プロジェクトチームは、プロジェクト遂行のためだけに組織されるチームです。
スピーディーな事業展開が求められる現代において、プロジェクトチームは重要な組織構造の一つだと言えるでしょう。
そこで本記事では、プロジェクトチームの立ち上げ方や、成功させるポイントを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
プロジェクトチームとは?
プロジェクトチームとは、プロジェクトの問題解決のためだけに組織されるチームのことです。
メンバーが固定されることはなく、一定期間内に解決する必要がある課題に取り組むために組織されるので、プロジェクト終了後にチームは解体されます。
ちなみに、プロジェクトチーム内の役割は以下の3つです。
- プロジェクトマネージャー
- プロジェクトリーダー
- その他メンバー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの進行管理を任されています。
メンバーを決定したり費用やスケジュールを管理したりと、マネジメント業務全般をこなす必要がある役職です。
プロジェクトリーダーは、現場のリーダーとしての対応を任されています。
プロジェクトを進めるための的確な指示が求められる役職です。
そして、その他メンバーがマネージャーやリーダーの指示に従い、プロジェクトの目標達成のために尽力します。
プロジェクトとして扱う課題に関する専門的知識を保有していることが多いです。
関連記事:【基礎から学ぶ】プロジェクトマネジメント成功の秘訣とは?基礎知識や管理手法を徹底解説!
タスクフォースとプロジェクトチームとの違い
プロジェクトチームに似た言葉としてタスクフォースがあります。
元々は軍事用語だったタスクフォースは、特定の任務を遂行するために組織された機動部隊のことを指していました。
そして現在はビジネス用語として用いられるようになっており、特定の課題を解決するために編成されたチームのことを指すようになりました。
タスクフォームとプロジェクトチームの違いとしては、編成期間の長さが挙げられます。
一般的には、タスクフォームの方が編成期間が短いとされているようです。
関連記事:タスクフォースとは?意味やメリット・デメリット、効率的な運用について解説
プロジェクトチームの立ち上げ・進め方
プロジェクトチームの立ち上げ・進め方は以下の通りです。
- 目的・意義を設定し計画を立案
- プロジェクトチームの組織図を作成
- 各メンバーのタスクを割り振る
それぞれ解説していきます。
目標・意義を設定し計画を立案
まずはプロジェクトマネージャーが、プロジェクトの目標や意義を設定し、作業計画を立てていきます。
目標や意義を設定しておくことで、各メンバーのベクトル合わせも楽になるでしょう。
最初に決めておくべき内容としては以下が挙げられます。
- プロジェクトの成功基準
- 開発期間
- 予算
- リスクの想定
イメージが固まった後は、具体的な計画図やスケジュール表を作成していきます。
プロジェクトチームの組織図を作成
プロジェクトの目標が定まったら、プロジェクトマネージャーはプロジェクトチームの組織図を作成します。
この組織図は、調達すべき人材と必要な人数を示したものです。
このように組織図を作成することで、プロジェクトチームの各メンバーが自分の役割を理解しやすくなります。
各メンバーのタスクを割り振る
組織図を作成したら、プロジェクトマネージャーは各メンバーにタスクを割り振っていきます。
実際にやるべきこととしては以下の通りです。
- 各メンバーにタスクを割り振り、役割を全うさせる
- 全メンバーでお互いの作業内容を把握させる
- 協力関係を構築する
メンバー同士、お互いの作業内容をしっかり共有することで、もしトラブルがあった時にも円滑に協力し合える体制づくりを整えることができます。
関連記事:ステークホルダーマネジメントとは?円滑なプロジェクト進行に重要!
