IT企業、またはIT部門における評価制度のポイントは、公正かつ明確に行うことです。
しかし、自社のエンジニアを適切に評価する方法が分からないという企業は少なくありません。
そこで本記事ではIT企業における制度評価について、
- 現状
- 課題
- 始めるタイミング
- 導入方法
- 評価項目
- 評価のポイント
- 注意点
を解説していきます。
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目次
IT業界の人事考課の現状とは
ソフトウェアの品質保証を手掛ける株式会社SHIFTが、ITエンジニアを対象に行った調査した結果、下記のような現状が浮き彫りになりました。
- 職場環境や業務内容に「満足していない」と回答した人の理由は「仕事上の評価が正当でないと感じるから(給料が安い)」が60.4%で最も多かった
- 現状に満足していると回答したのは全体の30%以下
- 全体のおよそ6割が転職・キャリアチェンジを希望(他業界のおよそ2倍)
このように、IT業界で働くエンジニアの多くが自身の評価に不満を抱いていることがわかったのです。
(参考:IT業界の開発プロジェクト経験者、約6割が転職・キャリアチェンジを希望!丨PT TIMES)
企業が抱えるエンジニア評価の課題・悩みとは
続いて企業側が抱えている課題や悩みを見ていきましょう。
課題
企業はエンジニア評価において下記のような課題を抱えています。
- 技術者出身のマネージャー人材が足りていない
- 評価制度の正確性や納得感が不十分
- 事業開発力がある技術者不足、人材育成の難しさ
これらは評価や育成、採用に関連する課題であり、どれも企業が成長するには重要な要素です。
関連記事:社員への人事評価制度の問題点は?導入・見直し方法を解説!
悩み
企業がエンジニア評価において抱える悩みは下記のようなものが挙げられます。
- 事業への貢献度と、スキル評価の両立の難しさ
- 誠実な評価を下すためには、賃金制度が煩雑になる
- エンジニアの目標となるロールモデルの不在
- 適切な評価による成長実感がない
このような悩みを解決せずにいると、エンジニアが不満を募らせて転職を検討する可能性が高まります。
だからこそ、企業は迅速かつ適切な対応を取るべきです。
関連記事:ロールモデルとは?社員育成にも有効なロールモデルのメリットから導入法を解説
IT企業は人事考課を早期に導入するべき理由
IT企業において人事考課を始めるなら、可能な限り早く導入するべきでしょう。
また、新型コロナウイルスの感染拡大によってリモートワークを導入している場合は、人事考課方法を見直す必要があるかもしれません。
では、なぜ導入する場合は早いほうが良いのでしょうか? ここからはその理由を見ていきましょう。
人材流出の防止
前述したように、ITエンジニアの多くは自身の評価について不満を抱いているため、IT企業が人事考課を導入して公正な評価を実施することができれば、人材流出を防ぐことができます。
関連記事:加速する「IT人材」争奪戦 自社にあった人材調達のために欠かせないこととは
スキルの習得に有利
人事考課は、どのような人材が必要かが明確になります。
それによりITエンジニアにとっても目標設定が用意となり、スキルアップのための効果的な方法を選びやすくなるでしょう。
早期に導入することで企業が求めるITエンジニアを育成することができます。
IT企業が人事考課の導入する際のポイント
ここでは、IT企業が人事考課を導入する際のポイントを見ていきましょう。
等級制度をつくる
等級制度とは、従業員のいくつかの要素に応じて等級を設計し、社内における従業員の位置づけを決める制度です。
等級制度は下記の3つの要素に応じた制度があり、これらを併用することでエンジニアのそれぞれの要素に応じた評価が可能になります。
- 能力
- 職務
- 役割
関連記事:役割等級制度とは?職務・職能等級制度との比較や導入・運用方法を解説
昇格・降格の基準設定
公正な評価と処遇を検討するために、昇格と降格の基準を決定します。
明確な基準が示されていれば、どのような結果になっても「もっと頑張ろう」「足りないスキルを磨いていこう」と、意欲を引き出すきっかけになります。
報酬体系の作成
公正な評価と処遇には、適切な報酬体系も必要です。
ITエンジニアだけではなく、全ての従業員にとって報酬は生活に欠かせません。
また、優れたITエンジニアの流出を防ぐためにも、報酬体系を作り、等級制度と連動性を持たせることが重要です。
ITエンジニアにおける評価基準
ITエンジニアにおける一般的な評価基準項目は、下記のようなものが挙げられます。
項目 | 内容 |
技術的スキル | ITエンジニアとしての基礎的な技術。
特定の分野だけではなく、新技術の習得のために努力しているかどうかも評価対象となる。 |
マネジメントスキル | プロジェクトをスムーズに進めるスキル。
具体的には、チームをまとめる力や指導力、スケジュール管理能力、意思決定力など幅広い能力が求められる。 |
経験・実績 | これまで積んできた経験やあげた成果。
参画したプロジェクトの規模や解決した課題、プロジェクトの結果そのものを評価する。 |
業界知識 | 自社や競合他社の状況や、業界の動向を把握しておくことも重要であるため、最新の情報を分析して業務に活用することができれば評価ポイントとなる。 |
語学力 | 語学力も評価対象となるケースがある。
新しい技術書などは英語で書かれているため、語学力があればすぐに業務に活かすことができる。 |
まとめ
ITエンジニアは専門職です。
専門的知識が多いため、自分よりもスキルが高い部下のいいなりになってしまう上司の方もいらっしゃることでしょう。
また、貢献度とスキルとの二重の評価項目があると、部下が評価に納得してくれないということもあるでしょう。
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