするのでしょうか。
「なんで私は、○○さんよりも評価が低いのですか」という部下からの質問や、「私はこの部分に関して誰よりも頑張ったのになんで評価されないのですか。説明してください」といった部下の質問に頭を抱えることになるかもしれません。それを防ぐため、評価基準という組織内でのルールを明確にすることもお勧めします。
役割・責任に対して集中できる環境とは
人が増えると「これ誰の仕事?」といった役割に対するエラーが発生してきます。
組織は役割とルールで動きます。組織が勝つために、つまり市場に価値を提供するために、組織のフォーメーションを明確にしましょう。企業で言えば、組織図です。
フォーメーションを明確にし、各ポジションに求める役割をはっきりさせます。つまり役割定義表の作成です。そして、役割を遂行していくための組織としてのルールを明確にし、実行することで、組織のパフォーマンスは最大化されます。
もし、組織がうまく回っていないときは、フォーメーションなのか、役割なのかルールなのか。どれかにエラーが出ているということになるので、エラーを発見し、対策を打ちながら改善していくという流れになります。
リーダーは、部下に求める役割を明確にし、役割責任を果たすための権限を明らかにしましょう。
部下は、設定された役割を完遂するために集中して取り組み、集中できない要因があれば上申し、ルールと権限を明確にしながら実行していきます。一人ひとりが与えられた役割を正しく認識し、完遂のため集中することで、組織として目標を果たすことができるのです。
もし今、社員や部下に求めることを明確にしていないということであれば、「ただ、走ってきなさい」と指示を出していることと同じになります。これでは、不足も明らかにならなければ、成長を実感できません。
リーダーは、部下に対して、役割を明確化し、伝える。これを忘れないでください。
組織も個人も成長していると実感できるようにする
あとは、期限を区切ることが大事です。期限を区切るとは、四半期なら四半期という期限を明確にすることです。
人は、長くは集中し続けられません。お勧めは3カ月の区切りです。3カ月に一度、○×がつく状態を明確に設定し、期限で評価する。このときに、社員や部下は、自身の一旦集中してきた業務に区切りをつけることができます。
○であれば、達成感を感じるでしょうし、×であれば、敗因はなんだろうかと自身で振り返ります。そして翌四半期の改善策を確定させ、スタートすることができるのです。