プロジェクトチームのメリット
プロジェクトチームを組織するメリットは以下の通りです。
- 目標・目的達成のために適したメンバー集めが可能
- クライアントの急な要望に集中できる
- チーム内でのコミュニケーションが取りやすい
それぞれ解説していきます。
目標・目的達成のために適したメンバー集めが可能
プロジェクトチームは目標・目的達成のために適したメンバー集めができます。
なぜなら、その目的達成のためだけに組織されるチームだからです。
例えば新規事業でITサービスを開発したい時に、ゼロから開発できるエンジニアのみで構成する、といったことができます。
クライアントの急な要望に集中できる
プロジェクトチームは、クライアントの急な要望に集中できます。
なぜならプロジェクトチームは、そのプロジェクトのみにリソースを投下するからです。
他のプロジェクトにリソースを投下することはありません。
そのため、緊急案件を迅速に処理したい時にプロジェクトチームを組織するべきでしょう。
チーム内でのコミュニケーションが取りやすい
プロジェクトチームはチーム内でのコミュニケーションが取りやすいのが強みです。
プロジェクトメンバーは一つの課題に関する一つの組織としてまとまるため、一体感が生まれやすく、簡単にコミュニケーションが取れます。
また、比較的少人数で構成されることが多いので、メンバー全員が柔軟に対応できるのもメリットでしょう。
関連記事:コミュニケーションを円滑にする7つの方法と能力を高めるメリットを徹底解説!
プロジェクトチームのデメリット
プロジェクトチームのデメリットは以下の通りです。
- ナレッジが蓄積されづらい
- プロジェクトごとに人事考課/評価への影響が出る
- 他プロジェクトのメンバーとのコミュニケーションが減る
それぞれ詳しくみていきましょう
ナレッジが蓄積されづらい
プロジェクトチームにナレッジが蓄積されることはほとんどありません。
なぜならプロジェクトチームは、プロジェクト終了後に解体されることがほとんどだからです。
仮に同様のメンバーが再び集結することがあっても、全く同じメンバーで構成されることはほとんどないでしょう。
もしナレッジを蓄積させたいのであれば、プロジェクト進行で得られた知識や成果物を企業全体に共有しておく必要があります。
プロジェクトごとに人事考課/評価への影響が出る
プロジェクトごとに人事考課・評価が偏るのもデメリットだといえるでしょう。
プロジェクトチームのメンバーに対する人事考課や評価は、各プロジェクトのプロジェクトマネージャーが担当します。
そのため、ひとりの従業員であっても年間で複数のプロジェクトに属した場合、各プロジェクトごとに人事評価担当者が異なるということになります。
そのため、公平な評価がやりづらくなるのです。
公平な人事評価を行うためには、プロジェクトマネージャー以外に、第三者的な視点で人事評価を行う役職が必要になるでしょう。
他プロジェクトのメンバーとのコミュニケーションが減る
プロジェクトチームはチーム内でのコミュニケーションが活発化されますが、その分、プロジェクトを横断したコミュニケーションが減ります。
コミュニケーションが減ってしまえば、その分が機会損失になるでしょう。
プロジェクトを横断したコミュニケーションを増やしたいのであれば、交流会などのイベントを設けるのが得策です。
プロジェクトチームを運営していく上でのポイント
プロジェクトを運営していく上でのポイントは以下の通りです。
- 解決すべき課題の明確化と適正なリーダー選定
- 迅速かつフレキシブルな対応
- 有益な情報やノウハウの蓄積
それぞれ解説していきます。
解決すべき課題の明確化と適正なリーダー選定
プロジェクトを成功させるために欠かせないのは、課題の明確化とリーダー選定です。
つまり、プロジェクトを開始させる前の段階こそが非常に重要ということです。
課題を明確化させることでメンバーの選定や各メンバーのベクトルが揃い、適正なリーダーを設定することでプロジェクト全体の進行スピードが大きく変わるでしょう。
そして、リーダーには責任者として、免責を免れることはできない旨を徹底させる必要があります。
迅速かつフレキシブルな対応
プロジェクトを成功させるには迅速かつフレキシブルな対応が求められます。
そもそも、プロジェクトチームはプロジェクトの成功のために一時的に組織された専門職集団です。
各メンバーが柔軟に対応するのは当たり前として、チーム全体が迅速に動けなければいけません。
そのためにも、メンバー間の信頼関係構築は必要不可欠です。
信頼関係構築はプロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの仕事と言えます。
関連記事:EVM(アーンドバリューマネジメント)とは?プロジェクトマネジャーが知っておきたいプロジェクト管理方法を計算式を用いてわかりやすく解説!
