組織の中で昇進したいのであれば、ビジネスマネジメント力は必要不可欠な能力です。
そこで本記事では、マネージャーを目指すあなたに向けて、マネジメント力向上のためのヒントやおすすめのマネジメントツールを紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
ビジネスマネジメントとは?
ビジネスにおけるマネジメントは、経営管理や組織運営のことを指します。
英語の「management」を直訳すると「管理」や「経営」という意味になるので、ビジネスマネジメントは「企業における経営管理」だと言えるでしょう。
ビジネスマネジメントの基本的な考え方
ビジネスにおけるマネジメントの基本的な考え方は、アメリカの経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカーの著書『マネジメント』によって誕生したとされています。
ドラッカーといえば、日本では『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(もしドラ)』が有名です。
『もしドラ』にも登場する『マネジメント』を読むことで、ビジネスマネジメントの基本的な考え方が身につきます。
ドラッカーによる定義
ドラッカーはマネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しており、マネージャーを「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。
組織の成果の責任者であるマネージャーは、組織の目標達成のためのマネジメント能力が必要です。
また、マネジメントを成功させるためには、マネージャーの存在が必要不可欠だと言えます。
ビジネスマネジメントの種類
ビジネスマネジメントは役割によって以下の三つの種類に分けられます。
- トップマネジメント
- ミドルマネジメント
- ローアーマネジメント
それぞれ詳しく見ていきましょう。
トップマネジメント
トップマネジメントは組織の最高経営陣のことを指します。
該当する役職は会長、社長、副社長、常務、専務などの取締役会のメンバーや、各部門のトップである執行役員が挙げられます。
トップマネジメントは、組織の基本的な方針を決定するなど、経営に関する総合的な意思決定権を所有しており、最終的な責任も担います。
組織の中で最もリーダーシップが要求されるポジションです。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントはトップマネジメントとローアーマネジメントの中間に位置しています。
該当する役職は部長、課長、係長、支店長などの管理職です。
ミドルマネジメントはトップマネジメントの指令をローアーマネジメントに正しく伝達する役割を担います。
また、現場の意見を抽出しトップマネジメントに伝達する役割でもあるので、トップマネジメントと現場の橋渡しのような存在です。
規模の大きな組織で非常に重宝されます。
関連記事:中間管理職とは?役割や必要なスキル、優れたミドルマネジメントの育成方法を解説
ローアーマネジメント
ローアーマネジメントは現場での指揮を担当するポジションです。
該当する役職は現場リーダーやチーフなどが挙げられます。
トップマネジメントが描くビジョンを実現させるために、組織末端における業務を指揮・統制するのが特徴です。
組織における実働部隊のリーダーと言えるでしょう。
ビジネスマネジメントに必要なスキル
ビジネスマネジメントで求められるスキルは以下の4つです。
- 意思決定力
- 現実的な目標設定力
- 柔軟な状況把握能力
- 業務遂行能力
それぞれ解説していきます。
意思決定力
ビジネスにおいては何かを判断する機会が多いため、ビジネスマネジメントには意思決定力が求められます。
選択肢が現れた際に、全会一致で決まることはほとんどなく、ほぼ確実に、組織内で意見が対立します。
その際に最終的な決定を下すのがマネージャーの役割です。
組織のための正しい決定をするためにも、マネージャーには適切な判断を下す意思決定力が求められます。
現実的な目標設定力
ビジネスマネジメントでは現実的な目標設定力が必要です。
