年功序列は日本的雇用慣行の特徴であり、日本の高度経済成長を支えてきた制度の1つです。
従来の日本では当たり前だった制度ですが、時代や環境の変化によって崩壊しつつあり、多くの企業が「今後、どのような人事制度にするべきか」「成果主義に移行するべきか」などの課題を突きつけられています。
そこで本記事では、
- 年功序列の概要
- 成果主義との違い
- メリット・デメリット
- 成果主義に移行するべきか
などを解説していきます。
目次
年功序列とは
年功序列とは、従業員の勤続年数や年齢に基づいて役職や給与などを決める人事制度です。
成果や実力などの要素はあまり加味されないという特徴があり、「勤続年数や年齢が上がるほど能力やスキルも高まる」という前提のもと運用されます。
日本的雇用慣行の特徴の1つであり、従来の日本では当たり前のように運用されていた人事制度でしたが、近年は崩壊しつつあります。
年功序列と成果主義の違いとは
年功序列について語る際によく対比として挙げられるものが、「成果主義」です。
成果主義とは、主に業務の過程と結果を重視して従業員の評価を行う人事制度です。
年功序列とは異なり、従業員の勤続年数が長い場合でも成果を出していなければ昇進も昇給もありません。
それどころか降格や減給の可能性もあります。
関連記事:働き方改革で評価はどうなる?成果主義なのに職場や上司の同調圧力で残業は減りにくい
年功序列のメリットとは
年功序列には下記のようなメリットが挙げられます。
定着率の向上
年功序列は勤続年数が長くなるほど待遇が良くなるため、従業員は転職することなくスキルアップを目指して同じ企業に長く勤める傾向があります。
長く勤めるほど企業への帰属意識が高まり、離職率も下がるでしょう。
また、自社で高いスキルやノウハウを培った人材の流出を防ぐことにもつながります。
効率的な人事評価が可能
年功序列では効率的な人事評価が可能です。
従業員を評価する方法はいくつかありますが、明確な評価基準を定義できない業務やスキルについて適切に評価することは難しく、場合によっては評価を受ける従業員にとって不満の原因となります。
しかし、年功序列においては年齢や勤続年数といった明確な基準があるため、人事評価がしやすいのです。
関連記事:人事評価とは?代表的な3つの評価基準や失敗しないための運用方法を解説
人材育成が容易
年功序列では人材育成が容易であることもメリットとなります。
長く勤めている従業員が多く在籍しており、新入社員の育成を担ってくれるため、スムーズな人材育成が可能です。
年功序列のデメリットとは
一方で、年功序列には下記のようなデメリットが挙げられます。
若手や優秀な従業員の意欲低下
年功序列においては、若手や優秀な従業員の意欲が低下しやすいという点がデメリットです。
年齢が低く、勤続年数が短い若手は成果を上げてもその成果が適切に評価されず、意欲を削がれてしまうのです。
これにより若手や優秀な若手社員は不公平さを感じ、モチベーションをなくしてしまいます。
人件費の増大
勤続年数が長いほど給与が上がるということは、高齢従業員が増えるほど人件費が増大するということです。
従業員の数が変わらない場合でも給与が増え続ければ、それにともなって業績も伸ばし続けなければなりません。
生産性の低下
年功序列では成果をあげていなくても勤続年数が長ければ待遇が良くなるため、生産性を上げようというモチベーションが起こりにくくなります。
これにより、従業員はダラダラと仕事をするようになる可能性があり、生産性が低下してしまうのです。
関連記事:社員への人事評価制度の問題点は?導入・見直し方法を解説!
なぜ日本で年功序列が普及・定着したのか
日本において年功序列制度が普及・定着したのは高度経済成長期です。
当時、戦後間もない日本において企業は膨大な労働力を必要とし、労働者は生活の安定と保証を必要としていました。
このように、企業と労働者の利害が一致していたため、年功序列制度は終身雇用制度とともに、日本的雇用慣行として普及・定着していったのです。
年功序列制度が崩壊する理由
近年、年功序列制度が崩壊しかけており、廃止や成果主義に移行する企業が増加傾向にあります。
なぜ、年功序列制度は崩壊しかけているのでしょうか?
その原因を知るために、まずは年功序列が成り立つ前提条件を見ていきましょう。
年功序列が成り立つ前提条件とは下記の3つです。
- 企業が成長し続けること
- 安定的・継続的な人材採用
- 従業員の長期勤務
そしてこれらの前提条件が、下記のような環境の変化によって崩れてしまいました。
- 経済の停滞
- 労働人口の減少
- テクノロジーの進歩による労働市場の流動化
こういった社会状況の影響で、年功序列が崩壊し始めているのです。
日本における年功序列と成果主義の現状とは
近年、年功序列を廃止して成果主義制度を導入する企業が増えていることがわかっています。
公益財団法人 日本生産性本部の調査によると、年功序列を導入する企業は1999年から減り続けていますが、成果主義(役職・職務給)の割愛は増加傾向にあります。
(参考:第 16 回 日本的雇用・人事の変容に関する調査丨公益財団法人日本生産性本部)
まとめ:自社にあった人事制度を取り入れよう
自社が年功序列になっているからといって、今すぐに変える必要はありません。
大切なのは、自社にあった評価制度を整え、優秀な社員の離脱を防ぐことです。
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