有益な情報やノウハウの蓄積
有益な情報やノウハウが蓄積されていれば、プロジェクトチームの成功確率はぐんと高まります。
特に、同じ企業の従業員のみでチームを構成する場合は、その企業の中で情報やノウハウを蓄積させることが可能なはずです。
ファイルで管理して全従業員が閲覧できるようにしたり、プロジェクトマネージャーが類似したプロジェクトから情報を引き出し、それを各メンバーに共有したりするのが有効でしょう。
プロジェクトチームの事例:Windows95
プロジェクトチームの成功事例と言えば、米国のIT企業でのパターンを目にすることが多いでしょう。
その中で日本人が活躍した事例として挙げられるのが、Windows95です。
当時のMicrosoftは、Windows95を開発するためにカイロと呼ばれるプロジェクトチームを組織していましたが、進捗が悪く、新しくシカゴと呼ばれるプロジェクトチームを組織しました。
もともとカイロチームに属していた日本を代表するエンジニア・中島聡は、カイロチームの会議が退屈ということで、風通しの良いシカゴチームに移動します。
その後の社内討論の結果、当時のMicrosoft社長であったビル・ゲイツが、4年もの開発期間を要したカイロチームを全てキャンセルし、シカゴチームに全リソースを注ぐようになったのです。
ここで学ぶべきなのは、やはり「非常に柔軟な対応」にあるでしょう。
通常、プロジェクトチームの進捗が悪くなった時は、チーム内の改善に努めることがほとんどです。
しかしMicrosoftは新しいチームを立ち上げ、たくさんのリソースを投下したであろうチームをキャンセルしました。
そしてその結果、Windows95の開発に成功することができたのです。
プロジェクトチームのFAQ
ここからはプロジェクトチームをFAQ形式で解説していきます。
プロジェクトを成功に導くにはどうすればいいですか?
プロジェクトを成功に導くには、プロジェクトチームを活用するのが有効です。
しかし、どのようにプロジェクトチームを活用すればいいのでしょうか。
まず大切なのは、チームメンバーの人選です。
プロジェクト達成のために以下の人材を選びましょう。
- プロジェクトのための専門知識を持つ人材
- 問題解決能力が高い人材
- コミュニケーション能力が高い人材
- 他のメンバーの苦手な部分を補完できるバランスの良い人材
特に、プロジェクトを解決するための人材を多く投入するのが重要になるでしょう。
しかし、それだけではチームはうまく回らないため、潤滑剤の役割を果たす人材も必要になります。
そしてプロジェクトチームは、プロジェクトマネージャーだけでなく経営陣のサポートが必要です。
チーム運営のためのリソースや、プロジェクト成功の際のインセンティブを用意するのが良いでしょう。
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーはどちらの方が上?
一般的にはプロジェクトマネージャーの方が上の立場だといえます。
なぜならプロジェクト全体の責任者だからです。プロジェクトリーダーはあくまでも、プロジェクト成功のための役職となっています。
また、プロジェクトチームを客観的に評価するために、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)と呼ばれる役職が設けられることがあり、PMOがプロジェクトマネージャーのサポートに入ることもあるようです。
プロジェクトリーダーに責任はないの?
いいえ、プロジェクトリーダーにも責任があります。
プロジェクト全体の責任者はプロジェクトマネージャーですが、プロジェクト開発の要因についてはプロジェクトリーダーが責任を持ちます。
例えば他のメンバーの作業が遅延した場合は、プロジェクトリーダーが責任を持って対応しなければなりません。