組織の目標を達成するためにはヒト・モノ・カネ・情報の4大経営資源が必要ですが、これらは好き放題使えるわけではありません。
そのためマネージャーは、限られた経営資源の中で最良の目標を設定する力が求められます。
柔軟な状況把握能力
変化が激しい現代社会で企業として生き残り、結果を残していくために、ビジネスマネジメントでは柔軟な状況把握能力が求められます。
組織の外に目をやると、インターネットやSNSにより情報のスピードが指数関数的に速くなっています。
また、それに伴う形で人々の考え方の多様化も進んでいます。
現代のマネージャーは、このような時代の流れを敏感に察知して、適切な判断を行う必要があるのです。
業務遂行能力
ビジネスマネジメントの中でも、プレイングマネージャーでもあるミドルマネジメントとローアーマネジメントには業務遂行能力が求められます。
これは、現場作業の進捗管理や新規事業の立ち上げに関わることが多いためです。
また、人の上に立つ以上、一定の業務遂行能力を有していなければ、部下を管理することはできないでしょう。
スムーズに仕事を回すためにも、マネージャーには業務遂行能力が必要です。
ビジネスマネジメント力を高める方法
では、ビジネスマネジメント力はどのように高めることができるのでしょうか。
3つの方法を紹介していきます。
視座を1段階上げて物事を捉える
ビジネスマネジメント力を高めたいのであれば、視座を1段階上げて物事を捉えるようにしましょう。
マネージャーには事業全体を見渡す視野の広さが必要です。
今の自分よりも高いポジションになったつもりで、仕事を見ていきましょう。
問題解決能力の底上げ
ビジネスマネジメント力を高めたいのであれば、問題解決能力を底上げすることが必要不可欠でしょう。
なぜなら、視野を広くすることで問題を見つけることができても、それをどのように解決すればいいのかわからなければ意味がないからです。
また、本当に大事な仕事を見極めるためにも、課題に対して何が必要かを判断する力が必要です。
こういった側面からも、問題解決能力が必要だと言えるでしょう。
良好なコミュニケーション
ビジネスマネジメント力向上には、良好なコミュニケーションが欠かせません。
マネージャーにとって、部下との信頼関係構築は大切な仕事の一つです。
また、部下同士の関係性にも気をかける必要があるでしょう。
良好なコミュニケーションが、強い組織を生み出します。
ビジネスマネジメントの具体的業務
ビジネスマネジメントは、具体的にどのような業務を行わなければいけないのでしょうか。
ここでは代表的な業務を5つ紹介していきます。
チームに最適な目標設定
マネジメントを成功させるにはチームに最適な目標を設定する必要があります。
具体的な目標を設定できなければ、部下が何をすればいいのかわからなくなるからです。
また、目標設定までのロードマップも構築できれば、スムーズに事業を回すことができるでしょう。
組織の業務管理
マネージャーの仕事の一つとして、組織の業務管理が挙げられます。
目標を達成するためには、その目標のためにどのような業務が必要なのかを見定め、仕事を分類しなければなりません。
また、部下にどの仕事をやらせるかを判断することも求められます
部下の能力開発
マネージャーは部下の能力開発にも努めなければいけません。
マネジメントのやり方次第で、部下の成長具合が大きく左右され、チームとしての戦力、ひいては企業としての組織力にも影響を及ぼします。
部下のポテンシャルを最大限活用するためにも、部下の能力開発に力を入れるべきです。
業務評価とフィードバック
マネージャーは部下の上に立つ役職なので、部下の業務評価やフィードバックを行わなければなりません。
そのため、マネージャーは明確な評価基準を設定する必要があるでしょう。
また、フィードバックによって部下のモチベーションも大きく変化するので、組織全体において非常に重要な業務となります。
コンプライアンス遵守の徹底周知
実際に経営を回すためには、社会のルールに沿って仕事を進める必要があります。
そのため、マネージャーはコンプライアンスをしっかり理解し、それを部下に徹底させる責任があるでしょう。
特に近年はプライバシー保護の声が強まっているため、個人情報や機密情報の取り扱いには注意が必要です。
関連記事:内部通報制度とは?コンプライアンス強化のための導入法や注意点を徹底解説!
