なにかの縁があって自分の会社に入ってきた従業員にはできる限り長く働いてもらいたいと思う経営者がほとんどではないでしょうか。
もともと優秀な従業員であっても、活躍するまでに時間がかかった従業員であっても、何かしら会社に貢献し続けてくれる存在であれば、長い間win-winの関係であった方がよいはずです。
今回は従業員が長く働きたいと思える組織のつくり方について述べていきます。
目次
待遇
従業員が会社に入社する理由はいくつかあるでしょう。
そのなかで、最も重要視しているものはお金のはずです。どれだけ頑張っても、給料が1円も得られなければその会社で仕事を続けることはできないでしょう。
また、市場には会社が数多ある以上「割に合っているかどうか」も従業員の主観によって判断されます。
待遇面を改善していくには会社自体の業績がよくないと実現できないため、「会社の業績が好調で比較的よい報酬を支払える。そうするとまた優秀な人材がやってくる」という正の循環をつくり出すことが重要です。
反対に、「会社の業績が芳しくなければ魅力的な報酬体系を構築できず、それゆえに優秀な人材が集まらない」という負の循環陥ります。
しかし、だからといって嘆いている時間はありません。どうすれば組織のパフォーマンスを向上させられるかに集中しましょう。
会社の文化
どれだけ報酬がよかったとしても「会社の文化が合わない」ということもあります。
例えば、一見給料はよいがサービス残業などが多くあり、時給換算するとそれほど割のよい仕事ではなかったり、プライベートのための時間がほとんどなく、貯金ばかり増えていくが人生が楽しくなかったり。そんなふうに不満を持つ人は会社を去ってしまうでしょう。
また、そのような働き方が上司によって左右されるというケースもあります。
従業員にどのような労働環境を用意しているのか会社として明確にした上でそれを管理しないと「あの人の下ではホワイト企業のような働き方ができるが、あの人の下だとブラック企業になる」という状態になります。
社員が入社後、「こんな会社だと思わなかった」というミスマッチがストレスとなって蓄積され、爆発したときが離職のタイミングです。
会社の文化を反映したものがそこで働く従業員なわけですから、当然、従業員のレベルも重要になってきます。
いくら売っている商品が立派なものでも「こんな人たちと働きたくない」と思われてしまっては優秀な人間から逃げていってしまいます。会社の文化や従業員のレベルをあげるためには教育が必要なのです。
成長環境
人は同じことを繰り返していると成長の幅が少なくなっていきがちです。会社が成長し続けなければ市場で生き残っていけないのと同じように、従業員に対しても成長を求め続ける必要があります。
できなかったことができるようになったことを褒められたと思ったらもう次のできないことが突きつけられる。これを厳しいと感じてしまう人は、できることだけをやり続けることの方が実は本人にとって残酷であることに気付かなければなりません。
もちろん新たなことにチャレンジし続けられる環境を会社側が持っていなければこれは実現できません。
昇進のチャレンジや全く別の領域でのチャレンジなど、これも先ほどの報酬面の話と同じで、会社側が成長していかないと用意できない環境の一つです。
経営者自身が「従業員に長く働いてほしい」と思っているか
従業員に「長く働いてほしい」ならよい会社にしなければなりません。その気持ちや覚悟が経営者自身にあるかどうかが最大の問題です。
従業員は、本音では楽して稼げる会社に長くいたいと思うでしょう。それを知りながら、従業員や会社の成長のために成長環境を用意できるかどうかです。
「本当は長く働きたい」と思っている従業員のパフォーマンスが一向に上がらないときに報酬を下げたり、その人がやりたくない仕事に就かせたりすることができるでしょうか。
報酬も文化も環境も、よし悪しは人それぞれの価値基準ですが、さまざまな人がいるなかで、経営者自身が「こうありたい」という基準を設け、従業員をそこに向かわせることができる。
そんな経営者の下で働き続けたいという従業員が多くいる。このような会社では、自然と人が長く働くはずです。