ビジネスマネジメントツールを導入するメリット
ビジネスマネジメントを成功させるにはツールを導入するのも一つの手です。
ここではビジネスマネジメントツールを導入するメリットを解説していきます。
プロジェクトの進捗状況を可視化できる
ビジネスマネジメントツールを導入することで、プロジェクトの進捗状況を可視化できます。
それにより達成済みのタスクや、今やらねばいけないことを瞬時に把握可能となり、「進捗率を誤認して納期に間に合わなくなった」ということもなくなるでしょう。
チームメンバーと情報共有できる
ビジネスマネジメントツールであれば、チームメンバーとの情報共有が一瞬で終わります。
組織によっては、共有ファイルの取り扱いに苦労する場合が多いことでしょう。
しかしビジネスマネジメントツールは基本的にオンラインなので、複数のメンバーが共有ファイルを同時に開いても、重くなることはありません。
コミュニケーションが最適化される
ビジネスマネジメントツールを導入することで、組織間でのコミュニケーションが最適化されます。
近年は掲示板やチャットの機能を充実させたツールが流行しており、それらを用いればコミュニケーションはスムーズになり、必要な時間が大幅に短縮されます。
そしてその時間を、もっと大切な仕事に回すことができます。
ビジネスマネジメントツールを選ぶポイント
では、ビジネスマネジメントツールはどのようなものを選べばいいのでしょうか。
ここではツールを選ぶ際のポイントを解説していきます。
自社が求める機能があるか
ビジネスマネジメントツールには様々な機能が搭載されているので、自社の業務に合ったツールを選ぶようにしましょう。
例えばリモートワークに力を入れたいのであれば、ファイル共有やチャットに力を入れているツールを選ぶべきです。
利用するメンバーにヒアリングした上で、ツールを選ぶようにしましょう。
操作が複雑でないか
ビジネスマネジメントツールは操作が複雑ではないものを選びましょう。
結局のところ、実際にビジネスマネジメントツールを動かすのは人間の手です。
そのため、チームメンバー全員が使えるような設計である必要があります。
実際に自分の手で触ってみて、使いやすさを事前に把握しておきましょう。
他アプリとの連携
ビジネスマネジメントツールはほかのアプリケーションと連携できます。
例えば「ツールで作成したスケジュールがGoogleカレンダーにも入力される」というイメージです。
自社で実際に利用しているアプリと連携できるかどうかも確かめておきましょう。
コストパフォーマンス
ビジネスマネジメントツールを利用する際は、コストにも注目していきましょう。
中小企業向けのクラウド型ツールであれば、1ユーザーあたり月額800円から1,500円程度で導入できます。
利用規模によっては大きな出費になるので、機能とコストが見合うかどうかをしっかり判断しましょう。
ビジネスマネジメントツールの紹介
ここではおすすめのビジネスマネジメントツールを紹介していきます。
Co:TEAM
Co:TEAM(コチーム)は、これまでバラバラに管理されていた「目標」「評価」「1on1」「人事評価」を一元的に管理できるツールです。
人事管理に力を入れているので、従業員エンゲージメントを高めたい企業におすすめとなっています。
Wistant
Wistant(ウィスタント)はピープルマネジメントに力を入れているツールです。
マネジメントの属人化を脱却し、仕組み化させて組織に定着させたい企業におすすめとなっています。
Trello
Trello(トレロ)は豪アトラシアン社が提供しているツールで、タスクをわかりやすく整理し、メンバーで進捗を共有することができます。
シンプルなインターフェースが評価されていますが、シンプルなデザインであるが故に、詳細情報が一覧画面に表示されないのがデメリットです。
1ユーザーあたり月額9.99米ドルで利用できます。
kintone
kintone(キントーン)はサイボウズが提供しているツールです。
カスタマイズ性の高さが特徴で、100種類以上のサンプルアプリから必要なものを組み合わせられます。
自社のためだけのツールを開発したい場合におすすめです。スタンダードコースは1ユーザーあたり月額1,500円(税抜)、ベーシックコースは1ユーザーあたり780円(税抜)で利用できます。
clarizen
clarizen(クラリゼン)はスケジュール、進捗、コストなどをオールインワンで管理できるツールです。
タスク間に親子関係や依存関係を設定可能で、ロードマップやプロジェクト全体を俯瞰的に管理することもできます。
1ユーザーあたり月額600円から9,600円で利用可能です。
ビジネスマネジメントを学べる本
ビジネスマネジメントを学べる書籍のおすすめは以下の通りです。
- 『マネジメント』 ドラッカー
- 『リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』安藤広大
- 『心理的安全性のつくりかた』石井遼介
可能な限り、ドラッカーの書籍は読み込むべきです。
また、マネジメント初心者の方は『もしドラ』から学習をスタートしてもいいかもしれません。
ビジネスマネジメントに関する資格
ビジネスマネジメントに関する資格は以下のとおりです。
- MBA
- 中小企業診断士
- 社会保険労務士
- ビジネスマネジャー検定
- 簿記検定2級
まずはビジネスマネジャー検定や簿記検定2級など、比較的お手頃な資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。